分割になったヴァレー・ヴュー
アメリカも金曜日のG戦はキーンランドだけ。ブリーダーズ・カップを翌々週に控え、こちらも静かな週末を迎えています。
この日キーンランド競馬場で行われた唯一のグレード・レースはヴァレー・ヴュー・ステークス Valley View S (芝GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)ですが、最近では少なくなった分割で行われました。
アメリカ競馬のシステムは不案内ですが、彼の地では登録頭数が多い場合にはたとえGⅠでも分割される場合があります。2分割、時には3分割。記録を見ると更に多いケースも。それでいて登録の多いクラシック、ケンタッキー・ダービーなどが分割されることはありません。その辺りの線引きが素人には今一つ不明ですね。
ということで、かつて(特に70年代は多かったように思います)は花盛りだった分割も最近では少なくなっていましたが、昨日のヴァレー・ヴューは24頭もの3歳牝馬による登録があり、枠順発表の時点から2分割されていました。夫々12頭づつ、第1ディヴィジョンが第7レース、第2は第9レースとして行われます。共に芝コースは firm 。
第1ディヴィジョンは登録通り12頭立て。ヴァージニア・オークス(芝GⅢ)に勝ったヴォルキャット Volcat 、カナダの芝GⅢ勝馬コロニアル・フラッグ Colonial Flag 、イタリアで2歳時にグラン・クリテリウム(GⅠ)を制したナヤーラ Nayarra と実績馬が揃い、前走G勝ちのコロニアル・フラッグが5対2の1番人気に支持されていました。
レースはヴォルキャットが逃げましたが、最後方を進んだブービー人気(27対1)のエンジェル・テラス Angel Terrace が直線で馬場中央から抜け、同じく後方から追い込んだ外の2番人気(4対1)ミス・ケイト Miss Cato をハナ差抑える逆転劇。2馬身差3着にも最低人気(38対1)のザッパー・ベル Zapper Belle が入る大波乱になりました。コロニアル・フラッグは5着。
ジョナサン・シェパード厩舎、ジェームス・グレアム騎乗のエンジェル・テラスは、これが3勝目(7戦)でステークスは初勝利。前走サラトガの一般ステークスでは4着でしたから、人気の点で実績馬に劣っていたのは当然でしょう。尚、2着のミス・ケイトは3戦続けて2着とアンラッキー。
続く第2ディヴィジョン。こちらも12頭が登録していましたが、2頭が取り消しての10頭立て。こちらにも昨秋にミエスク・ステークス(芝GⅢ)に勝ったモア・ザン・ラヴ More Than Love 、ボイリング・スプリングス・ステークス(芝GⅢ)のダンシング・ソロ Dancing Solo 、前走パッカー・アップ・ステークス(芝GⅢ)を制したリーディング・アストレー Leading Astray と既に芝のGⅢに勝っている実績馬が3頭揃いました。しかし4対5の1番人気に支持されたのは、前走ベルモントの一般ステークスを含めて2連勝中のピアニスト Pianist 。第1ディヴィジョンでの波乱が影響したのでしょうか。
こちらも結果は追い込みが決まり、優勝は6~7番手から追い込んだ2番人気(9対2)のミズ・アイダ Miz Ida 。首差2着のイングリッシュ・クラス English Class は3番手を追走した馬で、これも7番人気(25対1)の伏兵。1馬身差3着は3番人気(5対1)、成績上位のリーディング・アストレーでした。本命ピアニストは2番手追走も4着まで。
スティーヴ・マーゴリス厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗のミズ・アイダは、3連勝でG戦は初制覇。こちらは9戦6勝の通算成績となります。
分割されたヴァレー・ヴュー、勝時計は第1版が1分44秒77、第2版は1分44秒25。後の方が僅かに速いタイムでしたが、ほとんど差は無く、どちらも接戦だったことに変りはありません。昔のヒート・システムのように上位馬だけで決着を図ったとしても、混戦になるのは間違いなさそうですね。
もう一つ記録を紹介すると、このレースが分割になったのは2009年以来2度目の由。レースの歴史などが今一つ明快ではありませんが(去年の日記参照)、シーズン末期の3歳牝馬限定戦ということで、駆け込み出走が多くなるのでしょう。
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