セントレジャー開催2008・3日目

ドンカスターのセントレジャー開催3日目、パターン・レースは二つ。
フライング・チルダース・ステークス(GⅡ、2歳、5ハロン)は競馬黎明期の名馬の名前に因んだレース。5ハロンという最短距離戦だけあって、将来はスプリントに活路を見出す馬が主役です。パターン・システム導入時はGⅠでしたが、現在はⅡ。
パターン競走に勝ってしまうと以後はペナルティーが科せられるので、過去の勝馬も3歳になると苦戦するケースが多いようです。ただ、去年の覇者フリーティング・スピリットは今年も活躍、キングズ・スタンド・ステークスを制していますね。
今年は12頭立て、何と3分の2に相当する8頭が牝馬という混戦になりました。
1番人気に支持されたのはライアン厩舎の牡馬セニョール・ミラソル Senor Mirasol でしたが、しんがりに惨敗。混戦を制したのは、皮肉にも同じライアン師が調教する牝馬マダム・トップ・ヴァイト Madame Top Vite でした。2着は Anglezarke 、何と読むのでしょうか。とりあえずアングルザーキー、とでもしておきますか。3着はミシカル・ボーダー Mythical Border 。首、頭の接戦、3頭とも牝馬でした。
マダム・トップ・ヴァイト、前走・ニューバリー競馬場のリステッド戦は逃げ切りがちだったのですが、今回は追い込み。馬場が渋っていたのがこの馬向きだったようです。例年に比べてレヴェルが高い、というのが一般の評価です。
ドンカスター・カップ(GⅡ、3歳上、2マイル2ハロン)は当初12頭の登録から3頭取り消し、9頭立てで行われました。
アスコットのクィーン・アレクサンドラ・ステークスを制したオブライエン厩舎のホノルル Honolulu が1番人気(15対8)に応えて4馬身差の圧勝。オブライエン/ムルタ・コンビにとってセントレジャー制覇に向け、絶好の景気付けになりました。
2着はバルカン・ナイト Balkan Knight 、3着は更に半馬身差で逃げ粘ったロイヤル・アンド・リーガル Royal And Regal 。
勝ったホノルル、去年のセントレジャーでは1番人気に支持され、結果3着でしたね。
オブライエン師にとって、ホノルルはイェーツとセプティマスに続く第三のステイヤーですが、今年のドンカスター・カップはやや低レヴェル、GⅡとしても物足りないメンバーだったことは否めません。
去年はセプティマスが制しており、オブライエン厩舎の2連覇達成です。
チョッと長くなりますが、この週末の話題を続けましょう。
さて、今日はいよいよ今年イギリス最後のクラシック、セントレジャーが行われます。枠順は以下。
01 ヒンドゥー・クシュ Hindu Kush
02 トップ・ロック Top Lock
03 アンサング・ヒロイン Unsung Heroine
04 ウォーリンガー Warringah
05 コンデュイ Conduit
06 メイドストーン・ミックスチャー Maidstone Mixture
07 バシュキロフ Bashkirov
08 フローズン・ファイア Frozen Fire
09 ウィッスルダウンウインド Whistledownwind
10 アレッサンドロ・ヴォルタ Alessandro Volta
11 ワシントン・アーヴィング Washington Irving
12 インローラー Enroller
13 ドクター・フレマントル Doctor Fremantle
14 ルック・ヒア Look Here
現在のところ1番人気は愛ダービーの覇者・フローズン・ファイアです。続いてはオークス馬ルック・ヒア。この2頭の対決だけでも興味津々ですが、宿願のセントレジャー初制覇を狙うスタウト厩舎の3頭も目が離せないところ。
スタウト師の主戦騎手ライアン・ムーアは、ドクター・フレマントルを選択しました。ダービー4着の実績、一時は脚部不安から出走を危ぶまれていましたが、無事に参戦にこぎつけています。サドラーズ・ウェルズにレインボウ・クエスト牝馬という長距離血統が騒ぐか。
スタウト厩舎の2番手、コンデュイにはデットーリ騎乗が決まりました。デットーリは既にセントレジャーに4勝しており、その経験が大いに期待されます。馬場がこの馬には重すぎるのが死角ですが、近親には長距離での活躍馬の名もあり、これも不気味な1頭。
オブライエン厩舎の本命フローズン・ファイアにはもちろんムルタが騎乗します。しかし陣営ではワシントン・アーヴィングにもステイヤーの素質を見ており、こちらはオダナグー騎手であわや、というシーンがあるかも。
ということで、例年以上にハイレヴェルのセントレジャーになる予感。期待が高まっていますが、今週はこれだけじゃないんです。
同じ土曜日、カラー競馬場ではアイリッシュ・セントレジャーも行われます。こちらは古馬にも開放されてクラシックの意味合いは薄れましたが、何と何とイェーツ対セプティマスという、心臓が潰れてしまいそうな一騎打ちが見られそうです。そう、オブライエン厩舎のスター・ステイヤー同士の夢の対決ですよ。
一般的にはイェーツの方が有名でしょうが、実力はセプティマスが上、というのが専門家の見方。これに決着が付きます。セプティマスにはへファーナンが騎乗しますが、イェーツは未定、というのが何とも・・・。
日曜日になると更にヨーロッパ競馬が盛り上がります。アイルランドのカラー競馬場は2歳馬の頂上決戦・ナショナル・ステークスがハイライト。
ここではマスタークラフツマン対アラザンという、無敗馬同士の対決が見られるのですぞ。前者はレイルウェイとフェニックスの覇者、後者はフューチュリティーの勝馬。ここを皮切りに、来年のクラシックでも熾烈な戦いが期待されている2頭です。
一方、フランスはロンシャン競馬場。いよいよ凱旋門賞に向けて重要なトライアルが行われます。
何と言ってもヴェルメイユ賞。パリっ子のアイドル、ザルカヴァが登場してきます。どうも事前の調教がパッとしなかったようですが、ここはスンナリ勝って凱旋門へ向かって欲しいもの。
オブライエン厩舎も黙っていません。こちらは3頭出しでGⅠ記録を伸ばす目論見。アイス・クィーン、オノリア、アドアードも注目したいところ。他ではロイド=ウェッバーさんの持ち馬、ダーレミも侮れません。
クラシック・ジェネレーションはニエル賞で激突します。仏ダービー以来のヴィジョン・デタが出走してくるのが大注目。パリ大賞典の覇者モンマルトルは脚部不安のため凱旋門もパスしますが、グランプリ組では2着のプロスペクト・ウェルズが仏ダービー馬との決着に臨みます。
ヴィジョン・デタ対プロスペクト・ウェルズは玄人好みのトライアル、結果をしっかりチェックしておきましょう。
古馬のトライアルは、フォア賞。日本から遠征しているメイショウサムソンは回避しましたが、ここには去年のグランプリ覇者ザンベジ・サンが登場します。対戦相手はやや小粒の感がありますが、凱旋門賞を目標に仕上げてきたザンベジ・サンの走り、これも見逃せません。
以上、週末はワクワク・ドキドキのレースの連続。月曜日が祝日というのは、何とも有難いことで・・・。

 

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