真夏の「真夏の結婚」

昨日のプロムスはオペラ全曲の演奏会形式上演でした。今年のプロムスでは全部で9本のオペラが掛かりますが、内7曲は生誕200年記念のワーグナー、残り2作は何れも英国の作品です。
今年はベンジャミン・ブリテンの生誕100年ですが、何かとブリテンに比較されるのが8歳年上のティペット。バランスを取るためでしょうか、今年もティペット作品がいくつか紹介されるプロムス、昨日は最大作の歌劇でした。

≪Prom 45≫
ティペット/歌劇「真夏の結婚」
 BBC交響楽団
 指揮/サー・アンドリュー・デイヴィス
 BBCシンフォニー・コーラス、BBCシンガーズ
 ポール・グローヴス(マーク)
 エリン・ウォール(ジェニファー)
 デヴィッド・ウイルソン=ジョンソン(フィッシャー王)
 アイリッシュ・タイラン(ベラ)
 アラン・クレイトン(ジャック)
 キャサリン・ウィン=ロジャース(ソソストリス)
 デヴィッド・ソアー(He-Ancient)
 マドレーヌ・ショウ(She-Ancient)

ティペットは歌劇を5作残しましたが、「真夏の結婚」はその最初の作品。全3幕、幕間に各20分づつの休憩が入る公演でした。
この歌劇の全曲がプロムスで取り上げられるのは、1977年以来2度目のことだそうです。日本では未だティペットの歌劇までは紹介されていませんが、最初に上演する機会があるとすればこれでしょうね。
今回はBBC響の桂冠指揮者で、現在ではティペットの最高の権威でもあるデイヴィスの指揮。歌手を含め見事な演奏で、飽きさせません。

予定されたキャストのうち、フィッシャー王はピーター・シドホムから表記のデヴィッド・ウイルソン=ジョンソンに変わったようです。

残念ながらスコアが手元に無いので、筋書きも不案内。それでもこれが「魔笛」のティペット版、というか英国版であることは判ります。タミーノとパミーナに相当するのがマークとジェニファー、またパパゲーノとパパゲーナがジャックとベラと考えれば良いでしょう。
魔笛ではパミーナの母が夜の女王ですが、ティペットではジェニファーの父がフィッシャー王。彼が二人の結婚に反対し、ソソストリスの仮面を剥ごうとして不慮の死。フィッシャー王とソソストリスがザラストロと夜の女王のティペット版でしょうか。
第1幕が始まって早々、5分くらいの所でプリンス・チャールズ誕生日組曲の第3曲のマーチが出てきてビックリします。
この組曲は去年のプロムスでも演奏れており、慌ててスコアを検証したら序文にもその旨が記してありました。もちろん過激が先で、組曲は引用。

歌劇とは別に管弦楽用の「儀式の舞曲集」のスコアが出ていて。私はこれを頼りに視聴。舞曲集は歌劇第2幕の3つの踊りと、最終幕の最後に踊られる第4の踊りで構成されています。
管弦楽版の前奏曲は第2幕の冒頭の音楽で、歌劇ではこの後にジャックとベラの二重唱があり、3つの舞曲が続けて踊られます。
それは①秋の大地の踊り ②冬の水の踊り ③春の大気の踊り で、①は「犬が野兎を追う」、②「カワウソが魚を追う」、③「鷹が小鳥を追う」という副題が付けられています。演奏会用版の序文でティペットは、作曲したものは実際の歌劇ではカットされると書いていますが、全て管弦楽版の音符は全て演奏されていました。

また第3幕の「夏の火の踊り」は、管弦楽版では合唱がアドリブと記されていますが、もちろん今回は合唱付きの踊り。尤も実際にバレエは踊られなかったようで、ダンスに伴うノイズは一切聴かれませんでした。

今回初めて歌劇全曲に接し、いずれは音盤とスコアをゲットしたいと思っています。

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