続・渡邉暁雄と日本フィル

先日の日記に記した通り、これは7日に届きました。届きましたがとても聴いている時間がなく、追い討ちを掛けるように、オーディオ機器の故障やら環境悪化などで手を出せる状態ではありません。

それでも何とか騙しつつ、バルトークを聴きました。思い出の一品ですから。
いやぁ、驚きましたね。実に音が良い。とても40年前の収録とは思えません。懐かしさも手伝って、思わず熱いものがこみ上げてきました。

演奏も立派です。ルイ・グレーラー率いるヴァイオリン群の澄み切った音色は、今日の日本フィルにもシッカリ伝統として引き継がれていることを確認。“そうそう、この音ですよ。ボクが初めてナマの本格的オケに触れたのは”。

このあとはどういう風に聴いていこうかな。ヤッパリ年代順に聴くのが筋でしょう。
並べ替えてみると、最も古いのが1956年5月のモーツァルト/ピアノ協奏曲第20番。スタジオ録音のモノラルですが、創設されたばかりで定期演奏会開始以前のもの。興味が沸きます。
全62曲中、私が定期会員になる前のものが24曲、中には日比谷公会堂での収録もあります。どんな音質で録音されているのだろうか。

私が会員として上野で聴いたものは15曲。いくつかは今でも光景を思い浮かべることが出来ます。

残る23曲は分裂以後、苦難の時代の貴重な記録。これらは皆、日本フィルを支えるファン有志がボランティアで録音を買って出たもの。一口に全集といっても、多くの関係者の汗と涙の結晶なのです。

ブックレットがまたいい。日本フィル・シリーズの初演作品一覧表の他に、渡邉/日本フィルのコンビが定期演奏会で紹介した日本初演曲一覧というものまである。
その77曲の中には、現在では普通にオーケストラ・レパートリーとして定着しているものも多いのです。モーツァルトの作品が5曲もあるなんて・・・。

作品解説は、全て定期演奏会のプログラムから要約転載されたもの。執筆者にも懐かしい名前がズラリと並びます。

現在のライヴ録音ディレクターを務める鈴木重行氏の一文。
「1972年に起きた旧財団解散という不幸な出来事で、文化放送は収録を継続できないこととなり、創立以来の貴重な記録テープは打ち捨てられたまま旧財団の清算終了に伴って他の資料とともに埋立地へ廃棄される運命にあった。これを知った日本フィルを存続させる会メンバーや楽員有志の熱意と行動で、これらのテープは難を逃れたのであった」。

襟を正して、一つ一つゆっくり時間をかけて味わっていきたい。

尚、このセットは近々に一般のCDショップでも入手できるようになるそうです。

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