五輪オケ
一つ飛ばして、29日のプロムスからまた初めて名前を聞くオーケストラの演奏を聴きました。
≪Prom 21≫
ブリテン/シンフォニア・ダ・レクイエム
マーラー/交響曲第10番~アダージョ
~休憩~
シャルロッテ・ブレイ/At the Speed of Stillness(BBC委嘱、世界初演)
ストラヴィンスキー/春の祭典
管弦楽/オールドバラ・ワールド・オーケストラ
指揮/サー・マーク・エルダー
この日登場したオケは、ロンドン・2012・フェスティヴァルのために特別編成されたオーケストラだそうです。このフェスティヴァルはオリンピック開催に絡んだ催しで、6月から9月まで開催、オリンピックもその一つですが、スポーツに限らず芸術などにも光を当てたお祭りになっているとのこと。↓
http://festival.london2012.com/
オールドバラと言えばベンジャミン・ブリテンの本拠地ですが、ここに4大陸、35か国の若い音楽家たちが集まってオーケストラを編成、トレーニングを重ねて若者にオケで演奏する機会を与えるという試み。最近では世界中でこうした動きがありますね。札幌のPMFもそうした一つでしょう。
元々才能のある若手がみっちりトレーニングしているのですから、余りリハーサルに時間を掛けないプロの団体より聴き応えはあります。もちろん若さ故の緊張やミスはありますし、今回の「春の祭典」でもいくつか事故がありました。
それでも客席は暖かいですね。歓声を上げ、足を踏み鳴らして奏者と指揮者を讃える様子は感動的ですらあります。
後半の最初に演奏された作品は、英国の若手女流作曲家の作品。Charlotte Bray は1982年生まれですから、未だ30歳です。
彼女は作曲を始めたのも遅かったそうで、最初は歌手、続いてチェリストを目指し、19歳でバーミンガムの音楽院に入学したのはチェリストとしてだったそうです。
それがあるコンサートでターネジの「3人の叫ぶ教皇」を聴いて感動し、作曲の道に入った由。間も無く彼女の新作の室内オペラ「Making Arrangements」が初演されるそうで、聴いてみたい方は是非ロンドンへ。
オリンピック関係の報道、日本では競技ばかりが取り上げられているようですが、本来はスポーツに限らず芸術の祭典でもあるはず。確か古代オリンピックはそもそも芸術の祭典で、運動はあくまで余興の一つだったと聞いたことがあります。健全な「精神と肉体」、即ち精神は芸術、肉体はスポーツによって代表されるからですね。
近代オリンピックはもちろんスポーツが中心でしょうが、少し前までは関連した音楽活動も盛んでした。1912年夏のストックホルム大会からは、作曲、文学、絵画などに対してもメダルが贈られたそうな。私の手元にある楽譜でも、ヨゼフ・スークの行進曲「新しい命に」は、1932年のロサンジェルス大会で銀メダルを贈られた、という解説がありますからね。
五輪の伝統が今も生きているなら、ブレイ女史の作品もメダル候補でしょう。勝った負けたばかりでなく、五輪のこうした一面も積極的に報道してもらいと、聴きながら思ってしまいましたわ。
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