ランニクルスのサロメ

8月最後の土曜日、プロムスではリヒャルト・シュトラウスの生誕150年を記念してサロメの全曲公演が行われました。

8月30日 ≪Prom 58≫
R.シュトラウス/歌劇「サロメ」
 ベルリン・ドイツ歌劇場
 指揮/ドナルド・ランニクルス Donald Runnicles
 サロメ/ニナ・シュティンメ Nina Stemme
 ヘロド/ブルクハルト・ウルリッヒ Burkhard Ulrich
 ヘロディアス/ドリス・ゾッフェル Doris Soffel
 ヨハナーン/サミュエル・ユーン Samuel Youn
 ナラボート/トーマス・ブロンデル Thomas Blondelle
 ヘロディアスの使者/ロニータ・ミラー Ronnita Miler
 第1のユダヤ人/パウル・カウフマン Paul Kaufmann
 第2のユダヤ人・奴隷/ギデオン・ポッペ Gideon Poppe
 第3のユダヤ人/イエルク・シェーナー Jorg Schorner
 第4のユダヤ人/クレメンス・ビーバー Clemens Bieber
 第5のユダヤ人/アンドルー・ハリス Andrew Harris
 第1のナザレ人/ノエル・ブーレー Noel Bouley
 第2のナザレ人/カールトン・フォード Carlton Ford
 第1の兵士/マルコ・ミンシア Marko Mincia
 第2の兵士/トビアス・ケーラー Tobias Kehrer
 カッパドキア人/セス・カリコ Seth Carico

ベルリンのスターツ・オーパーを迎えての演奏会形式、英国の巨匠でドイツ音楽に造詣の深いランニクルスの指揮。当初ヘロディアスにはイルディコ・コムロージがクレジットされていましたが、上記ゾッフェルに変更されました。
ゾッフェルと言えばコヴェント・ガーデンの「こうもり」でのオルロフスキーを思い出します。未だレーザー・ディスクが開発されたばかりの頃で、オペラの全曲公演を自宅のテレビで自由に見られる喜びに狂喜していたプログラムの一つでした。その彼女がドスの効いた声でヘロディアスを歌うのに吃驚。

タイトル・ロールを歌うシュティンメは流石で、現代のサロメでは第一人者でしょう。但しオペラの設定である16歳は厳しいでしょう。かなり訓練された声と演技が要求される分、どうしても熟女に成り勝ち。その点でシャンドス盤で歌っているインガー・ニールセンは奇跡かも。
来年はエレクトラ・デビューを果たすそうです。
ヨハナーンは途中でヒヤリとする個所もありましたが、直ぐに立て直して歌い切りました。

ネット中継ですから音質的には限界がありますが、最後にサロメがヨハナーンの首をジッと見入る個所に使われるオルガンの pp が効果的。オペラ・ハウスでもオルガンが装備されていない劇場で見ることもありますが、サロメの場合はオルガン装備の小屋で観たいものです。
その点では大オルガンを備えているロイヤル・アルバート・ホールは有利。この広大なスペース、ナマで接すればさぞかし感動的でしょう。

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