オブライエン師の5連覇

昨日はアイルランドのカラー競馬場でG戦が2鞍行われました。そのレポート。

最初は古馬にとってシーズン初戦となるムーアスブリッジ・ステークス Mooresbridge S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン)。レース名はカラーの駅から競馬場まで架かっている橋の名前だそうな。
馬場は good to firm 、出走馬は僅かに5頭で、チーム・オブライエンのクラシック馬(愛2000ギニー)マジシャン Magician が何と2対13という滅多にないような1番人気に支持されていました。
(余談ですが、海外の馬券で何対何というのは、「対」の左側が儲け、右側が元手を意味します。日本流に倍率を計算するときは、対の左と右を合計し、右側の数字で割ればよい。この場合は15÷13となって、ほぼ1.15倍になりますね。)

レースはオブライエンのペースメーカー、ホール・オブ・ミラーズ Hall Of Mirrors が逃げると思われましたが、ペースを作ったのはジャズ・ガール Jazz Girl 。ホール・オブ・ミラーズは3番手に控え、そのあとを2番人気(6対1)のパリッシュ・ホール Parish Hall (2歳時にデューハースト・ステークスを勝った馬)を追い、マジシャンは最後方待機。
5頭の隊列が変わらぬまま直線に入ると、パリッシュ・ホールが抜け出して先頭。最後から追い詰めるマジシャンは中々エンジンが掛かりませんでしたが、漸くジョセフ・オブライエンの剛腕に応えると流石にGⅠ2勝馬、ゴールではパリッシュ・ホールを首差捉えて、ファンも胸を撫で下ろしました。2馬身4分の1差でホール・オブ・ミラーズが3着(こちらは16対1の4番人気、即ち17倍です)

エイダン・オブライエン師はこのレース5連覇達成。フェイム・アンド・グローリー Fame and Glory 、ソー・ユー・シンク So You Think 、ウインザー・パレス Windsor Palace 、キャメロット Camelot がそのクインテットです。
マジシャンは昨シーズンをBCターフ(GⅠ)優勝で終え、今期はドバイのシーマ・クラシックでジェンティルドンナの5着。これをモノサシにすれば、日本馬が如何にレヴェルが高いかが判るでしょう。マジシャンの次走は5月25日に予定されているトトソルズ・ゴールド・カップになります。

次いで愛1000ギニーのトライアルも兼ねたアサシ・ステークス Athasi S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。かつては3歳牝馬限定でしたが、現在は古馬にも出走権があり、今年は古馬5頭・3歳5頭の10頭立て。もちろん世代間の負担重量差は大きく、3歳の8ストーン11ポンドに対し、古馬は9ストーン9ポンド。1ストーン(14ポンド)より2ポンド少ない重量差、これにGⅡ以上に勝っている馬にはペナルティーが掛かる仕組みです。
今年は3歳のフライング・ジブ Flying Jib が2対1(3倍)の1番人気に支持されていました。

レースはボルジャー厩舎の3歳馬ピアノータ Pianota が逃げ、フライング・ジブは6番手待機。3番手を進んでいた5番人気(8対1)の4歳馬ヒース・バーグ Peace Burg が抜け出して先頭に立った所に、スタンドに近い側からフライング・ジブが追い込み、半馬身差で期待に応えました。更に1馬身半差で5番手から伸びた2番人気(9対4)の4歳馬ワンナビ―・ベター Wannabe Better が3着。
デルモット・ウェルド厩舎、ケヴィン・マニング騎乗のフライング・ジブは、2歳時3戦してカラーのリステッド戦など2勝、これが今期初戦で3連勝となります。ハーリッド・アブダッラーのジャドモント所有馬で、ロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークス(GⅠ)に登録のある馬、陣営の期待が高い証拠でもありましょう。
一方5ポンドのペナルティーを背負って(10ストーン)勝馬と半馬身差で好走したピース・バーグは、去年までフランスのルジェ厩舎に所属していた馬。彼の地でGⅡに勝っていたでペナルティーを課せられましたが、今期からエイダン・オブライエン厩舎に転じ、これがクールモアの元での初戦でした。もちろんジョセフ・オブライエンとのコンビです。
ところでオブライエンと言えば、アサシ・ステークスには師の娘でジョセフの妹に当たるアナスタシア・オブライエンがビヨンド・ブリリアンス Beyond Brilliance で参戦していましたが、8着でした。

最後に短報。この日はアサシと一対になるテトラーク・ステークス Tetrarch S も行われています。かつてはアサシと同じGⅢでしたが、3歳限定戦(7ハロン)のためかリステッドに降格されたギニー・トライアルですね。
12頭が出走し、6番人気(10対1)のアルカサー Alkasser が優勝。スタート直後にムルタ騎乗の馬が落馬し、ゴール前では勝馬と空馬が大接戦を演じていましたっけ。

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