2012クラシック馬のプロフィール(6)

昨日に続いてアイルランドのクラシック馬、愛1000ギニー馬サミター Samitar のプロフィールです。久し振りに英国勢が巻き返したレースでした。
サミターは、父ロック・オブ・ジブラルタール Rock of Gibraltar 、母アイリーンズ・ギフト Aileen’s Gift 、母の父レインボウ・クエスト Rainbow Quest という血統。父については紹介するまでもないでしょう。

母アイリーンズ・ギフト(1998年、鹿毛)は未出走馬。サミターはその6番仔で、サミターは4頭目の勝馬となります。勝馬を並べておくと、
2002年 エントラスト Entrust 黒鹿毛 牡馬 父ザール Xaar
2005年 ニジューム・ドバイ Nijoon Dubai 鹿毛 牝馬 父ノヴェール Noverre
2006年 ラ・ギフテッド La Gifted 鹿毛 牝馬 父フラーム Fraam
2009年 サミター

この中ではニジューム・ドバイが最も成功した馬。2歳時にサミターと同じくロイヤル・アスコットのアルバニー・ステークス(GⅢ)に優勝。3歳時は仏1000ギニーに挑戦しましたが、14頭立ての8着。勝鞍は未勝利で挑戦したアルバニー一鞍で終わりました。
ラ・ギフテッドは23戦して6勝の実績。どれも7ハロンのハンデ戦でした。現在までのところ、サミターが母の産駒の出世頭です。

2代母ジョイフル Joyful (1992年 鹿毛 父グリーン・デザート Green Desert)はリングフィールドのポリトラック・コースで1勝(7ハロン)した馬で、競走馬としてはほとんど実績を残していません。
その産駒ではスプリンターのロウカー・パーク Roker Park (2005年 鹿毛 せん馬 父ショワジール Choisir)が6勝。勝鞍は全て5ハロンと6ハロンのハンデ戦で、パターン・レースは2歳時にノーフォーク・ステークスとリッチモンド・ステークスに出走しましたが、いずれもどん尻争い、二度とこのクラスに挑むことはありませんでした。

また、アイリーンズ・ギフトの半妹クーデン・ビーチ Cooden Beach (2000年 鹿毛 父パントル・セレブル Peintre Celebre)の仔シャウィール Shaweel (2006年 牡馬 鹿毛 父ダンジリ Dansili)が2歳のG戦ジムクラック・ステークス(GⅡ)に勝ち、仏2000ギニーに挑戦したものの7着に終わっています。
(クーデン・ビーチはその後日本に輸入され、ディープインパクトと配合するという噂を聞いたことがありますが、未確認情報です)

ここまで見てくると、この牝系はスピードが主体、長くて1マイルまでと言う印象が強いのですが、3代遡ると中々にスタミナも流れていることが判ってきます。

3代母はオプティミスティック・ラス Optimistic Lass (1981年 鹿毛 父ミスター・プロスペクター Mr. Prospector)。オークスのトライアルであるミュージドラ・ステークス(GⅢ、11ハロン)に勝ち、オークスでも期待を集めましたが、最後はスタミナを失くして5着入線。しかし4着馬の進路妨害によって4着に繰り上がるという結果を残しました。
オプティミスティック・ラスは、オークスの後もナッソー・ステークス(GⅡ、現在はGⅠに格上げされた10ハロン戦)を制してトップ・クラスの牝馬であることを証明しています。オークスの最後の400メートルが長かったのは、彼女の場合はミスター・プロスペクターの血によるものと評されたものです。

繁殖に上がったオプティミスティック・ラスは、初産駒にいきなりゴールデン・オピニオン Golden Opinion (1986年 栗毛 牝馬 父スルー・オ・ゴールド Slew O’Gold)を出して注目されます。
ゴールデン・オピニオンは仏1000ギニーこそ3着に終わったものの、ロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークス(GⅠ)に優勝。他にもサンドリンガム賞(GⅢ)、ロン・ポワン賞(GⅢ)と1マイルのG戦を制し、世代最強マイラーの1頭に数えられました。1マイルのみで活躍したのには、陣営ではより長い距離には不安を抱いていたから。血統的には2000メートルまでは克服できるタイプだったと思われます。

オプティミスティック・ラスを祖とするファミリーからは、現在までのところゴールデン・オピニオンを超える馬は出ていないようです。ゴールデン・オピニオンの孫娘ラヒヤー Rahiyah (2004年 栗毛 父ラヒー Rahy)が仏1000ギニー3着、同じくウエイト・アンド・シー Wait and See (2005年 鹿毛 父モンジュー Montjeu)がヴァントー賞(GⅢ)2着。
またインドに輸出された娘からはインド2000ギニーを制したワイルド・イーグル Wild Eagle という馬も出ています。日本にもこの牝系が輸入されていますが、現時点では中央競馬での活躍馬は出ていないようです。

4代母ラヴリエスト Loveliest (1973年 栗毛 父ティバルド Tibaldo)はペネロープ賞(GⅢ)3着馬。5代母ラヴリー・アン Lovely Ann (1956年 鹿毛 父フレーミング・フリート Flaming Fleet)は、メトロポリタン・ハンデなどに勝ったアメリカの強豪アルビース・ボーイ Arbees Boy の母でもあります。

ファミリー・ナンバーは、2-e 。

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