グレート・レディー・エムの歴史

いつもなら数多くのG戦ん゛目白押しとなるアメリカの土曜競馬ですが、昨日4月23日は僅か3鞍のみ。翌々週のケンタッキー・オークスとダービーを直前に控えて嵐の前の静けさといったところです。

その3鞍、最初はキーランド競馬場の芝コースで行われる長距離戦、エルクホーン・ステークス Elkhorn S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)から。firm の馬場にこの分野のスペシャリスト8頭が出走し、2頭が同じ5対2で並びました。僅かの差で1番人気に支持されたのは、芝の1マイル半G戦を2勝しているダ・ビッグ・ハース Da Big Hoss 。僅差2番人気が銀メダル・コレクターのカイグン Kaigun 。
レースは長距離戦ということでスローペース、7番人気(17対1)のア・レッド・タイ・デイ A Red Tie Day が逃げ、ダ・ビッグ・ハースは3番手を追走して直線。逃げ馬が直線中程でも未だ先頭で粘っていましたが、ダ・ビッグ・ハースは内ラチ沿いを衝いて伸び、5番手から外を通って追い込んできたカイグンに半馬身差を付けて優勝。同じく半馬身差で後方3番手から6番人気(9対1)のロイヤル・アルバート・ホール Royal Albert Hall が3着に食い込みました。最後の叩き合いで逃げたア・レッド・タイ・デイが内の3着馬と外のカイグンに挟まれるようにして騎手がチェックするアクシデントがあり審議に。しかし逃げ馬が交わされて脱落した後だったこともあり、入線通りで確定、海軍はG戦8つ目の銀メダルとなりました。
マイケル・メイカー厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のダ・ビッグ・ハースは、去年9月のケンタッキー・ターフ・カップ(芝GⅡ)、今年1月のジョン・B・コナリー・ターフ・カップ(芝GⅢ)に続いて1マイル半の芝G戦は3勝目。前走3月のマック・ダイアルミダ・ステークス(芝GⅢ)5着からのリバウンドです。今期も芝のG戦では常連になる1頭で、最終目標は去年6着に終わったBCターフ制覇でしょう。

続いてステークスをズラリと並べたチャールズ・タウン競馬場から、唯一のG戦チャールズ・タウン・クラシック Charles Town Classic (GⅡ、4歳上、9ハロン)。小回りコースのためコーナーを3回も回るのが特徴。fast の馬場に1頭が取り消して10頭立て。サン・アントニオ・ステークス(GⅡ)3着のドンワース Donworth が2対1の1番人気。
小回りを利して逃げたのは3番人気(7対2)のスタンフォード Stanford 、これを去年3着で4番人気(6対1)のページ・マッケニー Page McKenny が2番手で追走します。さすがに小回り、スタンフォードは直線でも内ラチぎりぎりを通って逃げ続け、そのまま2番手を追走したページ・マッケニーに2馬身差を付けて思惑通りの逃げ切り勝ちです。ドンワースも早目に4番手に上がって追走しましたが、1馬身4分の3差届かず3着に終わりました。
トッド・プレッチャー厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のスタンフォードは、これがG戦初勝利の4歳牡馬。3歳時にはルイジアナ・ダービー(GⅡ)で首差の2着と惜敗し、その後モンマス競馬場のロング・ビーチ・ステークス(一般ステークス)に優勝。今年は2月にフレッド・W・フーパー・ステークス(GⅢ)で2着し、前走ガルフストリーム・パーク・ステークス(GⅡ)でも逃げ粘って惜しくも2着でした。今後は未定とのことですが、メトロポリタン・ハンデでGⅠ挑戦というプランが有力です。

最後にロス・アラミトス競馬場のグレート・レディー・M・ステークス Great Lady M. S (GⅡ、3歳上牝、6.5ハロン)。去年は7月11日に行われましたが、その際はレースの由来が判らずペンディングとしていたもの。その後の調べで詳しい歴史が判明したので、ここに改めて紹介しておきましょう。
このレースは1941年、7ハロンのセコイア・ハンデキャップ Sequoia H としてハリウッド競馬場に創設されましたが、1942年と1943年は戦争のため中止。1947年から1958年までの12年間もレースは行われませんでしたが、1959年に6ハロン戦として再開し、グレード制が導入された1973年と1974年はGⅢに格付けされます。1975年からはノー・グレードで行われ、1979年にエイ・グリーム・ハンデキャップ A Gleam H と改名。エイ・グリームとはハリウッド・オークスなどカリフォルニアで活躍した名牝の名前です。1983年から再び距離が7ハロンに延長され、1986年に再びGⅢに格付け。1990年にはGⅡに昇格し、2013年までGⅡとして行われてきましたがハリウッド競馬場の閉鎖で一旦終了していました。そして2014年度はロス・アラミトス競馬場の6.5ハロンに移した上でレース名もグレート・レディー・エム・ステークスと改名し、グレード無しで施行され、2015年に改めてGⅡに格付けされたもの。グレート・レディー・エムは1980年、エイ・グリーム時代の勝馬に因みます。
因みにサラブレッド・データ・ベースのグレード記載には誤りがあるようです。
そして新しいレース名としては2回目のG戦となる今年、fast の馬場に7頭が出走し、去年の勝馬で3連勝中のファンタスティック・スタイル Fantastic Style が連覇を掛けて1対2の断然1番人気に支持されていました。
逃げたのは5番人気(9対1)のサーティーン・アロウズ Thirteen Arrows 、ファンタスティック・スタイルはこれを2番手で追走します。第4コーナーで外から逃げ馬を捉えた本命馬、3番手から連れて追い込む2番人気(8対1)ロスト・バス Lost Bus との叩き合いとなりましたが、前半は後方2番手からの競馬となった同じく3番人気(8対1)のファイネスト・シティー Finest City が更に外から2頭を纏めて差し切り、2着争いに1馬身4分の1差を付ける逆転劇です。2着争いは内のファンタスティック・スタイルが頭差でロスト・バスを抑えて死守。
これがG戦初勝利となる27歳の若手調教師イアン・クラルジャックが管理、今回が同馬とは初コンビとなるケント・デサーモ騎乗のファイネスト・シティーは、これがG戦初勝利となる4歳馬。1月サンタ・アニタのサンタ・モニカ・ハンデ(GⅡ、7ハロン)でロスト・バスの2着し、波乱の要因となったのは記憶に新しい所。そのあと2月のアローワンス戦3着、3月20日のラス・フローレス・ステークス(GⅢ)でも4着と今一つの成績でしたが、今回は鮮やかな追込みで通算成績を10戦3勝2着3回3着1回としました。

 

 

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