プロムスのサン・フランシスコ響(1)

ボストン交響楽団に続き今年のプロムスに登場する二つ目のアメリカのオーケストラ、サン・フランシスコ交響楽団を聴きました。
指揮は、このオーケストラの音楽監督を20年も勤めている愛称「エム・ティー・ティー」ことマイケル・ティルソン・トーマスです。コンサートは2晩あって、今回は第1回目。

8月30日 ≪Prom 60≫
シェーンベルク/主題と変奏
ヘンリー・カウエル Henry Cowell/ピアノ協奏曲
     ~休憩~
マーラー/交響曲第1番
 サン・フランシスコ交響楽団
 指揮/マイケル・ティルソン・トーマス Michael Tilson Thomas
 ピアノ/ジェレミー・デンク Jeremy Denk

アメリカ発のオーケストラと言うこともあり、米国に因んだ選曲が並びます。
最初のシェーンベルクは、作曲者がアメリカに亡命してからの作品で、作品番号は43。この43には「a」と「b」の2種類があって、a は管楽器版。今回はもちろん管弦楽版の b が演奏されました。
主題と7つの変奏にコーダ(フィナーレ)が付いた、変奏曲形式の定番です。

続いては今年のプロムスのテーマにも繋がるピアノ協奏曲撰から、アメリカの鬼才カウエルの協奏曲。カウエルはクラスターを用いる前衛の作曲家で、ベルリンでシェーンベルクに師事したこともあるという点で1曲目から巧みに繋がってきます。
教師としても重要な人物で、その弟子にはガーシュウィンやケージ、バート・バカラックなど様々なスタイルの作曲家が目白押し。異文化にも積極的で、琴のための作品や、「Ongaku」というタイトルの作品もあります。

ピアノ協奏曲は1930年の作品で、3楽章から成り、指だけでなく腕を使ってクラスターを響かせる作品。今回がプロムス初演だそうです。
ソロを弾くデンクとトーマス/サン・フランシスコ響はこの曲を既にライヴ収録していて、NMLでも聴けますから予習・復習には事欠きません。カウエルの作品は Music Sales Classical で多数が閲覧できますが、残念ながらピアノ協奏曲は無いようです。

アンコールがあり、次回のコンサートでも演奏予定のアイヴスが書いたピアノ・ソナタ第2番「コンコルド」から第3楽章「オルコット家の人々」。ベートーヴェンの第5交響曲タタタターンが引用される有名な楽章ですね。これは IMSLP でスコアを見ることが出来ます。

最後はマーラーの名曲。マーラーもニューヨーク・フィルの音楽監督を務めていましたから、アメリカ繋がりでしょう。MTTはマーラー全集を完成させていますから、特にコメントはありません。

 

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