ハルジオン

これも春から初夏に目立つ代表的な雑草ですね。現在目に付く雑草の典型で、日本古来のものじゃありません。
ハルジオンは北アメリカ原産で、大正期に渡来したのだそうです。時代劇の映画に移っていたとしたら、作り物がばれちゃいますね。江戸時代には無かった、ということ。
拙宅の周りでは、チョッとした空き地に必ずと言ってよいほど咲いています。駆除が難しい植物。
ハルジオンで思い出すのは、子供の頃に教えて貰ったヒメジョオンとの区別。どちらも誰が見てもそれと判るキク科の白い花ですが、正確に両種を区別するのは難しいものでした。
“茎を切ってみて、中が詰まっているのはヒメジョオン、空っぽなのがハルジオン” と教わりましたっけ。
でもねぇ~、いつもカッターナイフを持ち歩いているわけじゃなし、雑草と雖も引き千切るのは躊躇われるもの。他に方法は無いのか、と思って検索図鑑を片手に散歩してきました。
その結果判った最良の方法。それは葉の付き方に着目することでしょう。
茎の上に出ている葉を観察して、葉の付け根部分が茎を抱くように付いているのがハルジオン。付け根が細くて茎を抱かないのがヒメジョオン。これが間違いなさそうですね。
他に花がつぼみの時にうなだれるようなのがハルジオンとか、花弁(舌状花)に冠毛があるのがハルで無いのがヒメとかいう区別もありますが、観察がつぼみの時とは限りませんし、冠毛などは素人には難しい材料でしょ。
今現在、散歩で多く見るのはほとんどがハルジオンです。花期はハルジオンが5~7月、ヒメジョオンは7~9月が相場だそうですから、時期からしてハルジオンが圧倒的優勢ですね。
それでもヒメジョオンも極僅かに花を見ましたから、そろそろ増えてくるかもしれません。見分け方が役に立つ、かな。
因みにヒメジョオンも北米原産で、こちらは明治維新の前に渡来した由ですから、ハルジオンより先輩格に当たります。
ハルジオンとは春紫苑のことで、牧野富太郎博士の命名。ヒメジョオンは姫女苑。発音が似ているので、ハルジオンを「ハルジョオン」と訛る場合もあるそうです。
学名は Erigeron philadelphicus エリゲロン・フィラデルフィクス。
属のエリゲロンはラテン語のエリ(早い)とゲロン(老人)の合成語。
日本語ではムカシヨモギ属となっていて、この属は老人のような白い冠毛が目立つからでしょう。「若白髪」という感覚。
種名は単純に「フィラデルフィアの」という意味。想像ですが、タイプ標本が採集されたのがフィラデルフィアだったんでしょう。
“フィラデルフィアの若白髪” と覚えておけば、ハルジオンの出自が思い出されます。

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