バイエルン放響登場

昨日、8月8日に行われたプロムスです。これで追い付いたことになり、明日からは前日のレポートと言う本来の姿に戻ることになりますね。3日休むと取り戻すのに1週間掛かるということがこれで良く判りました。

昨日と今日は海外からの来演、バイエルン放送交響楽団と音楽監督ヤンソンスの登場で、いつもにも増して歓声が盛大なプロムスでした。
その第1回はソリストに内田光子を迎えての公演。それにしてもプロムスとしては陳腐なプログラムですね。

英国、あるいは海外と日本とでは事情が大きく異なりますが、日本では有名曲を並べないとお客入らないという伝統的なコンサート事情があります。
この辺りは海外、特にアメリカで顕著なようですが、逆に初めて聴くような作品が無いとお客にソッポを向かれる。日本と海外とでは逆転現象になるというのが私の認識。
それを考えれば、以下のプログラムでもお客を呼べるのは、流石に名門オケということなのでしょう。

≪Prom 33≫
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
     ~休憩~
ベルリオーズ/幻想交響曲
 バイエルン放送交響楽団
 指揮/マリス・ヤンソンス
 内田光子(ピアノ)

何の解説も必要ありません。名曲の名演を楽しむプロムス。

内田は例によって息を潜めて演奏するようなベートーヴェンで、聴いているだけであの苦しそうな表情が思い浮かべられました。カデンツァは1・3楽章共にベートーヴェン作。特に第1楽章は、最初の長い方で演奏していました。
あれっ、と思ったのは第2楽章。弦楽器のフォルテが音を短めに切り、かなり攻撃的な表情で始めたのに対し、内田は全身ピアノという繊細さで受ける。譬えは妙ですが、シャリアール王とシェヘラザード姫を連想してしまいました。

内田のアンコールはバッハ。ベートーヴェンがト長調だったのに絡めたのか、ト長調のフランス組曲(第5番)からサラバンド。密やかな内田ワールドがロ、ンドンでも大受けに受けます。

後半は幻想。そう昨日ミューザでインキネン/日フィルを聴いたばかりですから、何か因縁を感じます。比較、ということになりますが、基本的には同じでした。
結論を言えば、放送で聴くバイエルンよりナマで聴く日フィルの方が感動が大きいということですね。家に閉じこもって録音ばかり聴かず、ホールに出掛けてナマを聴け、ということ。知名度に差はあるかも知れませんが、音楽的にはほとんど差が無いということを知るべきでしょう。

敢えて比較すれば、バイエルンの方が化粧がやや濃いめで、美しさは日本の方が上。通例として実行しない第1楽章と第4楽章の繰り返しはどちらもパスしていました。

違いがあったとすれば、バイエルンはアンコールをやったこと。曲は珍しくもリゲティのルーマニア協奏曲から第4楽章。
実はこの曲、来年2月に読響定期で演奏される予定で、予習用にスコアを取り寄せたばかり。思いもかけず譜面を追いながら聴くことが出来ました。リゲティの名に敬遠すること勿れ、実に痛快な楽曲ですヨ。最後は1番と3番ホルンがアドリブでのやり取り、会場が沸くこと間違いなし。
お蔭で良い予習が出来ました。

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