ロイヤル・アスコット2010・2日目
2日目もパターン・レース4鞍、その他2鞍の構成です。今日もレース順に。
第1レースは3歳馬によるジャージー・ステークス(GⅢ、3歳、7ハロン)。13頭立て、1番人気(3対1)は2歳時レーシング・ポスト・トロフィー6着で、今シーズンはエプサムのリステッド戦に勝ったばかりのシェークスピアリアン Shakespearean です。
7ハロンの短距離戦、スタートで飛び出したのは出走馬中唯一の牝馬レインフォール Rainfall 。単騎逃げは許さじと追走したのがレッド・ジャズ Red Jazz です。
ところがレースはそのまま行った行った。他馬が取り残される中、そのまま2頭で決着してしまいました。
1着レインフォールと2着レッド・ジャズの着差は頭。漸く3着にロック・ジョック Rock Jock が入りましたが、3馬身4分の3馬身離されてのもの。
本命シェークスピアリアンは6着に敗退し、愛2000ギニー2着(勝馬はキャンフォード・クリフス Canford Cliffs)で2番人気のフリー・ジャッジメント Free Jusgement も7着と沈んでいます。
勝ったレインフォールは、マーク・ジョンストン厩舎、クラシック2冠のライアン・ムーアが騎乗していました。
一方的なレースになりましたが、7ハロンで1分24秒94はトラック・レコード。8対1は5番人気でしたが、改めて彼女のスピードに注目が集まっています。
レインフォールは5月初めにデビューとなる未勝利戦に勝ち、5月末にリステッド戦で2着。3戦目でパターン・レース初挑戦という新星ですが、あまりに早い出世に、ジョンストン師も次走にまで頭が回らない様子でした。
第2レースは古馬牝馬によるマイル戦、ウインザー・フォレスト・ステークス(GⅡ、4歳上牝、1マイル)。直線のマイル・コースでの一戦です。
ここは10頭が出走、ドイツのGⅢ馬で、今期ゴドルフィンに移籍して前走プリンセス・エリザベス・ステークス(エプサムのGⅢ)に勝ったアンタラ Antara が7対2の1番人気。去年のウインザー・フォレストに勝った5歳のスペイシャス Spacious が2番人気で続きます。
しかし勝ったのは馬場の中央から先頭に立ったストロベリーダイキリ Strawberrydaiquiri 。9対2の3番人気でした。
2番人気のムルタ騎乗、スペイシャスが一旦は交わして先頭に立つ場面もありましたが、ストロベリーダイキリが二の脚を使って差し返し、短頭差の勝利です。
3馬身差3着に本命アンタラの順。人気上位3頭による決着でしたが、人気とは逆の結果でした。
ストロベリーダイキリはサー・マイケル・スタウト厩舎の管理馬。当然ながら鞍上は主戦のライアン・ムーアで、第1レースに次いでいきなりのダブル達成です。
前走ダリア・ステークス(GⅢ)に続くパターン・レース2連勝、次はランクを上げてGⅠ狙いでしょうか。
第3レースは今日のメイン、プリンス・オブ・ウェールズ・ステークス(GⅠ、4歳上、1マイル2ハロン)。
12頭が出走、去年のチャンピオン・ステークスの1・2着馬であるトゥワイス・オーヴァー Twice Over とマワシーク Mawatheeq も登場してきましたが、5対2の1番人気に支持されたのは、前走でゴールディコヴァの2着に健闘したフランスの新星バイワード Byword でした。
ドーヴァー海峡を渡ったアンドレ・ファーブル師の不安は、これがイギリスでの初騎乗となる新鋭マキシム・グィヨン君。
しかしこれは全くの杞憂に終わりました。グィヨンは事前にコースを歩き、レースのヴィデオを繰り返し見てアスコットを研究して大一番に臨んだのです。
好位置に付け、最後の1ハロンで抜け出す完璧なレース内容で、見事に1番人気に応えました。
2着は半馬身差でトゥワイス・オーヴァー、更に4分の3馬身差3着に伏兵タジーズ Tazeez が飛び込んでいます。
結果は今年のダービー馬主となったオーナーのカーリッド・アブダッラーにとってワン・ツーの快挙、厩舎は1着がファーブル、2着がヘンリー・セシルと異なれど、両師はレース後にガッチリと握手して互いの健闘を讃えていました。
ファーブルにとって、この勝利はロイヤル・アスコット7勝目。仏2000ギニー、仏ダービーとクラシック・ダブルに続いてアスコットでも素質を見せ付けたグィヨン君を評し、ムチを多用しないところがグィヨンの素晴らしい所だと解説しています。
騎乗したグィヨンも、謙虚に使ってくれたファーブル師への感謝を忘れていません。
第4レースは伝統あるロイヤル・アスコットのハンデ戦、ロイヤル・ハント・カップ(3歳上、1マイル)。
これも直線コースの1マイル戦ですが、29頭の多頭数。
8対1の1番人気ダンディー・ボーイ Dandy Boy は21着に惨敗し、28対1の人気薄インヴィジブル・マン Invisible Man が大穴を開けています。
サイード・ビン・スロール厩舎、ランフランコ・デットーリ騎乗の名物コンビ。内と外に真っ二つに分かれた馬群、外ラチの優位を利しての優勝です。最近の成績が振るわなかった馬ですが、初めてブリンカーを使用したのが奏功したのかも。
勝ち時計1分37秒16はコースレコードでしたが、だからと言って前日同コースのゴールディコヴァより強いということにはならないのがヨーロッパ競馬なのです。
第5レースは2歳牝馬によるクィーン・メアリー・ステークス(GⅡ、2歳牝、5ハロン)。
ここも18頭という多頭数。無敗馬が5頭いましたが、9対4の1番人気も1戦無敗のマカーシド Maqaasid 。
レースは2番人気の快速馬ミウー Meow (読み方の難しい馬。取り敢えずこうしておきます)が快調に飛ばしましたが、内に包まれながらも前が開いて一気にスパートした本命マカーシドの差仕切り勝ちです。
最後は3頭が横一線の接戦でしたが、2着は首差で逃げたミウー、3着も首差でレイディーズ・アー・フォエヴァー Ladies Are Forever の順。4着以下は5馬身離されています。
マカーシドはジョン・ゴスデン厩舎の管理馬、リチャード・ヒルズの騎乗でした。
サンダウンの新馬戦に続く2連勝ですが、ゴスデン師によれば同馬は6ハロン向きとか。当然ながら秋のチーヴリー・パークを狙ってくるでしょう。
今日は最後の100メートルで先頭に躍り出ましたが、前が開くとサッと出る脚は彼女本来の気質によるものの由。頼もしい若駒ではあります。
最終第6レースはリステッドの一戦で、サンドリンガム・ハンデキャップ(3歳牝、1マイル)。これまた直線のマイル・コースに17頭が顔を揃えました。
新星サフィーナ Safina が10対3の1番人気に支持されましたが、追い込み届かず3着まで。
勝ったのはヘンリー・セシルがずっと厩舎最強と言い続けていたタイムピース Timepiece 。オークス(9着)では期待を裏切りましたが、ここで漸く本来の調子を取り戻したようですね。
トム・クィーリー騎乗、ヘンリー・セシル師にとっては何と72勝目のロイヤル・アスコットとなります。
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