153

またマエストロサロンの続きなんですが、バルトークの版の話題がありましたね。息子のピーター・バルトークが改訂の仕事に本格的に着手して、中国の役人も新版でしか演奏できないとか。

ピーター・バルトークって幾つになったんでしょうかねぇ。シュタルケルのソロでコダイの無伴奏を録音していましたよね。モノラルの時代だから、現役なら相当な年。そういえばニュー・ミュージックQの録音をピーターがCD化している、という話をやくぺん先生から聞きましたし、あれこれ活動しているようですね。

話は違うんですが、バルトークにミクロコスモスというピアノ曲集があります。これは息子・ピーターのために書いたものです。英語読みだからピーターだけど、ペーテルですね。

この曲集が153曲からなっていることはご存知でしょう。この数に故・柴田南雄さんが着目して、『ミクロコスモス』について、というエッセーを書かれています。
柴田氏は、新約聖書のヨハネ伝の中に、七人の弟子の漁労の情景で、弟子のシモン・ペトロの許にキリストが出現し、網に掛かった魚を数えてみると153尾いた、とあるのを読んで、曲集の数がペトロの名と息子・ペーテルと関係している、と解くのです。

柴田氏は更に論を進め、バッハ学者のスメントが、バッハがヨハネ受難曲の第1曲をダ・カーポしてフェルマータまでを153小節に作曲したのは、ヨハネ伝の魚の数に一致させたからで、153は17の9倍、10も7も聖なる数だ、という説を紹介して、跳び上がるほど驚いた、と書いておられます。

これを読んだ私は柴田氏以上に「跳び上がるほど驚き」ましたよ。
で、早速ヨハネ受難曲のスコアを数えてみたら、なるほど153小節です。

バッハってこういうことを平気でするんですよね。これ、知ってます?
柴田氏の「音楽にしひがし」(青土社)という本に出ていますが、今では入手困難のようです。

ピーター・バルトークのことで思い出しましたし、受難週間も近いことですから、紹介しておきました。

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