リンネの功績

大分時間が経ってしまいましたが、去る5月23日に天皇・皇后両陛下がスウェーデンを訪問され、ウプサラ大学でリンネ生誕300年祭に出席されました。リンネに関するスピーチも行っています。

リンネは我々虫好きに限らず、動植物に関心のある人は皆お世話になっていますね。
動植物の学名は2名法と言って、ラテン語を基にして、その文法に従って作られたのです。リンネの偉い所は、当時既に死語であったラテン語を採用したことでしょう。もし英語やドイツ語であれば、夫々の国の利権が絡まって、生物の正式名称は混乱し、収拾がつかなくなったはずだからです。

2名法は、正式には二名式学名と言うようで、1758年に出版された「自然の体系」第10版において創設されたものです。

自然史そのものは何もリンネが嚆矢ではなく、古くはプラトンやアリストテレスにまで遡る位のものですが、現代の分類学の基礎はリンネでしょう。
私が持っている古い資料などでは、その生年は1708年とされていましたが、1707年生まれが正しいようですね。で、今年300年。
因みに亡くなったのは1778年です。音楽家でいえば、バッハとハイドンの間ぐらいを生きています。

強引に音楽の話を引っ張り出しましたが、丁度100年前の1907年5月、リンネ生誕200年祭が行われました。
この記念に作曲されたのが、アルヴェーンのスウェーデン狂詩曲第2番。「ウプサラ・ラプソディー」というタイトルがついています。
リンネ縁のウプサラ大学で行われましたから、アルヴェーンはブラームスの大学祝典序曲に倣って学生歌を取り入れていますね。

さてリンネの学名、最初は「種」(species)の上位に「属」(genus)と「目」(order)をカテゴリーとして創設したんですな。昆虫については7目74属。私の好きな蝶は、Lepidoptera 即ち「鱗のついた羽」という意味です。リンネが如何に観察眼に優れていたかの証でしょう。

尤も鱗翅目については3属しか設けていません。蝶全般が Papilio 、あとはスズメガ類の Sphinx 、その他の蛾に Phalaena を充てています。
リンネ自身が命名したチョウは全部で192種。それから学問の発展と新種探索が進んで、現在では属は2000以上、種は2万種とも言われています。正確には誰も指摘できないと思います。

しかしリンネが素晴らしかったのは、チョウには擬人的な名称を選び、蝶の世界に古代ギリシャやローマの世界を現出しようとした(佐々木雅子氏)ところでしょう。素晴らしい名前を持つチョウが、それこそ綺羅星の如く並んでいます。それが昆虫少年に夢を与え続けてきたのですよ。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください