ハコベ
春の花の代表ともいえるハコベが咲き出しました。散歩のときに路傍でも普通に見られるもの。漢字では繁縷と書きます。
ところで何でもないようなハコベが意外に厄介で、分類学ではいくつかの種類に分けられるようです。
いろいろな図鑑類に当ってみたところ、昔から「ハコベ」と呼んでいるものは現在ではミドリハコベと称するのが定説の様ですね。
事態が面倒になってきたのは、ヨーロッパ原産の良く似たハコベが日本にも帰化してから。和名は「コハコベ」と命名され、日本全土に広まっています。
ハコベとコハコベの区別は、旧来のハコベ(ミドリハコベ)は雄蕊が多いのに対し、コハコベは少ないのだそうです。もう一点は名前の通りコハコベの方が小さいこと。
ただ、素人にとっては大きい・小さい、多い・少ないは、あくまでも並べて見てのことであって、単品で見て判断する基準にはならないと思いますが、どうでしょうか。
一般的にはミドリハコベもコハコベも一緒に「ハコベ」と呼んでいるようですね。
もう一つ問題なのはウシハコベという種類もあること。これは帰化植物ではなく、レッキとした国産種です。
これまた区別が難しいのですが、雌蕊の花柱の数で見分けることが出来ます。即ち花柱が3本なのがハコベ(ミドリハコベ)、5本なのがウシハコベ。
素人目には、花の中央にある白い筋が3本か5本か、ということ。
ハコベの花は小さいので花柱をチャンと観察するにはルーペが必要ですが、慣れれば肉眼でも見分けられます。
先日来、拙宅の周りのハコベを見て回りましたが、全てミドリハコベでした。
考えられるのは、本当にウシハコベがないのか、ウシハコベの開花期がハコベより遅いのか。恐らく後者だろうと考えていますが、もう少し時間をかけて観察してみようと思います。その結果はいずれ日記で。
ハコベは昔から鳥の餌として利用されていました。英語名では Chickweed といい、文字通り「ニワトリの雑草」という意味です。日本でも別称ヒヨコグサ、スズメグサというくらいですからね。
もちろん人間が食べても問題は無く、柔らかな葉先をおひたしにしたり、卵とじにして食べるそうです。私は未だチャレンジしたことはありませんが・・・。
ハコベ(ミドリハコベ)の学名は Stellaria neglecta ステルラリア・ネグレクタ。属名のステルラリアは、ラテン語の「星」 Stella に由来します。
ハコベは五弁花ですが、各花弁が深く二つに裂けているので花弁が10枚のように見えます。小さな花がたくさん付きますので、これを星に見立てたのは明らかでしょう。
種名のネグレクタは目立たない、という意味。
尚、コハコベの発見は1922年の東京だそうです。こちらの学名は Stellaria media ステルラリア・メディア。メディアは中間の、という意味です。
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