ライアン・ムーアが還ってきた

グローリアス・グッドウッドが終了した直後、リーディング・ジョッキー争いを演じているライアン・ムーアが長期休暇という理由で暫く姿を隠していました。ポルトガルでヴァカンスとか、負傷を癒すためとか世間は様々に噂していましたが、積み重なる疲労から来る体の痛みをリハビリするというのが真相だった様子。
ほぼ1か月のリフレッシュを終え、26日の金曜日にターフに復帰しました。この日はニューマーケットの第1レース一鞍だけの騎乗でしたが、見事にサー・マイケル・スタッド師の管理馬で勝利。各ブックメーカーも、今年のリーディング争いのオッズに再びムーアの名前をリストアップしています。

ムーアの復帰二日目はウインザー競馬場でしたが、その前にグッドウッド競馬場のバンク・ホリデー開催から始めましょう。スコットランドを除き、英国では来週月曜日はバンク・ホリデーの休日。3連休のこの時期に開催されるのがグッドウッドのバンク・ホリデー開催です。GⅠ戦はありませんが、この開催で行われるG戦は3鞍、土曜日には二つのG戦が行われました。
馬場は good to firm 、所により good という夏の名残の馬場で、英国としては異常なほどの高温だったようですね。先ずプレスティージ・ステークス Prestige S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)は1頭が取り消して8頭立て。前走ニューマーケットで素晴らしい新馬勝ちを見せたカタール・レーシングのリッチ・レガシー Rich Legacy が10対3の1番人気。

レースは4番人気(5対1)のキルマー Kilmah が逃げ、リッチ・レガシーは後方待機。残り2ハロン、本命馬は前が開かず、漸く追い上げたもののキルマーはギリギリ粘り込んでの逃げ切り勝ち。同じく後方から追い上げた2番人気(4対1)のプロマイジング Promising が追い詰めたものの首差及ばず2着。先行から流れ込んだ5番人気(6対1)のアーバン・フォックス Urban Fox が2馬身4分の1差で3着に入り、リッチ・レガシーは4着敗退です。
マーク・ジョンストン厩舎、フランニー・ノートン騎乗のキルマーは、5月末にニューマーケットでデビュー勝ちした馬。以来アルバニー・ステークス(GⅢ)6着、チェリー・ヒントン・ステークス(GⅡ)4着、プリンセス・マーガレット・ステークス(GⅢ)2着、ラウザー・ステークス(GⅡ)7着と全てG戦を使われてきました。前走こそ凡走に終わりましたが、距離が7ハロンに伸びてG戦初勝利。ただ父セポイ Sepoy は豪州のGⅠスプリンターだけに、距離的には7ハロンまでが限界かも知れません。

続いてはセレブレーション・マイル Celebration Mile (GⅡ、3歳上、1マイル)。同じ競馬場のグローリアス開催で行われたサセックス・ステークスの残念賞的な性格ですが、5頭が出走。前走同じグローリアス開催で3歳馬限定のマイル戦・サラブレッド・ステークス(GⅢ)に勝ったシクリヤート Thikriyaat が7対4の1番人気。その前にジャージー・ステークス(GⅡ)で2着したのが唯一の敗戦という底を見せていない馬で、レヴェルが高いと評価される3歳馬がサセックスの古馬組を期待で上回ったオッズです。
2頭を出走させてきたカタール・レーシングの1頭で5番人気(10対1)のアロッドArod が逃げ、2番人気(11対4)の3歳馬ゾンダーランド Zonderland が2番手を追走。後方を進んだシクリヤートはペースに付いて行けず、替わって脚を伸ばしてきたのが3番人気(4対1)のライトニング・スピアー Lightning Spear 、前が塞がると見るや外に出し、2番手から抜け出したゾンダーランドに1馬身4文3差を付けて差し切りました。逃げたアロッドが頭差で3着に粘り、シクリヤートは5着最下位に敗退。初の凡走です。

勝ったライトニング・スピアーは、逃げたアロッドと同じカタール・レーシングの勝負服。こちらはデヴィッド・シムコック厩舎で、オイジン・マーフィーが騎乗していました。5歳の今期はクィーン・アン・ステークス3着から始動し、サセックス・ステークスは6着、前走仏遠征のジャック・ル・マロワ賞9着と成績は今一つですが、全てGⅠ戦で戦ってきました。
去年はサマー・マイル(GⅡ)2着、ソロナウェー・ステークス(GⅡ)3着の入着歴があり、G戦はこれが初勝利。既にGⅠ戦で戦ってきた馬だけに、狙いはアスコットのクィーン・エリザベスⅡ世ステークスでのGⅠ制覇です。オッズはレース前の25対1から14対1に上がりました。シムコック師は、同馬の素質は来年開花する、と予言しています。

そして昨日はウインザー競馬場でもG戦が一鞍。ウインター・ヒル・ステークス Winter Hill S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン7ヤード)は、この競馬場唯一のG戦で、馬場は good to firm 、所により散水して漸く good という状態。6頭が出走し、冒頭で紹介したように帰ってきたムーアが騎乗するユリシーズ Ulysses が8対11の1番人気。スタウト厩舎の3歳馬で、前走ゴードン・ステークス(GⅢ)を制しており、4ポンドのペナルティーを背負っています。
4番人気(15対2)のチェーン・オブ・ディジーズ Chain Of Daisies が逃げ、2ハロン地点で2番手に上がったユリシーズが追い詰めに追い詰めましたが、最後は首の上げ下げ。ゴール板で運良く首を下げていたチェーン・オブ・ディジーズが、ユリシーズに短頭差で競り勝っていました。3着は6馬身の大差が付いて、3番手を進んだ3番人気(13対2)のファウンデーション Foundation 。

ヘンリー・キャンディー厩舎、ファーガス・スウィーニー騎乗のチェーン・オブ・ディジーズは、前走ソールズベリーで牝馬限定のリステッド戦に勝って調子を上げてきた4歳牝馬。3歳の夏に初勝利からハンデ戦で3連勝し、シーズンをリステッド戦勝利で締め括っており、2連勝でG戦初勝利となりました。
ところでライアン・ムーア、昨日はウインザーで2鞍騎乗して5着・2着。明日(28日)はカラーへは飛ばず、グッドウッドに参戦して英国では珍しい日曜日のG戦に騎乗することになっています。

 

 

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