サロネンの刺激的なプログラム
前回のボストン交響楽団はショスタコーヴィチの2曲(一つはアンコール)で賑々しく締めましたが、翌日のフィルハーモニアもメインにショスタコーヴィチを取り上げました。
首席指揮者サロネンが、真に刺激的なプログラムを組んでいます。(歌手の呼び方は我流ですから英文表記を参考にして下さい)
8月24日 ≪Prom 53≫
バルトーク/バレエ音楽「不思議なマンダリン」
モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番ハ短調K491
~休憩~
ショスタコーヴィチ(ジェラード・マクバーニー編)/歌劇「オランゴ」~プロローグ
フィルハーモニア管弦楽団
指揮/エサ=ペッカ・サロネン Esa-Pekka Salonen
ピアノ/ダヴィッド・フレイ David Fray
スザンナ/ナタリア・パヴロヴァ Natalia Pavlova
ルネー/ナタリア・ヤキモヴァ Natalia Yakimova
アルマンド・フル―リー/アレキサンダー・シャグン Alexander Shagun
ポール・マシェ/アレキサンダー・トロフィモフ Alexander Trofimov
外国人1/ウラディーミル・バボーキン Vladimir Babokin
外国人2/オレグ・ロセフ Oleg Losev
ズーロジスト/ディミトリ―・コレウシュコ Dmitry Koleushko
オランゴ/イヴァン・ノヴォセロフ Ivan Novoselov
群衆の声/レオ・エルハルト Leo Elhardt
儀式長/デニス・べガンキス Denis Begankis
ヴェセルチャク/ユーリ・イヴシュク Yuri Yevchuk
合唱/フィルハーモニア・ヴォイシス
舞台監督/イリーナ・ブラウン Irina Brown
サロネンとフィルハーモニアは確か今年の3月にも日本ツアーを行いましたが、プログラムが余りにも常識的で、私は行く気が起きませんでした。確かに名曲を並べれば集客力はアップするでしょうか、今回のプロムスの演目のような冒険は出来ないんでしょうか? このプロなら文句なく出掛けますが・・・。
ということで、才人サロネンを200%楽しめるコンサートです。
冒頭のバルトークは組曲じゃなく、フィルハーモニア・ヴォイシスも加わる全曲バレエ。これはこうでなくちゃ、ネ。作品については何度も聴きましたが、サロネンのは、どうしようもない位に素晴らしい演奏。改めてバルトークの斬新な響きに耳を奪われました。
続くモーツァルトは、ピアノ協奏曲シリーズのモーツァルト後期編。フレイというフランスの若手ピアニストは初めて聴きましたが、実に透明な音色を持ち、高貴とも言える名演でした。何でも浜松のコンクールで特別賞を貰ったみたい。
今回はバドゥラ=スコダのカデンツァを弾いて、その存在感を高めました。
後半のショスタコーヴィチは、私は初体験。未完のオペラで、今回はプロムス初演だそうです。2004年にプロローグ部分のピアノ・スコアが発見され、ジェラード・マクバーニーという人がオーケストレーションしたもの。作品のタイトルはオランウータンからの造語で、半猿半人の意味だそうな。サロネンがロサンジェルスで初演し、その時のライヴ録音がCD化されています(DG)。未だNMLでは聴けません。
発見の経緯や内容などはウィキペディアにも取り上げられていますから、未だ知らない人はこちらを↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B4_(%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9)
演奏時間は30分強。合唱団だけでなく、サロネンも赤のTシャツで登場し、赤で統一された舞台(写真をチラっと見ることが出来ます)。途中に笑いもあったりして、これはやはり映像で見たいもの。日本の呼び屋さん、採算など余り気にせず、こういう作品を紹介してくれませんか? って、やっぱり無理か。
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