ディミトリ・ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィル(17)

このカテゴリーは中々進みません。ミトロプーロス指揮ニューヨーク・フィルのプログラム、第112シーズンに入ります。

1953年10月8・9・13日 カーネギーホール(13日はコネチカット州ハートフォード)
 シュターミッツ/協奏交響曲へ長調
 シューマン/交響曲第3番
 ベルリオーズ/交響曲「イタリアのハロルド」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ
  ヴィオラ/ウィリアム・ランサー
  チェロ/ラースロ・ヴァルガ
  フルート/ジョン・ウンマー
  オーボエ/ハロルド・ゴンバーグ
  クラリネット/ロバート・マギニス
  ホルン/ジェームス・チェンバース、ウィリアム・ナーメン

1953年10月11日 カーネギーホール
 シューマン/交響曲第3番
 ベルリオーズ/交響曲「イタリアのハロルド」
 ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴィオラ/ウィリアム・ランサー

1953年10月15・16・18日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/交響曲第5番
 アイネム/カプリッチョ(アメリカ初演)
 ヴィオッティ/ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調
 バルトーク/ヴァイオリンと管弦楽のための狂詩曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/イェフディ・メニューイン

1953年10月19日 カーネギーホール
 ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
 マクダウェル/組曲第2番~第1・3・5楽章
 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番~第3楽章
 グールド/4台のピアノと管弦楽のためのインヴェンションズ(世界初演)
 ファリャ/バレエ「三角帽子」舞曲集
 スーザ=グールド/星条旗よ永遠なれ(世界初演)
  指揮とピアノ/ディミトリ・ミトロプーロス
  
1953年10月22・23日 カーネギーホール
 マリピエロ/ヴィヴァルディアーナ(アメリカ初演)
 ヒンデミット/交響曲「世界の調和」
 ボロディン/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス

1953年10月24日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「静かな海と楽しき航海」
 クシェネック/2台ピアノと管弦楽のための協奏曲作品24(世界初演)
 グールド/2台ピアノと管弦楽のための「変奏舞曲」(世界初演)
 ボロディン/交響曲第2番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ホイットモアとロウ

1953年10月25日 カーネギーホール
 ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
 ヒンデミット/交響曲「世界の調和」
 グールド/2台ピアノと管弦楽のための「変奏舞曲」
 ファリャ/バレエ「三角帽子」舞曲集
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ホイットモアとロウ

1953年10月29・30日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
 サン=サーンス/ピアノ協奏曲第4番
 シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」
 ファリャ/歌劇「はかなき人生」間奏曲と舞曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ

1953年10月31日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「ルイ・プラス」
 モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
 メンデルスゾーン/交響曲第3番
 ファリャ/歌劇「はかなき人生」間奏曲と舞曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ

1953年11月1日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「静かな海と楽しき航海」
 メンデルスゾーン/交響曲第3番
 サン=サーンス/ピアノ協奏曲第4番
 ファリャ/歌劇「はかなき人生」間奏曲と舞曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ロベール・カサドシュ

1953年11月5・6・7・8日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/ミサ・ソレムニス
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ソプラノ/エレアノール・シュテーパー
  メゾ・ソプラノ/ネル・タンジマン
  テノール/ハーヴェイ・スミス=スペンサー
  バス/マック・ハレル
  合唱/ウェストミンスター合唱団(指揮/ジョン・フィンレー・ウィリアムソン)

1953年11月12・13日 カーネギーホール
 ブラームス/悲劇的序曲
 ブザンソン/ピアノ協奏曲(世界初演)
 オーベール/ピアノと管弦楽のための幻想曲
 ブラームス/交響曲第4番
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ジョン・シムス

1953年11月14日 カーネギーホール
 ブラームス/悲劇的序曲
 シューマン/交響曲第1番
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 リーバーマン/フュリオーソ
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ミッシャ・エルマン

1953年11月15日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
 シューマン/交響曲第1番
 リーバーマン/フュリオーソ
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ミッシャ・エルマン

1953年11月19・20日 カーネギーホール
 ハイドン/英国歌劇のための序曲(アメリカ初演)
 ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲二短調作品31
 ブラッハー/管弦楽のための「オルナメント」(アメリカ初演)
 ラフマニノフ/交響的舞曲集
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ヴァイオリン/ジョン・コリリアーノ

1953年11月22日 カーネギーホール
 ブラームス/交響曲第4番
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
 ラフマニノフ/交響的舞曲集~第3楽章
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/ダニエル・ワイエンベルグ

1953年11月26・27日 カーネギーホール
 ベートーヴェン/交響曲第2番
 ボッケリーニ/チェロ協奏曲変ロ長調作品34
 ブロッホ/ヘブライ狂詩曲「シェロモ」
 ラヴェル/スペイン狂詩曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  チェロ/レナード・ローズ

1953年11月29日 カーネギーホール
 バッハ=ウェーベルン/「音楽の捧げもの」~リチェルカーレ(アメリカ初演)
 ベートーヴェン/交響曲第2番
 ラヴェル/ピアノ協奏曲
 ラヴェル/スペイン狂詩曲
  指揮/ディミトリ・ミトロプーロス
  ピアノ/二コール・アンリオ

          **********

シーズン開幕最初のシュターミッツ、原資料にはこれしか表記はありませんが、恐らくカール・フィリップ・シュターミッツ (1745-1801) の協奏交響曲でしょう。彼の時代は協奏交響曲が流行していて、カール・フィリップには38曲の作品が知られているそうです。ここで演奏されているのは、恐らくフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの各ソロと管弦楽のためのへ長調の作品。極めて大規模なソロ群が特徴の3楽章からなるものです。

10月15日にアメリカ初演されたアイネム Gottfried von Einem (1918-1996) のカプリッチョは1943年の作。作品番号が2番という初期の作品です。スコアはボーテ・アンド・ボック社から、演奏時間8分ほどの短いもの。
同じ日に演奏されたヴィオッティのヴァイオリン協奏曲は、29曲ある彼の協奏曲の中で最も有名なもの。ブラームスが好きだったことで有名で、当時は頻繁に演奏されていました。

10月19日はスタインウェイ社の100年祭だったようで、マチネー・コンサートです。ミトロプーロスが得意のプロコフィエフを弾き振りしたり、グールド Morton Gould (1913-1996) の新作が世界初演されたりしています。グールド作品はスタインウェイに敬意を表して、何と4台のスタインウェイのための協奏曲です。
グールドは多作家、特に協奏曲は様々な種類のものを作曲しており、10月24日には2台ピアノのための協奏曲も世界初演されています。彼の協奏曲で最高の珍品は、恐らくタップ・ダンサーと管弦楽のための協奏曲でしょうね。一度聴いて、いや見てみたい作品です。

10月22日にはマリピエロのヴィヴァルディアーナがアメリカ初演されていますが、これは1952年に作曲されたばかり。
24日には先にふれたグールドのほか、クシェネックの2台ピアノ協奏曲も世界初演されています。
ミトロプーロスの面目躍如!!

11月12日の世界初演曲、ブザンソンという作曲家については全く不明です。スペルは Bezanson とだけ。
この日取り上げられたオーベールは、恐らく Daniel Francois Esprit Auber (1782-1871) の方でしょう。フラ・ディアヴォロなどの歌劇で有名な人ですが、純粋器楽作品もかなり残しています。
因みにもう一人のオーベールは Louis-Francois-Marie Aubert (1877-1968) 。近代フランスの作曲家で、もしこちらだったらゴメンナサイ。

11月14日のリーバーマンも二人いますが、こちらは間違いなくスイスの作曲家 Rolf Liebermann (1910-1999) 。フュリオーソは1947年の作品です。
もう一人のリーバーマンは Lowell Liebermann (1961- ) 。彼の作品は確かデュトワがN響で取り上げていましたが、1953年の時点では未だ生まれてもいません。

11月19日に何とアメリカ初演されたと言うハイドン。具体的にどの作品を指すのか全く不明。資料では Overure for an English Opera となっています。
ハイドンの歌劇は、若い時のアイゼンシュタットか後のエステルハーザで初演されたものがほとんどで、唯一ロンドンで初演されたものに1791年の「オルフェオとエウリディーチェ」があります。この序曲でしょうか。
因みに、この序曲は後にソロモンの「ウィンザー城」というオペラの序曲に転用されたのだそうです。

同日のヴュータンの協奏曲は第4番と番号が付けられているもの。

また、この日にアメリカ初演されたブラッハー作品は、恐らく1952年に作曲され作品番号44が振られているものだと思います。
ブラッハー Boris Blacher (1903-1975) も極めてたくさんの作品を書いた人ですが、基本的には調性音楽を中心に作曲。中で珍しく12音技法を使用したピアノ曲に Ornamente があります。これは1950年作曲のもので作品37。ミトロプーロスが取り上げた作品は、“Ormanents” for Orchestra となっていますから、あるいはこのピアノ作品を管弦楽に編み直したものかもしれません。いずれにしてもスコアはボーテ・アンド・ボック社から。

11月29日、有名なウェーベルン編曲によるバッハが演奏されていますが、何とこれが全米初演だそうです。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください