フェスタ3日目

日曜日は晴海のSQWフェスタ3日目を楽しんできました、というかもう、圧倒されっ放しで、何も書くことが無いんですがね。一応記録として。
開幕の案内と初日のレポートは既に書きました。昨日の2日目も行きたかったんですが、日本フィルの定期と重なり断念。尤も演奏会の時間がずれていましたから無理をすれば梯子は出来たんですが、あの雨。後のことを考えて思い止まったような次第です。
で、昨日は「死をめぐる断章」というタイトル、バルトークとベートーヴェンが死に向き合い、夫々のやり方で、死を美しい音楽に生まれ変わらせる現場を体験するものだったんですね。
今日はその対極、「ときめきと憧憬」というタイトルで、前日の内向きの音楽とは正反対の外向きの音楽を並べたプログラムです。外向きというか、生きることへの情熱の激しさ、ということですね。
ハーバート・ハウエルズ/ファンタジー
バルトーク/弦楽四重奏曲第1番作品7
     ~休憩~
チャイコフスキー/弦楽六重奏曲作品70「フィレンツェの想い出」
 ボロメーオ・ストリング・クァルテット
 クァルテット・エクセルシオ
今日は出演者が入り組んでいて、最初の作品はエクセルシオの演奏、続くバルトークをボロメーオ。最後のチャイコフスキーでは、ボロメーオの全員に加えて第2ヴィオラがエクセルシオの吉田有紀子、第1チェロに同じエクセルシオの大友肇というラインナップです。皆プロの中のプロ、これは聴きものでしょう。
最初のハウエルズは初めて聴く作品。この作曲家も私にとっては初めて耳にした名前です。
ファンタジーは、英国に室内楽創作伝統を蘇らせるべく創設されたコンクールで受賞した作品の由。かつて17世紀に存在したバードやギボンズが一つのジャンルとして高めた「ファンタジア」をモデルにしたものとのこと。単一楽章で、曲想が次々と変化していく面白いものでした。
これ、いかにも英国の作品という趣で、4つの楽器夫々にソロが置かれていますし、我々日本人にも何となく懐かしげな旋律線に溢れ、非常に美しい音楽です。
エクセルシオも何処でこんなレパートリーを手中にしたのか、と感心するほどにミッチリ弾き込まれているようで、相変わらず見事なアンサンブルを響かせてくれました。
替わって今フェスタのキュレーターたるボロメーオ登場。例によって足踏み式電子譜面台も登場します。
圧巻のバルトーク、とだけ言えばよいでしょうか。バルトーク最初のクァルテットは、止まる所を知らぬほどに興奮と熱狂の連続。いやが上にも聴き手の耳を釘付けにしていくのです。根底にはバルトークの恋人への想いがあって、なるほど「ときめきと憧憬」。作品の性格と演奏がピタリ一致する快感。
最後のチャイコフスキー。実は、私にとってこれは初体験の作品でした。名前はもちろん知っていましたが、ナマに限らず録音も含めて、全く初めて耳にしたのです。そういうことって、あるもんなんですねぇ。
でもね、これ凄かったですヨ。6人の合奏は唸りに唸り、音がホールに渦巻き、遂には竜巻になって空間一杯に炸裂する。我々はただただ圧倒されるばかり。
この夜ほど、弦の響きの物凄さに圧倒された時間を持ったことはなかったのではないか。とにかく名手6人、誰を見ていいのか目移りがして大変。最上級の室内楽は、下手な格闘技なんぞ見るよりはるかにスリルがあります。
満場割れんばかりの拍手。コンサートを終えてホワイエに顔を出したメンバーにも大拍手。一人また一人と出てくるたびに待ちかねたように喝采が起きていたのは、聴いた人みんなが大満足でコンサートを楽しんだ証拠でしょう。
これを聴かないなんて、何ともったいない。席はまだまだ空いていたのにね。
もらったチラシを良く見たら、今回のフェスタは全て録音・録画されていて、ボロメーオに直接申し込んで購入できるんだそうです。CD、DVDの他にブルー・レイ・ディスクなんかもあるんだそうで、今日のチャイコフスキーは買うっきゃないでしょ。良い思い出になりますよ。
さてフェスタも前半が終了、来週は5日目と6日目を聴きに行く予定です。最後のメンデルスゾーンの八重奏曲、楽しみだなぁ~。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください