アカタテハ

今朝の散歩でアカタテハを見ました。もうそんな季節になったのか。
抜けるような青空高く滑空するアカタテハの真っ赤な翅は、秋そのものじゃないでしょうか。

このタテハチョウ科を代表するような蝶は、日本全土に分布し、夏の高原などでも良く見かけますが、少ないながらも東京都心でも見ることができます。
成虫で越冬するため、早春の陽溜まりに見出すこともありますし、私にとっては夏に毎年訪れている霧ケ峰の常連さんでもあります。
しかし何と言っても秋に羽化する個体群の美しさは格別で、赤色の鮮やかさは日本産の蝶の中でも一二を争うものでしょう。

アカタテハはイラクサ科の植物を食し、東京では荒れ地に多いカラムシで発生しているようです。
私の子供の頃から都会でも普通にいた蝶ですが、現在でも健在なのは嬉しいですね。東京で秋に見るものは、花の蜜に集まるというより、熟した柿で吸汁しているものが多いと感じます。あとは日向で縄張りを張っている個体ですね。

学名は Vanessa indica ヴァネッサ・インディカ。属名のヴァネッサは由来が面白く、イギリスの風刺作家ジョナサン・スウィフト Jonathen Swift (1667-1745) の詩から取ったものです。
即ち、スウィフトが1726年に発表した「カディナスとヴァネッサ」Cadenus and Vanessa という詩集は自身の体験談で、スウィフトの愛人であるエスター=ヴァナムリーにつけた愛称が「ヴァネッサ」だというのですね。1794年にハーブスト Herbst が命名。
種名インディカは、もちろん「インドの」の意です。

アカタテハの英名は Red Admiral と書かれた本もありますが、これは同属の別種であるヨーロッパアカタテハのこと。英国の普通種ヨーロッパアカタテハの学名は Vanessa atalanta で、日本のアカタテハは英名では Indian Red Admiral と言います。

ヨーロッパアカタテハにせよアカタテハにせよ、「赤将軍」という命名は、この蝶の如何にも赤い軍服を着たような相貌にピッタリではありませんか。

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