イノコズチ
秋も深まってくると、彼方此方にイノコズチが目立ってきます。これを美しいと思う人は少ないでしょうねぇ~。
子供の頃は「ヒッツキ虫」と読んで遊んでいました。果実がクリップのようになっていて、服に引っ掛かるんです。
ヒッツキ虫の代表はイノコズチとオナモミ(正しくはオオオナモミなんだそうですが)。特にオナモミは、実を武器替りにして戦争ゴッコをしたもんです。
寒くなると皆セーターを着ますから、オナモミの種が引っ付くんですね。これがくっ付けば弾が当ったという設定になるわけ。
学校でも、授業中に前に座っている友達の背中にオナモミを並べる悪戯が流行っていました。付けられた本人は気がつきませんから、それを見て皆が笑う。笑った本人も背中じゅうオナモミだらけだったりして・・・。
要するにイジメの一種ですが、今から思い出せば罪の無いものでしょ。
オナモミなんて何処にもありましたが、今は探すのに苦労するほどです。
おっと、イノコズチの話でしたね。
これを書くので図鑑を調べていたら、現在はイノコズチをヒカゲイノコズチとヒナタイノコズチに分けるのだそうです。両方合わせてイノコズチと呼ぶとも、ヒカゲイノコズチだけをイノコズチと称するとも。
写真で見るとどちらも見覚えがありますが、現在の都会で普通に雑草化しているのはヒナタイノコズチの方でしょう。ヒカゲイノコズチは主に林の中で見られる、とありますから、23区では限られた場所でしか見つからないと思います。
従って私の日々の散歩で何処にでも見つかるのは、「日向猪子槌」。
イノコズチは、その節がふくれているものが多く、この形からイノシシの踵を連想して命名されたのだそうです。私はテッキリ「ヒッツキ虫」の形から付けられた名前だと思っていました。
この「イノシシの踵」、実は「虫こぶ」になることもあるそうです。多分ここにアブラムシが卵を産みつけ、春になると大量に羽化するんでしょうね。
イノコズチは中国では「牛膝」(ごしつ)と言い、日本でも別名を「フシダカ」というそうですが、いずれもイノコズチの節に着目しているんですね。昔の人の観察力の鋭さ、国を距てない発想に感心します。
ヒナタイノコズチの学名は Achyranthes fauriei アキランテス・ファウリエイ。種名は人名で、「フォーリー氏の」という意味だそうです、。属名の意味は判りません。
ヒユ科の植物だそうですが、この科はあまり馴染みがありませんね。
いろいろ調べてみると、園芸植物の鶏頭(ケイトウ)がこの科。ニワトリのトサカのような花を付ける植物です。これも昔は良く見ましたが、最近はあまり見かけなくなりました。
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