2012年ヨーロッパ競馬 平場シーズンの開幕

久し振りのヨーロッパ競馬カテゴリーです。

今年の復活祭は4月8日ということで、ヨーロッパ競馬の平場シーズンも漸くスタートの時期を迎えました。一口に平場(英語では Flat と言います)と言っても概念は様々で、近年ではポリトラック・コースやファイバー・サンド・コースを持つ競馬場も増え、冬場でも所謂 Flat 競馬は行われています。
ヨーロッパ伝統の芝コースを使って行われる本来の平場競走は冬場は開催がありませんし、日本の重賞競走の感覚に相当するパターン・レース(あるいはグループ・レースとも)はほとんどが芝コースで行われるもの。その意味での平場シーズン開幕です。

当ブログはイギリス、アイルランド、フランスのパターン・レースを扱いますが、その先陣を切ったのが、昨日(3月17日)サン=クルー競馬場で行われたエクスバリー賞 Prix Exbury (GⅢ、4歳上、2000メートル)。
馬場状態はこの時期らしく soft 。9頭が出走してきました。これまでの戦績から7歳のチンチョン Chinchon と6歳のサガ・ドリーム Saga Dream が格上、両馬共にこれがシーズン初戦ながら夫々8対5、11対2の1・3番人気に支持されていました。2番人気(7対2)は、今シーズン暖地カーニュ・シュル・メールやシャンティーのポリトラック・コースで3回使われて1勝したドン・ボスコ Don Bosco 。

レースはそのドン・ボスコがハナを切りましたが、ジョッキーが懸命に抑えて3番手に下げます。代わって先頭争いに加わったのはアメージング・ビューティー Amazing Beauty とウォー・イズ・ウォー War Is War 。
この2頭からウォー・イズ・ウォーが競り勝ってゴールを目指しましたが、前半は最後方に控えてシンガリのまま直線に入った本命チンチョンが馬場の中央を通り、他馬の外からスムースに伸びてゴール前150ヤードで先頭に抜けると、2着に粘るウォー・イズ・ウォーに4分の3馬身差を付ける貫録の楽勝です。更に4分の3馬身差3着にも何時の間にか3番人気のサガ・ドリームが食い込んでいました。2番人気のドン・ボスコは前半の無理が祟ったか7着敗退。

チンチョンは、去年7月に渡米してモンマスパーク競馬場のユナイテッド・ネイションズ・ステークス(GⅠ)を目指して調教中に骨折、3か月を馬房で過ごすアクシデント以来の競馬でした。
実は同馬は一昨年のエクスバリー賞の勝馬で、その年のユナイテッド・ネーションズの覇者でもあります(優勝はこれ以来)。辛抱強くチンチョンを復活に導いたカルロス・ラッフォン=パリアス師の努力が報われました。パリアス師は“これは単なるカムバック、目標じゃない” と今後の活躍を誓っています。
先ずはメイダンのシーマ・クラシックに向かいたいところですが、その後も香港やシンガポールのGⅠレースにも登録があります。去年1年は故障で休養に充てたので、チンチョンの真価はこれからと言えそう。
今回チンチョンとコンビを組んだオリヴィエ・ペリエ騎手は、これがエクスバリー賞7勝目。このレースの最多勝利ジョッキーでもあります。一昨年のチンチョンはクリストフ・スミオンが騎乗していましたが、ペリエは去年のポリテクニシャン Polytechnicien に続く2連覇です。

30対1の人気薄ながら2着に健闘したウォー・イズ・ウォーは、ガリレオ Galileo 産駒の4歳馬。次走は3月24日にイギリスのリングフィールド競馬場で行われるウインター・ダービー(GⅢ)になる予定とか。

その英国は3月31日のドンカスター競馬場が正式な平場シーズンの開幕となります。その前にパターン・レースとしてはポリトラックのウインター・ダービーが英国最初のG戦となるわけ。
またアイルランドは、3月25日のカラー競馬場が芝シーズンの開幕となるでしょう。

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