演奏会の予習法

今日はチョッと軽い話題を取り上げます。標題にある演奏会の予習。

クラシックのコンサートに出掛ける方の多くは、良く知っている曲を好きな音楽の演奏で楽しみたい、というのがチケットを買う理由でしょう。だから人気のある演奏家のチケットは取り難くなるし、演奏会を企画する側も人気アーチスト、切符が売れる有名な作品を並べたくなるのは自然の成り行き。
特に首都圏のコンサートは競争率が高いので、企画側としては席を出来るだけ多く埋めるのが死活問題にもなってきます。

と、ここまでは一般的な話ですが、コンサート・ゴアーの中には僅かながら天邪鬼も含まれています。演奏家は人気より実力、音楽は有名であることよりも如何に聴く人の好奇心を擽るかと考えている連中。
私がその一人がどうかは問わないことにして、個人的には名曲名演よりも未知の佳曲に惹かれるのは事実ですね。古典でも現代音楽でもジャンルは問わず、「これは初体験だ」という作品が取り上げられる演奏会は気になるもの。

幸いその演奏会のチケットを入手したとして、実際に聴く前には「予習」をしようと考えるのが人情。私もそのようにしてレパートリーを増やしてきました。
これまで予習は基本としてレコードと楽譜でした。私がクラシック音楽にのめり込み始めた頃はレコードは高価で、中々手に入るものではありません。一方楽譜は遥かに安価で、スコアを聴きながらラジオ放送で予習、というスタイルが身に付いたのは学生時代。春の祭典にしても弦チェレにしても、ヤマハの輸入楽譜売り場で870円だったと記憶しています。
このスタイルを何十年も続けてきましたが、最近では事情が一変してしまいました。レコード(CD)価格が暴落する一方で、楽譜の値段がメチャメチャ高くなったということばかりじゃないのです。

今や世の中はネット時代、レコードは配信で、楽譜も無料閲覧が可能だということに気が付いたのも最近のこと。ある会合ではユーチューブで見るのが一番で、これならほとんどの曲が揃っているという話でした。
若い世代なら最初から自然にこのスタイルに慣れるのでしょうが、私のようなロートル世代にとっては頭の切り替えが必要です。
レコードにしてもCDにしても現物を見なければ安心できないし、解説書が無いと落ち着かない。楽譜はそれ以上で、何時でも何処でも気軽にページをめくることが出来る紙ベースが当たり前で、パソコンやスマホの液晶画面で済ませるのはどうしても抵抗がある。

そんな私も、遂に新世代の仲間入りを果たしましたね。音源に付いてはナクソスのNMLで聴くことに何の抵抗も感じなくなったばかりか、CDプレーヤーを回すよりネット配信の方が音質的にも上位だということに気が付きましたし、CDそのものもパソコンにデータとして取り込み、それを再現する方が音が良い上、手続きが面倒じゃない。今やCDプレーヤーのスイッチは入らないままになっています。
一方の楽譜は相も変わらず楽譜屋さんの店頭で探したり、海外の出版社からネット販売で取り寄せてきました。為替レートに一喜一憂し、発注から届くまでの期間を考慮し、聴きたい演奏会に間に合うように注文する。作品がレアになればなるほど譜面も高価なものになり、余程のことが無い限りは手が出なくなってきた、というのが現実でした。

ところが探せばあるもの、世の中には版権の切れた楽譜を自由に閲覧できるサイトが合ったり、出版社や代理店ではオープン・パブリケーションと称して現物を見ることも可能なのですね。
これをクリックし、NMLで聴きたい音楽を選べば、パソコンの前に座るだけで予習が出来ちゃう。もちろん利用するにはすべからく基本料金が必要ですが、入手できるデータ量と比較すればほとんどタダみたいなもの、恐ろしい世の中になったものです。

ということでここ数日はこの手で未知なる音楽、見たことの無かった楽譜を見ながら聴いています。少しばかり紹介すると、
一昨年はシューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番(数日前に個人的な演奏会で聴き、改めてカッコいいと思ったもの)、バーバーの管弦楽のためのエッセイ第2番(以前にアカデミアを通して注文した所、絶版で断られたもの)、アデスの弦楽四重奏曲「アルカディナ」(今年のラボでエクが取り上げる予定、スコアを買わなくても良さそう)。

昨日はツェムリンスキーの弦楽四重奏曲第1番(これも以前買おうとしたものの、高価なパート譜付きで断念したもの)、グラズノフの結婚行進曲(スコアは市販されておらず諦めていたもの)、サンサーンスの七重奏曲(今年のチェンバーガーデン・フィナーレの演目で、昔は店頭にデュラン版が並んでいたものの、最近は余り見掛けないもの)。

今日もブロッホの合奏協奏曲第2番、ワーグナーのハ長調交響曲を見て聴いたばかり。これは単なる衝動聴きですけど・・・。

もちろん世界初演など音源の無い作品、スコアを公開していない作品もありますが、それはその時のことだし、浮かせたお金は現物に回せばよろしい。
無料で見られる楽譜サイトがどれかは、敢えて明記しません。関心がある方は自分で探しましょう。頭の体操になるし、ボケ防止にも役立つかも。指で譜面を捲るのではなく、マウスのクリックで次に飛ばすのは、チョッとした運動神経も要求されます。

 

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