NHK音楽祭2009~ミラノ・スカラ座管

昨晩、BS2で今年のNHK音楽祭の初日(2009年9月10日・NHKホール)が放送されていました。ハードディスクに録画して見終わったところ。
最初は普通にテレビをオーディオ・セットに繋いで聴き、次にテレビ(レグザ)の音声出力をスタックスのイヤー・スピーカーに直接繋いで聴いてみました。

NHK音楽祭という催しがあるのは知っていますが、ナマで聴いたことはありません。2003年に始まって今年で7回目の由。テレビなら1~2度見たことがあります。今年は全プログラムをテレビ観戦して見ましょうかね。

毎年テーマが決まっているそうで、今年は要するにお国物特集。トップバッターはイタリアからスカラ座のオケによるヴェルディ。
何とも策の無いテーマ、ブランド嗜好で安全運転な企画は如何にもNHKですな。

ヴェルディ/レクイエム
 指揮/ダニエル・バレンボイム
 管弦楽/ミラノ・スカラ座管弦楽団
 ソプラノ/バルバラ・フリットリ
 メゾ・ソプラノ/エカテリーナ・グバノワ
 テノール/ヨハン・ボータ
 バス/ルネ・パーぺ
 合唱/ミラノ・スカラ座合唱団(合唱指揮/ブルーノ・カゾーニ)

以下は放送の感想ですからその積りで。

オーケストラはいわゆる対抗配置になっていて、左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの順。コントラバスは下手、第1ヴァイオリンの奥に4プルト並んでいたようです。ということは16型でしょうか。

ヴェルディが指定しているオフィクレードは使わず(楽器が無いんでしょうね)、普通にチューバで吹いていました。
以前に日本フィルを指揮したジェルメッティは、チューバの音は下品だ、と言って無理にチンバッソを持ち込んでいましたが、スカラ座は随分と鷹揚ですね。

4人のソリストは指揮者の横に並び、譜面台が置かれています。ただしソプラノのフリットリだけは完全に暗譜で、譜面は使いませんでしたね。これは流石。
テノールのボータはオッフェルトリウム(第3曲)のアダージョで1箇所テキストを読み違えていましたから、あまり経験が無いのかもしれません。ま、どうでも良いことですけど。

私はバレンボイムがチョッと苦手で、このヴェルディも特に感心はしませんでした。
最初の「レクィエム」なんか“ゥレェー、クィエム”なぞと頭を強調していましたが、後は存外にアッサリしていたと思います。
さっき例に引いたオッフェルトリウムのアダージョ、テノール・ソロの「ホスティアス」の開始を促す弦のトレモロも、楽譜のフォルテを無視してピアノのままで弾かせていましたからね。

録音がパットしない、大人し過ぎるのもNHKらしいところ。作品の振幅が大きいことを考慮したのか、ダイナミックの幅が極端に狭いのは興醒めでした。ディエス・イレの ff と、最後の ppp がほとんど同じ録音レヴェルなので、まるで箱庭を見ているような番組です。CDだってもっと迫力ありますよ。

何となく客席がザワついている感じだし、毎度の様にフライング気味の拍手が出ます。バレンボイムが拍手のタイミングまで指揮していたのには苦笑。
この音楽祭は観客のレヴェルにも問題がありそうですね。ナマで聴けばもっと感動が得られるのかもしれませんが、テレビで見ている方が無難かも・・・。

 

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