レヴェルが高い? 3歳牝馬

昨日もイギリスではクラシックに向けたトライアルが行われていましたが、当欄はG戦に限定しているので取り上げるのは一鞍です。

リングフィールド・パーク競馬場のチャートウェル・フィリーズ・ステークス Chartwell Fillies’ S (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。1994年に創設された新しいレースで、今年が未だ21回目。GⅢに格上げされたのが2004年のことですから、G戦としても11回目という英国では余り馴染の無いパターン・レースと言えるでしょうか。
レース名のチャートウェルとは、故ウィンストン・チャーチル元首相のお屋敷の名前で、リングフィールド競馬場の近くにあること、チャーチル首相が大の競馬好きだったことから選ばれたタイトルです。“一国の宰相になるより、ダービー馬のオーナーになりたい”とはチャーチルさんの名言? ダービー馬のオーナーにこそなれませんでしたが、その父君はオークス馬のオーナーでしたし、政界を引退してからはチャートウェルで馬産を楽しみ、ハイ・ハット High Hat やヴィエナ Vienna を送り出したことは海外競馬ファンならご存知でしょう。

さて話は脱線しましたが、スポーティング・ライフもレーシング・ポストもこのG戦は全く報道しておらず、話題は専らその前に行われたオークス・トライアルとダービー・トライアルだけに集中していました。共にかつてはG戦でしたが、今はリステッドに降格されていますから、ここでは扱いません。
ということでチャートウェル、 good 、所により good to soft の馬場に1頭が取り消しての10頭立て。この時期から3歳上という条件で、3歳馬2頭に対し4歳馬が8頭というメンバー構成になっていました。もちろん3歳は古馬より1ストーン近い(12ポンド)ハンデ差が与えられますが、G戦勝のペナルティーを背負った馬はいません。つまりどの馬が勝ってもG戦初勝利と言うこと。
海外からの参戦もあって人気は割れましたが、フランスからデュプレ厩舎が送りこんだアガ・カーンのダライーナ Dalayna が6対4の1番人気。前走メゾン=ラフィットのリステッド戦を叩いて(5着)仕上がったというのが人気の要因でしょうか。

レースはヴァレ・ガール Valais Girl が逃げ、これを先行した5番人気(16対1)のエメラルド・スター Emerald Star が捉え、後方から追い込むブービー人気(33対1)の1頭ヴェイルド・イントリギュー Veiled Intrigue を1馬身半抑えるという大波乱。頭差で3番人気(6対1)のアネクドート Annecdote が頭差3着に入りましたが、前が開かない不利があってのもの。ダライーナは7着と期待を裏切りました。
1・2着は、何れも2頭出走していた3歳馬。つまり3歳のワン・ツー・フィニッシュで、7ハロンの距離、GⅢというレヴェルではあるものの、今年の3歳牝馬はひょっとするとレヴェルが高いのかも、と考えてしまう様な結果でした。

勝ったエメラルド・スターは、ドイツのペーター・シールゲン厩舎の管理馬で、遠征組の1頭。前走ドイツのGⅢ(シュヴァルツゴルト・レンネン)で3着、これが今期3戦目で、かつ2勝目となります。前走でも騎乗していたダニエレ・ポルクー Daniele Porcu という騎手に付いては、英2誌の報道が無いので詳しい経歴などは判っていません。誰か教えて!

折角ですからクラシック・トライアルは結果だけ。
オークス・トライアルを制したのはオナー・バウンド Honor Bound というオーソライズド Authorized の牝馬、ダービー・トライアルはナイェフ Nayef 産駒のスノー・スカイ Snow Sky 。報道ではハーリッド・アブダッラー氏の持ち馬でスタウト師の管理するスノー・スカイの評価が高いようです。

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