フランスダービー2008
今朝、フランスダービーの結果をチェックしました。日本から熱い注目を集めていた牝馬のナタゴラ、結局3着に終わったようです。1900メートルまでは先頭だったようですが、あと100メートルが長かったようですね。
騎乗したデットーリくんの話では、ラスト200メートルでバテたものの最後は再び伸びた、ということ。不可能なことにチャレンジした結果、というコメントが出されています。
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この日のシャンティー競馬場の馬場はソフト。日本風に言えば重馬場でしょうか。シャンティー地方は火曜日(5月27日)の夜が嵐だったそうで、その後水・木と小雨、当日は好天に恵まれたようですが、ナタゴラのスピードを活かすには、やや馬場が重かったのかも知れません。距離と馬場状態、これを考えれば大好走。スーパースターであることには間違いありません。
ナタゴラの次走は8月3日のドーヴィル、アスタルテ賞になる予定です。このレースは今年からロッシルド賞 Prix Rothschild と改名されるんだそうですね。英語風に読めばロスチャイルド賞。ロスチャイルド家は言うまでもなく、フランス競馬界においても大生産者・名馬主の伝統があります。
肝心の勝馬、4番枠からスタートしたヴィジョン・デタ Vision D’Eta でした。これまで聞かない名前でしたが14対1、そこそこ人気があった馬です。
調教師はリボー E.Libaud という方、騎手はイオリツ・メンディザバル Ioritz Mendizabal と読むんでしょうか。ほとんど情報がありません。
リボー師は、どうやらフランス西部のサルテ Sarthe 地方をベースにしている調教師だそうで、ヴィジョン・デタはこれで4戦4勝。要するに無敗のダービー馬です。
最近のフランス競馬は、いわゆる地方馬の活躍が目立っていまして、ロンシャン・シャンティー・ドーヴィル・サン=クルーなどのパリ地区の大レースに挑戦して好成績を挙げているケースが目立ってきたように感じます。
師によると、この馬は極めて難しい馬だそうで、レース間隔を5~6週間は空けないと使えないとか。ただ能力は極めて高く、パリ地区のクラシックを狙える器と判断したようですね。
従ってヴィジョン・デタの次走は白紙。充分な間隔を空けるでしょうから、パリ大賞典やアイルランド・ダービーという線は出てこないでしょう。
血統については後で触れるとして、2着に入ったのはデルモット・ウェルド厩舎がアイルランドから送り込んだフェイマス・ネイム Famous Name 、人気は12対1でした。20頭立て17番枠からスタートし、最後は懸命に追い上げたものの頭差届かず。枠順さえ良ければ、と悔やまれる一戦でした。騎手はパット・スマーレン。
ウェルド厩舎はフェイマス・ネイムの好走で、俄然エプサムのクラシックに注目が集まりますね。実際、ダービーに予定しているカジュアル・コンケスト、オークスのチャイニーズ・ホワイトの人気が一段と上がったようです。
6月1日のシャンティーは一種のフェスティヴァル状態で、他にパターンレースが4つ行われています。結果だけ簡単に紹介すると、
ロヨーモン賞 Prix de Royaumont (GⅢ、3歳牝、2400メートル)はサブ・ローズ Sub Rose が優勝。このレースは仏オークスより距離が長く、事実上のクラシック距離。サブ・ローズはアイルランド・オークスに向かう予定。
サンドリンガム賞 Prix de Sandringham (GⅡ、3歳、1600メートル)は1マイルの重賞。フランス1000ギニー4着で1番人気のモダン・ルック Modern Look が快勝。ギニー3着のハーフウェイ・トゥー・へヴンが愛1000ギニーを制したこともあり、改めて今年のフランス牝馬勢の質の高さが証明された形。
グロ=シェーヌ賞 Prix du Gros-Chene (GⅡ、3歳上、1000メートル)は、ヘッド厩舎のマルシャン・ドール Marchand D’Or が出遅れながら圧勝。当然ながらロイヤル・アスコットのゴールデン・ジュビリーでも人気の1頭になるでしょう。
グラン・プリ・ド・シャンティー Gran Prix de Chantilly (GⅡ、4歳上、2400メートル)はクラシック距離の古馬戦。1番人気のドクター・ディノ Doctor Dino が順当勝。2着はザンベジ・サンで、そろそろ復調の兆しか。
ドクター・ディノはサンクルー大賞典をステップにキング・ジョージを狙う予定とか。
最後に2008年フランス・ダービー馬となったヴィジョン・デタの血統を紹介しておきましょう。
父はチチカステナンゴ Chichicastenango 、母はユべラバ Uberaba 、母の父はガルデ・ロイヤル Garde Royale ということになります。ヴィジョン・デタは2005年4月20日生まれの鹿毛馬。
母ユベラバが2002年に産んだミラン・ドゥー・ミル Milan Deux Mille という馬は、グランドナショナルに勝った障害の名馬で、父はダブル・ベッド Double Bed 、つまりヴィジョン・デタはその半弟に当ります。
いかにもスタミナがありそうな血統ですね。
一方父・チチカステナンゴは2001年のフランス・クラシック界を賑わせた馬で、仏ダービーのトライアルであるリュパン賞(2100メートル)に勝ち、フランス・ダービー(この年はまだ2400メートル)はアナバー・ブルー Anabaa Blue の2着に健闘しています。そのあとパリ大賞典(このときは2000メートル)にも快勝、凱旋門賞トライアルであるニエル賞は、ゴラン Golan とアナバー・ブルーに続く3着。フランスのスタミナ血統を代表する血脈と見て良さそうですね。
さてチチカステナンゴの父系を見渡すと、そもそもは名スプリンターであるグレイ・ソヴリン Grey Sovereign に源を発し、以下フォルティノ Fortino →カロ Caro →カルドゥーン Kaldoun →スマドゥーン Smadoun →チチカステナンゴと世代を重ねる毎にスタミナを蓄えてきたサイアー・ラインでもあります。
血統に詳しい諸兄ならピンと来るように、グレイ・ソヴリン以来ずっと芦毛が続いてきた父系でもあります。
鹿毛として生まれたヴィジョン・デタ、これからも少ないであろう出走機会を注意深く見守っていきましょう。
ことの序に、チチカステナンゴの名前の由来を勉強しておきましょうね。この不思議な名前は、グアテマラ共和国の山中にある都市の名前で、ツーリストの間では市場が有名なんです。マヤ文明を色濃く残した街、ネットで検索したら出てきました。↓
http://www.geocities.jp/bokata94/chichi.htm
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