遅れ馳せながら、メットの「トリスタンとイゾルデ」

先日からNHKのハイビジョンでメットのライヴ・ビューイングが放送されています。新しいシーズンのものではなく、恐らく2007-2008シーズンのプロダクションでしょう。
このシーズンからは既に「始皇帝」、「ヘンゼルとグレーテル」、「連隊の娘」などがオンエアされていたと記憶しますが、今回はその時選に漏れた作品を連続して取り上げるようですね。

その第1回目がワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」。幸い、この夏にテレビをレグザに替えたので、思い切り高音質・高画質を楽しみました。もちろんハードディスクに録画して、ゆっくり鑑賞することが出来ます。気に入れば永久保存も可能。

主な配役はこんな具合でした。

トリスタン/ロバート・ディーン・スミス
イゾルデ/デボラ・ヴォイト
ブランゲーネ/ミシェル・デ・ヤング
マルケ王/マッティ・サルミネン
クルヴェナール/アイケ・ヴィルムシュルテ
メロート/スティーヴン・ガートナー
牧童/マーク・ショーウォルター
かじとり/ジェームス・コートニー
若い水夫/マシュー・プレンク
 指揮/ジェームス・レヴァイン
 演出/ディーター・ドルン

前シーズンのメット・ライヴビューイングは全演目を川崎のシネマ109で見ましたが、ハイビジョン放送は何よりも自宅のオーディオ・システムで聴けるので、遥かに優れた音響で楽しめるのが良いですね。
何も映画館が良くないというのではなく、音量等がより自然な状態に設定できる強みがあります。

画面は当然ながら映画館より小さくなりますが、現在のシステムではテレビ画面に近付いても画質の細やかさには支障が出ないということ。大画面風に楽しみたければ、テレビ画面に接近すればよろしい。

ということで、ほぼ理想的な状態でワーグナーを堪能しました。

これ、オーケストラが素晴らしいですね。やはりレヴァインの薫陶が奏効しているのでしょう。
歌手も現代のワーグナー演奏では理想に近いと思いました。

トリスタン役は当初ベン・ヘップナーが予定されていたようですが、急病によりベルリンからスミスが急遽飛来した由。
このトリスタンが素晴らしかった。風貌が横綱・千代の富士そっくり、というのも我々には親近感が湧いてきます。
全体的に男声陣の水準が高い。サルミネンのマルケ王など、完全に役に成り切っていました。2幕も3幕も説得力が凄い。

この映像は、ライブビューイングのために特別にバーバラ・ウィリス・スウィートという女性が映像演出を加えています。幕間にピーター・ゲルプ総裁と対談していましたが、彼女なりのコンセプトで効果を上げていました。場面によっては煩く感じられることもありましたが、新しい試みとして面白いもの。

シリーズ恒例の舞台裏案内はスーザン・グレアム。4時間35分の上演、映画館なら一気に観て疲れるでしょうが、ハードディスク再生なら1幕ごとに休みを取って見ることも可能。

 

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