第88回マエストロサロン

音楽ネタ

昨日は東京国際フォーラムのマエストロサロンに参加してきました。日本フィルの11月東京定期を指揮する沼尻竜典の巻。

例によって内容はポッド・キャストでオンエアされてますから、そちらからどうぞ。
音声がそのまま載る、というせいでしょうか、いつもよりは大人しい感じでしたね、マエストロ。
それでも私などが常日頃考えていることをズバズバ言ってくれました。痛快痛快! 所々、音声マスク信号「ピー」を入れたほうが良いんでねぇの、という発言もありましたが。

特に楽譜出版社の校訂新版の話や、(私などは完全に西高東低になってしまったと思っている)我が国オーケストラ界の話題など、我が意を得たり。

テーマはマーラーの第6交響曲です。具体的な事例なども紹介されていましたが、個人的にポイントだな、と思ったのは2点。

一つは、木槌を打ち下ろした後のオーケストラの混乱。ほとんど崩壊寸前にまで追い込まれるところにマーラーの真意がある、ってことでしょう。
“食べるものは腐る直前が美味しい”なんて喩えてましたが、ホントそうです。魚が本当に旨いのは腐る直前。テレビの紀行番組などでタレント氏が漁に同行し、猟れたての魚を刺身にして、“お~いひい~。ヤッパ、新鮮さが違いますよねぇ~”、なんてコメントさせるのは、やらせもやらせ。あんなの真っ赤な嘘ですからな。

もう一つは、何故マーラーがキャリアの絶頂期に、絶望を暗示させるような第6を書いたのか、ってこと。アルマが書いた自分の運命を予感した、なんてのは後からのコジツケ。ここを考えること、すごく大事だと思いましたね。
マエストロは、“人間は人気の絶頂期に引退して、普通の女の子に戻りたい、なんて言う。それほど人は馬鹿じゃないです。アベちゃんも辞めちゃったし”なんて言ってました。
最終楽章で木槌が3度鳴らされます(3発目はドラに変更)が、だんだん弱くしてます。fff → ff → f だったかな。最後も意味深長に消えていきますよね。これが理解できないと、マーラーを本当には判ったことにならないと思いました。

ということで、今日はマーラー協会版の古いスコアを持参し、サロン終了後、マエストロにサインして貰いました。スコアを見せたら、“あっ、1963年の初版ですね。こんな貴重なものにサインしちゃったら値打ちが落ちますよ”なんてビビッてましたが、売る気はありません。沼尻竜典、ってサインがあった方が価値が出る。そう思ってます。

この日は沼尻氏はもちろん、新井さんも菊田さんもスコア持ってきてましたが、ボクのが一番古かったなぁ。40年も前のスコア、家内はブログに使おうと狙っている様子。

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