プロムスのベルリン・フィル(1)

引き続きプロムスのネット中継を聴きますが、今回と次回はベルリン・フィルが音楽監督サイモン・ラトルと共に登場、2種類のプログラムを披露します。
今回から最終日のラスト・ナイトまでは、ベルリン・フィルに続いてゲヴァント・ハウス管、ウィーン・フィルなどが次々とアルバート・ホールを占拠、最後まで一気に突っ走るようですね。
ベルリン第一弾は、

≪Prom 63≫
リゲティ/アトモスフェール
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
シベリウス/交響曲第4番
     ~休憩~
ドビュッシー/バレエ音楽「遊戯」
ラヴェル/バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲
 管弦楽/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 指揮/サー・サイモン・ラトル

特に珍しい作品が並ぶわけではありませんが、BPOの日本公演とはかなり趣が異なる選曲。このプロで日本公演を、と言っても呼び屋さんからノー! を突き付けられるのは間違いありませんな。

5曲に何か関連があるのかと思いましたが、特に意図はなさそう。ただ、最初のリゲティとワーグナーは最近ペアで取り上げているようで、今回も休みなく続けて演奏されました。
なるほどリゲティとローエングリンは共通の雰囲気を持っていて、高音のフラジォレットはワーグナーの同時代人にも、我々の若い頃にも同じような衝撃で迎えられたことが理解できます。
リゲティはスコアを見ても何処をやっているのか良く判らない音楽ですが、演奏箇所を見失うようなことはありません。ただネット中継では細部のニュアンスまでは聴き取れず、例えば練習記号Hからの弦(何と56部に分割)のきめ細かい動きは雰囲気だけなのは残念。

この暗くて不思議な世界からシベリウスに移行するのにも違和感がありません。ラトルによれば、シベリウスの第4交響曲はパルジファルと同じ性質を持った音楽で、今回のプログラムにはピタリと嵌っていました。

後半は一転、明るさを感じさせる音楽で対照を際立たせているのもラトルの仕掛けでしょう。ドビュッシーはもちろん生誕150年のオマージュでもあります。

映像も写真も紹介されていませんが、アナウンスによるとこの日のコンマスは樫本大新、ラヴェルで妙技を披露したフルートはアンドレアス・ブラウだそうです。

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