2014皐月賞馬のプロフィール

クラシック馬のプロフィール第二弾は、混戦と言われた先週の皐月賞を2番人気で制したイスラボニータです。イスラボニータは父フジキセキ、母イスラ・コジーン Isla Cozzene 、母の父コジーン Cozzene という血統。

牝系に入る前にフジキセキについて。私が取り上げるまでもありませんが、フジキセキ(1992年 黒鹿毛)はサンデー・サイレンス Sunday Silence の初年度産駒としてクラシック路線に乗ったものの、皐月賞目前で故障を発生し、以後の競走成績を断たれた馬。
種牡馬としても大成功し、初年度産駒(1996年生まれ)から重賞(G戦)勝馬を出し続け、何と今年が最後となる16年目の産駒(2011年生まれ)まで連続16年間重賞勝馬を絶やさなかったという希に見る大種牡馬と言って良いでしょう。

その間GⅠ勝馬はイスラボニータを含め7頭を出しましたが、クラシックを制したのは今年の皐月賞が初めて。血統研究家諸氏の間では「フジキセキ産駒はクラシックに勝てない」という風評があったと聞きます。確かにこれまでクラシックに無縁だったことはフジキセキの評価を下げる要因だったもしれませんが、皮肉にも最後の最後で皐月賞馬を出したことになりますネ。

ここから本題の牝系に入ります、が、この牝系も少なくとも5代まで遡っても所謂クラシックには無縁、ファミリーという視点から見てもややマイナーと言えるでしょうか。
母イスラ・コジーン(2002年 鹿毛)はアメリカ産の牝馬で、ニック・カナニ師が調教し、10戦2勝の成績が残されています。2005年、クラシック年齢でホーソン・オークス(ホーソン競馬場で行われた芝の一般ステークス、9ハロン)に勝ったのが2勝目、ステークス初勝利で、以下G戦に何度も挑戦しましたが、惜しくも勝つまでには至りませんでした。

その主なものを紹介すると、6月5日にハリウッドでハネムーン・ブリーダーズ・カップ・ハンデ(芝GⅡ)で3着。続いて7月3日には同じハリウッドのアメリカン・オークス(芝GⅠ)に挑戦します。この年のアメリカン・オークスはヨーロッパなどからも有力馬が参戦して国際的な舞台となりましたが、勝ったのはご存知のように福永祐一が騎乗した日本のシーザリオ。2着以下に4馬身差を付ける圧勝で、日本馬の優秀さを印象付ける結果となりました。イスラ・コジーンは、このとき12頭立ての9着に終わっています。
続いて9月17日にはアーリントン競馬場のパッカー・アップ・ステークス(芝GⅢ)で3着し、最も惜しかったのが11月12日にチャーチル・ダウンズ競馬で行われたミセス・リヴィーア・ステークス(芝GⅡ)。最後で強烈な差し脚を発揮しましたが、ハナ差で2着でした。
以上、惜しくもG戦勝は逃しましたが、3歳で現役を引退して繁殖に上がります。

アメリカでは2頭の産駒を残して2010年に日本に輸出され、日本での最初の産駒がイスラボニータとなります。
アメリカで残したのは僅かに2頭、初産駒モンテーヨ Montejo (2007年 栗毛 牡 父ベティオンヴィル Petionville)の競走成績は不明ですが、続くジェアラス・ガール Gealous Girl (2008年 黒鹿毛 牝 父ベティオンヴィル)は6戦4勝。ペン・ナショナル競馬場で6ハロンの一般ステークス(ファム・ファタール・ステークス)に勝ち、1番人気で臨んだサラトガのヴィクトリー・ライド・ステークス(GⅢ、6ハロン)では6着に敗れました。
このあと2年は種付けは試みたものの不受胎、日本での初産駒イスラボニータが3番仔となるようです。

因みにシーザリオとイスラ・コジーン、この同じ世代の2頭は日本でもライヴァル関係が続いていて、シーザリオは去年の菊花賞馬エピファネイアを出して一足先にクラシック馬の母となりましたが、イスラ・コジーンも翌年イスラボニータで皐月賞制覇。シーザリオの今年の3歳産駒ロザリンド(黒鹿毛 牝 父シンボリクリスエス)は現在のところ未勝利です。

2代母はイスラ・ムへレス Isla Mujeres (1995年 鹿毛 父クラフティー・プロスペクター Crafty Prospector)と読むのでしょうか、5戦1勝でステークスとは無縁。
その産駒は、調べた限りでは7頭全てが勝馬となり、中々馬主孝行の繁殖牝馬と言えそうです。特に重要な成績を残した産駒は見当たりませんが、
2000年生まれのシェイプス・アンド・シャドウズ Shapes and Shadows (鹿毛 牝 父ダイナフォーマー Dynaformer)はセニョリータ・ステークス(芝GⅢ、8ハロン)で3着し、コーチング・クラブ・アメリカン・オークス(GⅠ)に出走したものの競走を中止したという記録が残っています。このあとどうなったのかは不明。
また2007年生まれのシルヴァー・シャドウ Silver Shadow (芦毛 せん 父マリアズ・モン Maria’s Mon)は3勝しています。

3代母リド・アイル Lido Isle (1980年 黒鹿毛 父ファー・ノース Far North)は12戦4勝と走り、サンタ・バーバラ・ハンデ(芝GⅠ)3着、イェルバ・ブエナ・ハンデ(芝GⅢ)2着とG戦入着の実績ある馬。
彼女からはG戦勝ち馬は出なかったようですが、別の娘エンジェル・ティアーズ Angel Tears (1986年 鹿毛 父ヘイロー Halo)からはバシュフォード・マナー・ステークス(GⅢ、6ハロン)に勝ったハイログリフィック Hyroglyphic や、トロピカル・パーク・ダービー(GⅢ)で3着したディーライトフル・ガイ Deeliteful Guy が出ています。

更にリド・アイルの娘フォー・トゥルー・ラヴ For True Love (1987年 黒鹿毛 父ヘイロー)が日本に輸入され、その産駒フォーユアラヴがクレマチス賞(福島6ハロン)と妙高特別(新潟ダート6ハロン)に、ウインサウザーも妙高特別(新潟ダート6ハロン)に勝っていることを付け加えておきましょう。

4代母シー・イズ・ゴージャス She Is Gorgeous は16戦8勝(現在のG戦には無縁)、5代母ゴージャス・ゲイ Gorgeous Gay も13戦2勝と、イスラボニータの牝系は5代遡っても全てが勝馬と言う堅実さを誇ります。
ただGⅠ級の勝馬となると探すのにかなり苦労し、ゴージャス・ゲイの別の娘エンプレス・オブ・カナダ Empress of Canada が、イタリアでミラノ大賞典に勝ったアール・オブ・ティンスドール Earl of Tinsdal の4代母に当たること、

更に11代母クーバ Kouba からはジュライ・カップを制した短距離馬ガリヴァンター Galivanter が、
12代母のグラッセ Grasse からデューハースト・ステークス勝馬スルタン・モハメッド Sultan Mohamed が、またアメリカでメトロポリタン・ハンデ、ウッドワード・ステークス、ホイットニー・インヴィテーショナルなどを制したイン・エクセス In Excess が出ているのを見つけるのがやっとでした。

以上、父系からも母系からも念願のクラシック制覇となったイスラボニータの牝系は、ファミリー・ナンバー 4-n 。1879年生まれの英1000ギニー馬セント・マルガリータ St. Marguerite を基礎とするファミリーです。

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