フェスタ・神奈川フィル

前半のオーケストラ6連続を聴いた後、1泊旅行と2泊入院が続いて、フェスタサマーミューザから足が遠のいていました。昨日(8月11日)が何日目になるのか分かりません。
それはいいとして、猛暑の中を敢然と川崎に向かいました。

神奈川フィルも夕方から公開リハーサルがありましたが、これはパス、本公演だけの報告です。
入場してまず目に飛び込んでくるのは、コントラバス4本がオーケストラの最後方に1列に並んでいること。ウィーン・フィルがやっている配置ですね。ははぁ~ん、今日の指揮者は何か変わったことをする積りだな。
右端に置かれたティンパニも口径が小さく、いわゆるバロック・ティンパニか。それも3個あるゾ。
客席は結構入っていました。見た目で8割の入りでしょうか。

ということで、今日の演目はハイドンの交響曲第104番「ロンドン」とブラームスの交響曲第3番の2本立て。なかなか良いプログラムです。
指揮者は人気者、金聖響。私はこの指揮者をキチンと聴いたことありません。協奏曲の伴奏とか、他に目当てがあって出かけたら、たまたま指揮者が金さん、というケース。

慣例のように、拍手に迎えられてオーケストラ入場。コンサートマスター・石田泰尚はこのオケの名物、楽器を低く提げ、片手を後ろ手に回し、足を開いて一礼するのは半ば儀式でしょう。
ここでも見慣れない光景。ホルンは左手奥に並びますが、トランペットは反対の右奥、ティンパニの横に座します。金管を左右からステレオ効果で響かせるんでしょう。
弦は少なめ、12型で、ヴァイオリンは対抗配置。チェロが第1ヴァイオリンの隣に位置しています。余分な椅子が見えないところをみると、ブラームスも12型でやるのか、おい。

さてハイドン、想像したとおり、贅肉を削ぎ取ったスタイル。いわゆる古楽器奏法を取り入れ、ほとんどビブラートをかけずに薄味処理。随所に金管と固い撥で叩きまくるティンパニを強調して、豊かさと柔らかさを極力排斥するのでした。
私はピリオド系演奏の古典作品を好みません。好き嫌いだから評価以前の話。好んで聴くタイプじゃありませんね。

休憩があってブラームス。ティンパニは予め調律したものを並べていたようで、ハイドンで役目を終えた1個は休憩中に片付けてしまいました。
やはり12型。トロンボーンはトランペット同様右奥。
これも古楽奏法とまでは言わないものの、弦をあまり響かせず、きついアクセントと速目のテンポで進めます。音楽が沈滞することはないのですが、金管とティンパニを煩いくらいに強調していきます。ティンパニの撥も固いまんま。

あれ、と思ったのは終楽章。ホルンが活躍しますが、フレーズの終わりの音を必ず「ゲシュトップフ」にするんです。音をわざと潰してビー、とやる。4~5回もあったかな。もちろん楽譜にそんなこと書いてありませんよ。マーラーじゃあるまいし。
要するに金さんって、柔らかく美しい響きを忌避しているんでしょう。全体を硬く、痩せた響きで統一しようとしている。弦が少ないので管楽器がよく聴こえますが、出てくる音はくすんだ硬質のもの。これが目指す音楽か。

それはアンコールで演奏されたシベリウスの悲しきワルツでも同じで、一昔前、東ドイツのオーケストラに聴かれたような古朴な響きを求めているんだ、と思いましたね。

確かに存在感はあります。やろうとしていることはよく判りました。しかし、積極的に聴きたいタイプではありませんね。少なくとも私は。
ブラームスの最後の和音、シベリウス最後のヴァイオリンにやや不揃い、擦れる場面があったのは、オーケストラが必ずしも指揮者の要求に納得していなかったためじゃないかしら。

 

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