ガルフストリーム・パーク競馬場の一日G戦7鞍

2月21日のアメリカ競馬は、GⅠ戦こそ無いもののフロリダのガルフストリーム・パーク競馬場では7鞍、更にルイジアナのフェア・グラウンズ競馬場でも4鞍のG戦が組まれるという忙しさ。若干駆け足になりますが、順に結果をレポートして行きましょう。

先ずはガルフストリーム・パーク競馬場。第4レースのランパート・ステークス Rampart S (GⅢ、4歳上牝、8ハロン)は、去年は3月末に9ハロンで施行されましたが、今年は1ヶ月早く、距離も短縮されています。fast の馬場に7頭が出走し、前走長期休養明けの一般ステークス(マイアミ・ショア・ステークス)に勝って3着以下の無いウエディング・トースト Wedding Toast が4対5の1番人気。
レースはブービー人気(35対1)のフラッターバイ Flutterby が逃げ、ウエディング・トーストはこれをマークして2番手追走。直線、最内を通ったウエディング・トーストに外から5番人気(22対1)のシーア・ドラマ Sheer Drama 、更に外から5番手を追走していた2番人気(3対1)のハウス・ルールズ House Rules が並び掛けて3頭の叩き合い。大外のハウス・ルールズの末脚が勝ってシーア・ドラマに1馬身半差、更に頭差でウエディング・トーストを抑えて先頭でのゴールイン。しかし最後の競り合いで内に寄れ、中のシーア・ドラマが挟まれる様に馬を抑え、外に持ち出す形になったことで2着馬の調教師と騎手から異議申し立てがありました。真偽の結果、決着が付いた後のアクシデントで結果を左右するものではないと見做され、入線通りで確定しています。
ジェームス・ジャーキンス厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のハウス・ルールズは、これがG戦初勝利。去年3歳時にはダヴォナ・デール・ステークス(GⅡ)とガルフストリーム・オークス(GⅡ)で共に2着しており、4歳の今年も前走一般ステークス(バル・ハーバー・ハンデ、ガルフストリームの8ハロン)に勝ってのステークス連勝です。

次の第5レースはザ・ヴェリー・ワン・ステークス The Very One S (芝GⅢ、4歳上牝、11ハロン)。firm の馬場に8頭立て。同じ9対5で2頭が並びましたが、僅かの差で休み明けながらシープスヘッド・ベイ・ステークス(芝GⅡ)、ニュー・ヨーク・ステークス(芝GⅡ)と芝のGⅡを連勝して以来となるリポスト Reposte が1番人気、差無く前年末にラ・プレヴォヤンテ・ステークス(芝GⅢ)に勝っているアイリッシュ・ミッション Irish Mission が続いていました。
レースはスタートから人気2頭のペース、リポストが逃げ、これをアイリッシュ・ミッションがマークするスローペースの流れとなって直線。最後は順調度の差が出たか、アイリッシュ・ミッションがリポストを1馬身半捉えて快勝しました。後方2番手から外を回って追い込んだ5番人気(11対1)のタブリード Tabreed が首差で3着。
このレース7勝目となるクリストフ・クレメント厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のアイリッシュ・ミッションは、2012年のカナダのクラシック勝馬で、去年はサラトガのグレン・フォールズ・ハンデ(芝GⅢ)にも勝っており、前走ラ・プレヴォヤンテに続いてアメリカのG戦は3勝目となります。本来は去年一杯で引退する予定でしたが、現役を少し伸ばしての勝利。この後も現役を続けるか、特に今年は寒いケンタッキーで繁殖入りするかは未定のようです。

第6レースのガルフストリーム・パーク・スプリント Gulfstream Park Sprint (GⅢ、4歳上、6.5ハロン)は、去年は7ハロンでしたが今年は更に短縮され、更にレース名に相応しくなった感じ。1頭が取り消して7頭が出走し、前走一般ステークス(フロリダ・サンシャイン・ミリオンズ・スプリント)に勝ってG戦初制覇を目指すウィークエンド・ハイドアウェイ Weekend Hideaway が8対5の1番人気。
ダッシュ良く5番人気(9対1)のハッピー・マイ・ウェイ Happy My Way と4番人気(6対1)のシー・ジー C.Zee が飛び出してハナを争いましたが、出遅れた2番人気(9対5)のミーン・シーズン Mean Season が強引にハナを奪っての逃げ。一旦は3~4番手に控えたシー・ジーが直線で盛り返し、2番手を追走したハッピー・マイ・ウェイに2馬身4分の3差を付けて優勝。更に3馬身4分の1差で3番人気(7対2)のスピーチファイ Speechify が3着に入り、人気のウィークエンド・ハイドアウェイは良い所なく5着敗退に終わりました。
スタンレー・ゴールド厩舎、エドガード・ザヤス騎乗のシー・ジーは、これがG戦初勝利。去年3歳時にはキーンランドのフェニックス・ステークス(GⅢ)などG戦では2着を4回も記録しており、前走2月8日のアローワンス戦(ガルフストリームの6ハロン)でも2着でした。

一般ステークスを挟んで第8レースに組まれたのが、オークスを目指す牝馬によるダヴォナ・デール・ステークス Davona Dale S (GⅡ、3歳牝、8ハロン)。1頭が取り消しても13頭立てと言う混戦で、ステークス初挑戦ながら2連勝中でプレッチャー厩舎が送りだすエスケンフォーマネー Eskenformoney と、BCジュヴェナイル・フィリーズ6着以来のプーカ Puca が7対2の並んだ1番人気。
好スタートからハナを切ったのは10番枠発走の8番人気(25対1)エカティーズ・フィートン Ekati’s Phaeton で、エスケンフォーマネーがこれを追走し、プーカは後方から。しかしエカティーズ・フィートンの脚色は最後まで衰えず、追走したエスケンフォーマネーと後方3番手から押し上げてきた3番人気(9対2)バードアットザワイア― Birdatthewire の3頭の叩き合い。最後は内を通ったエカティーズ・フィートンが外のバードアットザワイア―を首差抑えての逃げ切り勝ち。同じく首差で真ん中を衝いたエスケンフォーマネーは惜しくも3着に入り、プーカも4着に食い込んでいました。
ウイリアム・カプラン厩舎、ルイス・サエズ騎乗のエカティーズ・フィートンは、1月3日のオールド・ハット・ステークス(GⅢ)に勝った馬で、前走フォワード・ギャル・ステークス(GⅡ)はバードアットザワイア―の4着に敗れて人気を落としていました。G戦2勝目でオークス候補であることを主張した印象です。

この日のG戦5鞍目、第9レースは注目のマック・ダイアルミダ・ステークス Mac Diarmida S (芝GⅡ、4歳上、11ハロン)。8頭が出走し、何と言っても注目は去年の芝コース・チャンピオンと最強古馬牡馬のタイトルを獲得したメイン・シークエンス Main Sequence で、BCターフ優勝以来の休み明けながら3対5の断然1番人気に推されています。
5番人気(30対1)のチェンジ・オブ・コマンド Change of Command が逃げ、本命のライヴァルと思われる2番人気(2対1)のトゥワイライト・エクリプス Twilight Eclipse がこれをピタリとマークし、メイン・シークエンスは1番枠発走と言うこともあり、内の6番手でジッと我慢。直線、チェンジ・オブ・コマンドを交わして先ずトゥワイライト・エクリプスが先頭に躍り出ましたが、徐々に外に持ち出して進出してきたメイン・シークエンスが、ゴール前で圧倒的な末脚を爆発、トゥワイライト・エクリプスに4分の3馬身差を付けて幸先良いシーズン初戦を飾りました。更に1馬身4分の1差でチェンジ・オブ・コマンドが逃げ粘っての3着。
グレアム・モーション厩舎、ラジーヴ・マラー騎手とのコンビ復活したメイン・シークエンスについては解説の必要はないでしょう。去年はBCターフを頂点にGⅠ戦に4連勝、これでG戦5連勝とし、今年も芝の王座2連覇を目指します。

最後から二つ目、第10レースのカナディアン・ターフ・ステークス Canadian Turf S (芝GⅢ、4歳上、8ハロン)は2頭が取り消して13頭立ての混戦。去年5月にベルモントでポーカー・ステークス(芝GⅡ)に勝ち、GⅠ戦を含めて他にステークスで4回の2着経験があるジャック・ミルトン Jack Milton が9対5の1番人気。
レースは10番人気(30対1)のシルヴァー・フリーク Silver Freak が逃げましたが、前半は中団に待機した5番人気(10対1)のロング・オン・ヴァリュー Long On Value が早目に仕掛け、第4コーナー先頭で直線に向かうと、後方から追い込む2番人気(4対1)のグランド・ティート Grand Tito に1馬身4分の3差を付ける快勝。首差で8番人気(18対1)のアリピーカ Aripeka が3着に食い込む波乱で、ジャック・ミルトンも後方から追い上げましたが頭差届かず4着に終わっています。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のロング・オン・ヴァリューは、去年10月のトゥワイライト・ダービー(芝GⅡ)の勝馬で、トップハンデの123ポンドを背負っていました。前走マチス・ブラザース・マイル(芝GⅡ)は7着と大敗していましたが、ここで名誉回復の勝利です。

ガルフストリームの最後は、ダービー・ポイントが1着から4着まで夫々50-20-10-5ポイントが加算されるファウンテン・オブ・ユース・ステークス Fountain of Youth S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。8頭が出走し、前走ホーリー・ブル・ステークス(GⅡ)を制したアップスタート Upstart が4対5の1番人気。
レースは5番人気(13対1)のブルーグラス・シンガー Bluegrass Singer が逃げ、アップスタートは4~5番手に待機。前半逃げ馬を2~3番手で追走した2番人気(7対2)のフロステッド Frosted がスパートして先頭で直線に向きましたが、同馬も直線中程で一杯。替って人気のアップスタートが外からこれを交わすと、ほとんど同時に3番人気(5対1)のイッツアノックアウト Itsaknockout がこれを交わす勢いで外から迫ります。3頭が雁行するような形となり、中のアップスタートが外に進路を変えましたが、これがイッツアノックアウトの進路に侵入。最後はアップスタートが1馬身4分の3差イッツアノックアウトに先着しましたが、裁決と異議申し立ての対象に。審議の結果、イッツアノックアウトが繰り上がって優勝し、アップスタートは2着降着となってしまいました。2馬身4分の3差で最低人気(60対1)のフラメント Frammento が3着。降着となったアップスタートのリチャード・ヴィオレッタ調教師は、あの場合は進路を変えざるを得ない流れだ、と不満気です。
トッド・プレッチャー厩舎、ルイス・サエズ騎乗のイッツアノックアウトは、ガルフストリームで新馬戦とアローワンス戦に連勝し、今回がステークス初挑戦で3連勝となった新星。降着による勝利とは言いながらダービーへの50ポイントを獲得し、厩舎期待の1頭に急上昇しました。

この日はフェア・グラウンズ競馬場でもG戦4鞍の固め打ち、最初のマインシャフト・ハンデキャップ Mineshaft H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)は fast の馬場に2頭が取り消して10頭立てで行われ、昨年秋のホーソン・ゴールド・カップ(GⅡ)に勝って以来の競馬となるレッド・ライフル Red Rifle が8対5の1番人気に支持されていました。
レースは伏兵(17対1、8番人気)ミステリー・トレイン Mystery Train が逃げ、レッド・ライフルは4番手から。しかし3番手を進んだブービー人気(21対1)のストリート・ベイブ Street Babe が前を捉えると、逃げたミステリー・トレインに4分の3馬身差を付けて優勝するサプライズ。人気のレッド・ライフルは先手を取れなかったことが響いたようで、2馬身半差の3着に終わりました。
マイケル・ディルガー厩舎、カーウィン・クラーク騎乗のストリート・ベイブは、これが未だ3戦目と調整が遅れていた4歳せん馬。去年11月にアケダクトでデビュー勝ちし、大晦日にガルフストリームのアローワンス戦が2着。僅か3戦目でのG戦初勝利です。

二つ目はフェア・グラウンズ・ハンデキャップ Fair Grounds H (芝GⅢ、4歳上、約9ハロン)。firm の馬場に1頭が取り消して1頭立て。去年の2着馬で、続くマーヴィン・ミニュッツ・ハンデ(芝GⅡ)を制したスカイリング Skyring が5対2の1番人気。
しかし6番人気(13対1)のチョコレート・ライド Chocolate Ride が好スタートから先手を奪うと、競り掛ける馬が無いのを利しての鮮やかな逃げ切り勝ち。1馬身4分の3馬身差で2番人気(7対2)のグレナード Glenard が2着に追い込み、同じく2番人気で並んだパイライト・マウンテン Pyrite Mountain が3着。スカイリングは積極的に一旦は2番手まで押し上げましたが、終始大外を通ったのが響いたか、最後はバテて最下位の惨敗に終わりました。
ブラッド・コックス厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のチョコレート・ライドは、去年11月にコックス師がクレーミング戦で手に入れたばかりで、前走2月7日のアローワンス戦に続く連勝、G戦初勝利を記録しました。

フェア・グラウンズのG戦3鞍目は、来たるフェア・グラウンズ・オークス(GⅡ)のステップ戦となるレーチェル・アレキサンドラ・ステークス Rachel Alexandra S (GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)。フェア・グラウンズ・オークスの勝馬はこの3年で2頭がケンタッキー・オークスも制していますから、注目度は抜群でしょう。10頭が出走し、前走ここフェア・グラウンズの一般ステークス(シルヴァーバレット・デイ・ステークス)を逃げ切ったアイム・ア・チャッターボックス I’m a Chatterbox が3対1の1番人気。
先ず飛び出したのは最低人気(77対1)のプレザント・テイルズ Pleasant Tales でしたが、直ぐにブービー人気(71対1)のホワイト・クローヴァー White Clover が逃げ、前走では逃げたアイム・ア・チャッターボックスは最後方から。しかし人気になるだけのことはあり、直線ではこの馬だけが別格の勢いで抜け出すと、4頭の熾烈な2着争いを尻目に2馬身半差突き抜けて快勝。写真判定の結果、2着には3番手を進んだ5番人気(5対1)のラヴリー・マリア Lovely Maria が入り、首差でこれも先行した7番人気(8対1)のフォーエヴァー・アンブライドルド Forever Unbridled が3着。
ラリー・ジョーンズ厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のアイム・ア・チャッターボックスは、10月にキーンランドでデビュー勝ち。続くチャーチル・ダウンズのアローワンス戦は3着で、2歳最後のゴールデン・ロッド・ステークス(GⅡ)は4着に終わっていました。これで今季はステークスに2連勝、フェア・グラウンズでは2戦2勝となり、オークスの有力候補に上がってきました。ジェルー騎手はフェア・グラウンズ・ハンデに続くG戦勝で、一般ステークスと併せてこの日のステークス3勝目となります。

最後はダービーを目指す馬たちのリズン・スター・ステークス Risen Star S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。これもフロリダのファウンテン・オブ・ユースと同じくダービー50ポイント対象のレースです。1頭が取り消して9頭立て、これが3歳の初戦ながら、前走ケンタッキー・ジョッキー・クラブ・ステークス(GⅡ)で現時点のポイント1位エル・カビア El Kabeir の2着したインペリア Imperia が3対2の1番人気。
レースは7番人気(29対1)のセント・ジョー・ベイ St Joe Bay と最低人気(99対1)ヒーロー・オブ・ユーモア Hero of Humor の2頭が後続を引き離して逃げる展開。しかし大外10番枠から出て後方に待機した並んだ2番人気のインターナショナル・スター International Star が内ラチ沿いに馬群を巧みに捌くと、直線で一気に加速し、同じ7対2で並ぶウォー・ストーリー War Story に1馬身差を付けて優勝。更に1馬身4分の3差で5番人気(7対1)のキーン・アイス Keen Ice が3着に入り、インペリアも中団から追い込みましたが4着に終わりました。
マイケル・メイカー厩舎、ミグェル・メナ騎乗のインターナショナル・スターは、何度か取り上げているように去年のリーディング・オーナーであるラムゼー夫妻の持ち馬で、1月17日にこのレースのステップ戦となるルコント・ステークス(GⅢ)を勝った時に詳しく紹介済み。ダービー・ポイントは71ポイントに上がり、現時点のトップに立ちました。2位には、この日ファウンテン・オブ・ユースに勝ったイッツアノックアウトが上がっています。インターナショナル・スターは、このあと同じフェア・グラウンズのルイジアナ・ダービー(GⅠ、3月29日)からケンタッキー・ダービーを目指す予定だそうです。

 

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