泥んこのサンタ・マルガリータ

昨日の土曜日は聖パトリックの日の祝日でもありました。当然ながら各地でグレー戦が行われています。
注目はサンタ・アニタのGⅠ戦でしたが、この所カリフォルニアは生憎の雨。馬場は泥田と化し、出走馬も僅か4頭と興醒めな一戦になってしまいました。それでも波乱になったのは、如何に競馬が予想通りには運ばないという証左でもありましょう。

先ずはアケダクト競馬場。冬場は内のダート・コースを使ってきましたが、このコースで行われるG戦はこれが最後。明日1日を残し、3月21日からはメインのダート外コースに舞台が移ります。そのインコースで行われる最後のG戦はエクセルシオ・ステークス Excelsior S (GⅢ、3歳上、9ハロン)。去年は4月2日に行われています。
今年は fast の馬場に6頭立て。小粒ながら実力馬が揃って接戦が期待されていました。その中で1番人気に支持されていたのは、ホーソン・ゴールド・カップ(GⅡ)、ローン・スター・パーク・ハンデ(GⅢ)と既にG戦に2勝しているレッディング・コリリー Redding Colliery でした。
レースはサン・パブロ San Pablo が逃げ、マリリンズ・ガイ Marilyn’s Guy が追う展開。直線入口でマリリンズ・ガイが交わして先頭に立ち、そのままリードを広げるかに見えましたが、サン・パブロが再び差し返して接戦に。最後は首差でマリリンズ・ガイが先着していました。1馬身4分の3差で3着には最低人気のノーマン・アスブジョーンソン Norman Asbjornson の順。1番人気レッディング・コリリーは4着、去年のエクセルシオ覇者インヘリット・ザ・ゴールド Inherit the Gold が5着、ブルックリン・ハンデ(GⅡ)勝馬のバードラン Birdrun はシンガリに終わりました。
勝ったマリリンズ・ジョイは2月18日のアズ・インディケイテッド・ステークス(8ハロン、一般ステークス)でもサン・パブロをハナ差で破っていた馬。前走のビデオ・テープ再現になってしまいました。
調教師はアンソニー・ダトロウ、騎手はチャールズ・ロペス。

続いてフロリダのガルフストリーム・パーク競馬場からはインサイド・インフォメーション・ステークス Inside Information S (GⅡ、4歳上牝、7ハロン)。1976年に創設された当時はシャーリー・ジョーンズ・ハンデキャップ Shirley Jones H と呼ばれていたレース。2010年にBCディスタッフ(1995年)に勝ったインサイド・インフォメーションに因んで改名されました。GⅢに格付けされたのは1988年からで、2005年以降はGⅡに昇格して現在に至っています。
こちらも馬場は fast 、1頭取り消しがあり10頭立てで行われました。人気は接戦で、3対1の1番人気に推されたグルーピー・ドール Groupie Doll は前走セービン・ステークス(GⅢ)で勝馬(オーサム・マリア Awesome Maria)からは8馬身も離されながら強豪ロイヤル・デルタ Royal Delta とは頭差3着と健闘したことが買われたのでしょう。
しかし優勝は差の無い4番人気(9対2)に支持されたミュージカル・ロマンス Musical Romance 、4番手の内に待機し、直線では内の間隙を衝き、先頭に立った伏兵(55対1)ホット・サマー Hot Summer を外から4分の3馬身交わしての鮮やかな差し切り勝ちです。3着は半馬身差で本命グルーピー・ドールが追い込み、並んだ2番人気(7対2)のアール・ホリデイ・ムード R Holiday Mood とハー・スマイル Her Smile は夫々4着と6着。
ウイリアム・カプラン厩舎、フアン・レイヴァが騎乗したミュージカル・ロマンスは短距離の強豪、今年初戦のサンシャイン・ミリオンズ・スプリント(ガルフストリームのノン・グレード、1月28日)は他馬に蹄鉄を踏まれる不利があって4着と期待を裏切っていたために人気を落としていました。ここガルフストリームでは5戦して勝てていなかったことも嫌われた要因。しかし去年のBCフィリー・アンド・メア・スプリントを制したチャンピオン、ここで見事な復権を果たしています。彼女にとって3つ目のG戦勝利。

オークローン・パーク競馬場も馬場は fast の馬場に2鞍のG戦が組まれていました。
最初はアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)。創設は1987年。2005年に改名された経緯については、既に去年紹介しています。創設当初はリステッド戦でしたが、1990年以降はGⅢに格付けされています。
5頭立ての1番人気(9対10)はオークローンの二つの前哨戦、ピッピン・ステークスとバヤコア・ステークス(いずれもノン・グレード)に連勝したアブサンザ・マインデッド Absinthe Minded でしたが、勝ったのは8対1の伏兵ティズ・ミズ・スー Tiz Miz Sue でした。本命アブサンザ・マインデッドとシーズ・オール・イン She’s All In との先頭争いを大外から差し切っての優勝。2着には3馬身差でシーズ・オール・インが逃げ残り、更に1馬身差で2番人気のジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory が3着。アブサンズ・マインデッドは4着に沈みました。
スティーヴ・ホビーが調教、ジョセフ・ロッコが騎乗したティズ・ミズ・スーは、前哨戦のピッピンとバヤコアでは共に2着だった5歳牝馬。三度目の正直でG戦初勝利となります。

続いてレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。オークローン競馬場の3歳三冠レース第二弾に相当することは去年紹介しました。創設は1961年と古く、当初はレベル・ハンデキャップという名のハンデ戦でしたが、1990年にGⅢ、更に2008年からはGⅡに格上げされ、現在ではクラシックの重要なステップレースとして位置づけられています。
前哨戦のサウスウエスト・ステークス(GⅢ)が分割となり、夫々の上位3頭から分割Ⅱを制したキャスタウエイ Castway のみが欠場、新顔も加えた12頭が出走してきました(1頭取り消し)。混戦が予想されましたが、ここはイーヴンの1番人気に支持されたサウスウエスト分割Ⅰ組を制したシークレット・サークル Secret Circle が期待に応えました。
道中3番手から直線半ばで先行するスキャットマン Scatman を捉え、27対1の人気薄オプティマイザー Optimizer の追い込みを4分の3馬身差抑えての快勝です。更に1馬身半差3着がスキャットマン。
勝利調教師ボブ・バファートは、2010年のルッキン・アット・ラッキー Lookin At Lucky 、去年のザ・ファクター The Factor に続いてレベル・ステークス3連覇。分割となったトライアルのサウスウエストをいずれも制していますから、オークローンのクラシック戦線を総なめしたことになります。騎手はラファエル・ベハラノでした。シークレット・サークルはこれで6戦5勝。この後は愈々アーカンソー・ダービーです。

冒頭で紹介したように、サンタ・アニタ競馬場は雨が続き、馬場は sloppy 。
サンタ・マルガリータ・ステークス Santa Margarita S (GⅠ、4歳上牝、9ハロン)。創設年だけは紹介済みですが、グレード制が導入された1973年以来ずっとGⅠの最高格にランクされてきたレースです。同じ日にオークローン競馬場で行われたアゼーリ・ステークスのレース名となっているアゼーリ Azeri は、2002年のこのレースの勝馬です。
馬場が悪化したため2頭が取り消し、僅か4頭立てのGⅠとしては寂しいメンバーになってしまいました。4対5の1番人気にはG戦3連勝中のエラフィッツ Ellafitz が推され、前走ラ・キャニャーダ・ステークス(GⅡ)を制したインクルード・ミー・アウト Include Me Out が6対5の2番人気で続きます。ミス・ミッタゴン Miss Mittagong が8対1、ラヴ・ザウエイ・ユーアー love Theway Youare は9対1と伏兵止まりの人気。
しかし結果は波乱で、本命エラフィッツが快調に逃げているように見えましたが、2番手を追走したインクルード・ミー・アウトが第3コーナーでこれを捉えると、後は後続を引き離し負ったところ無しの大楽勝。2着には最後方を進んだ最低人気のラヴ・ザウエイ・ユーアーが3馬身4分の3差で続き、3着も3馬身4分の1差でミス・ミッタゴン。1人気のエラフィッツはシンガリ負けの惨敗に終わりました。
インクルード・ミー・アウトを調教するロナルド・エリス師は、1996年にもトゥワイス・ザ・ヴァイス Twice The Vice サンタ・マルガリータを制しており、このGⅠ戦は2勝目。騎乗したジョセフ・タラモは、同馬の馬場適性を信じていた様子。同馬の父インクルード Include は泥んこ馬場を得意にしただけに、血統的な要因が決め手になったかも知れません。

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