2012クラシック馬のプロフィール(2)

昨日に引き続きクラシック馬のプロフィール、2回目は1000ギニーを9馬身の大差で圧勝したホームカミング・クィーン Homecoming Queen です。
ホームカミング・クィーンは、父ホーリー・ロマン・エンペラー Holy Roman Emperor 、母ラグリオン Lagrion 、母の父ダイシス Diesis という血統。クールモアのトロイカ、ジョン・マニエー、マイケル・テイバー、デリック・スミスが馬主として連なるオブライエン厩舎の良血馬です。
昨日のキャメロットに倣い、牝系の前に父ホーリー・ロマン・エンペラー(2004年、鹿毛、父デインヒル Danehill)について簡単に紹介しておきましょう。
「神聖ローマ皇帝」という大仰な名前を持つこの種牡馬は、今年の3歳馬が2年目のクラシックを迎える未だ若い種牡馬です。
エイダン・オブライエン厩舎に所属、2歳時にジャン=リュック・ラガルデール賞(グラン・クリテリウム)、フェニックス・ステークスと二つのGⅠを制し、ボルジャー厩舎のテオフィロ Teofilo と2歳チャンピオンを争った間柄。冬場も翌年の2000ギニーの人気を分け合うほどの逸材でした。
ところがその冬、クールモアが種牡馬として期待していた前年のギニー馬ジョージ・ワシントン George Washington に受胎能力に問題があることが発覚、急遽そのピンチヒッターとして3歳の3月には引退して種牡馬入りしてしまった珍しいケース。ジョージ・ワシントンと同じデインヒル産駒、ワシントンの代役にローマ皇帝が立ったことになります。
ということで3歳から種付けを開始したホーリー・ロマン・エンペラー、欧州と豪州を行き来するシャトル種牡馬で産駒の数は多いのですが、初年度産駒からは特に目立った活躍馬は出ていません。アスコットのリブルスデール・ステークスなど、1マイル4分の1から1マイル半のパターン・レースに勝ったバニンパー Banimpire が目立つくらい。
早くから種牡馬生活をスタートさせたことも影響しているのかも知れませんが、現時点では同馬に最初のクラシック制覇をプレゼントした2年目のホームカミング・クィーンが代表産駒と言えるでしょう。まだまだ先の長い期待の種牡馬。いずれは日本にもその血が入ってくることと思われます。
(日本では今年の3歳にローマンクィーンという牝馬がいますが、未だ未勝利のようですね)
さて牝系です。
母ラグリオンは競走馬としては目を惹くような実績がありません。血脈としてはステイヤーで、2歳時は未出走、3歳デビューの奥手でしたが勝鞍は無し。つまり未勝利のまま繁殖に上がります。ただ、彼女が走ったのは全てミドル・ディスタンス。父ダイシスはミドルパーク・ステークスとデューハースト・ステークスに勝って2歳チャンピオンになった名馬ですが、産駒からはより長い距離で活躍した馬が多く出ています。
ラグリオンの繁殖成績を年度順に列記しておきましょう。種付けした種牡馬が毎年異なることにも注目して下さい。
1994年 タルサ Tulsa 鹿毛、せん馬 父プリオロ Priolo 41戦1勝
1995年 ボールド・レガシー Bold Legacy 栗毛、せん馬 父ムジタヒド Mujtahid 14戦未勝利
1996年 カルロ・バンク Carlo Bank 鹿毛、牡馬 父ラーヒブ Laahib 88戦12勝
1998年 キルケニー Kilkenny 鹿毛、牡馬 父ナマクアランド Namaqualand 4戦未勝利
1999年 クィーンズ・ロジック Queen’s Logic 栗毛、牝馬 父グランド・ロッジ Grand Lodge 5戦5勝
2000年 チャティファ Chatifa 栗毛、牝馬 父ティートゥス・リヴィウス Titus Livius 4戦1勝
2001年 ストライズ・オブ・ファイア Strides of Fire 鹿毛、せん馬 父ジェネラル・モナッシュ General Monash 31戦2勝
2003年 ディラン・トーマス Dylan Thomas 鹿毛、牡馬 父デインヒル Danehill 20戦10勝
2005年 ラヴ・トゥー・ダンス Love To Dance 鹿毛、牝馬 父サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells 12戦未勝利
2007年 リメンバー・ウェン Remember When 栗毛、牝馬 父デインヒル・ダンサー Danehill Dancer 6戦未勝利
2009年 ホームカミング・クィーン
海外競馬のファンならば、この内の何頭かは耳に覚えがあるでしょう。先ずは5番仔のクィーンズ・ロジック。クィーン・マリー・ステークス(GⅢ)、ラウザー・ステークス(GⅡ)、チーヴリー・パーク・ステークス(GⅠ)に勝って欧州最強2歳牝馬に選ばれたGⅠ馬。3歳初戦のフレッド・ダーリング・ステークス(GⅢ)にも勝ちましたが、クラシックに挑戦することなく無敗のまま繁殖に上がりました。
彼女は繁殖牝馬としても成功、レディー・オブ・ザ・デザート Lady of the Desert (2007年、栗毛、牝馬、父ラヒー Rahy)が2歳時にプリンセス・マーガレット・ステークス(GⅡ)、ラウザー・ステークス(GⅢ)に勝ち、翌年もダイアデム・ステークス(GⅡ)に優勝、スプリント・カップとアベイ・ド・ロンシャン賞という短距離のGⅠ戦でも2着に入り、スプリンターとして活躍しています。
続いては何と言っても8番仔のディラン・トーマス。ホーリー・ロマン・エンペラーと同じデインヒル(父はダンジグ Danzig)産駒で、3歳時には愛ダービー、愛チャンピオンに勝ち、4歳になってからキング・ジョージ・凱旋門賞、愛チャンピオン(連覇)、ガネー賞を制して年度代表馬に輝いた実績は改めて紹介するまでもないでしょう。
ディラン・トーマスの活躍で、母ラグリオンは2006年と2007年、2年に亘って Bloodmare of the Year に選ばれました。
その他ラグリオン産駒は、1マイル4分の1戦で勝ったタルサ、イタリアで1マイル半に勝っているカルロ・バンクがありますし、未勝利ながらリメンバー・ウェンはオークス3着(降着があって2着に昇格)、愛1000ギニー4着とクラシックで好走した馬。
そして今年のホームカミング・クィーン。母ラグリオンにとっては何と3頭目のGⅠ馬となりますし、ディラン・トーマスとは4分の3兄妹の関係となりますね。
次に2代母ラップ・イット・アップ Wrap It Up (1979年、栗毛 父マウント・ハーゲン Mount Hagen)。この馬は未出走ですが、ラグリオン以外ではミドル・パーク・ステークスで2着したピュア・ジニアス Pure Genius を出しているのが目立つ程度。
3代母ドック・ナン Doc Nan (1963年、栗毛 父フランシス・S Francis S.)はアメリカ産馬で58戦10勝。ステークスの勝鞍は無く、モデスティー・ハンデで3着という記録があるだけ。7歳にしてアイルランドで繁殖入りしています。
繁殖成績では、ラップ・イット・アップの他にギフト・ラップド Gift Wrapped (1977年、鹿毛 父ウルヴァー・ハロウ Wolver Hollow)が競走馬としても繁殖牝馬とてしても成功しました。現役時代はリングフィールド・オークス・トライアルに優勝。オークスは出走しませんでしたが、ミュジドラ・ステークスではその年のオークス馬バイリーム Bireme に1馬身差2着と善戦しています。
ギフト・ラップドの産駒では、ロイヤル・ロッジ・ステークス(GⅡ)に勝ったリーチ Reach (1982年、鹿毛、牡馬 父クリス Kris)と、その全妹でイタリア・オークス2着のラッピング Wrapping (1986年、鹿毛 父クリス)が重要。
ラッピングには、イタリアでリディア・テシオ賞(GⅡ)に勝ち、ヨークシャー・オークスとヴェルメイユ賞で2着した国際派のペイパリング Papering (1993年、鹿毛、牝馬 父シャーディ Shaadi)という娘もいます。
ホームカミング・クィーンは、1000ギニーではペースメーカーの1頭と評価され、25対1と無視された存在でした。クラシックの前に14戦もして余り目立つ実績が無かったからでもありますが、オブライエン師もその急成長振りを隠そうとはしていませんでした。
馬場が相当に重く、血統的にはスタミナ系の配合を持つ同馬には有利だったとも言えるでしょう。名手ライアン・ムーアの好判断も味方に付けたようです。
それにしても怖いのは「良血馬」の一発。勝たれて見れば、ディラン・トーマスの妹じゃないか!! これがファンの本音じゃないでしょうか。
ファミリー・ナンバーは、9-C 。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【2012クラシック馬のプロフィール(2)】

    昨日に引き続きクラシック馬のプロフィール、2回目は1000ギニーを9馬身の大差で圧勝したホームカミング・クィーン Homecoming Queen です。 ホームカミング・クィーンは、父ホーリ

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