ボルジャー師、第2のダービー候補

昨日のサン=クルー競馬場はG戦2鞍、いずれも heavy の馬場で行われています。先ずはクリテリウム・インターナショナル Criterium International (GⅠ、2歳、1600メートル)。6頭立てで行われました。
G戦勝馬が2頭、前走トーマス・ブライアン賞(GⅢ)に勝ったロウマン Lawman 産駒のユーエス・ロウ US Law と、新馬勝ちした後パターン・レースに使い続け、前々走でシェーヌ賞(GⅢ)を制したパール・フリュート Pearl Flute が出走してきましたが、夫々2番人気(3対1)と並んだ3番人気(11対2)。この両馬を抑えて6対4の1番人気に支持されたのは、何故か前走3戦目でサン=クルーの条件戦に初勝利したばかりのトリプル・スレット Triple Threat 。前走が大本命(4対5)で2着に4馬身差を付ける楽勝だったこと、名門アンドレ・ファーブル厩舎という先物買い的な人気でしょうか。

レースは、厩舎は違えどパール・フリュートと同じ勝負服(パール・ブラッドストック)のアンナズ・パール Anna’s Pearl の逃げ、やや掛かり気味のユーエス・ロウが2番手に付けます。しかし優勝は3番手に付けたロッホ・ガーマン Loch Garman (11対2、並んだ3番人気)。ケヴィン・マニング騎手のゴーサインに鋭く反応し、逃げたアンナズ・パールを半馬身差し切っていました。更に1馬身4分の1差でユーエス・ロウが3着、人気のトリプル・スレットは4着。後方に待機したパール・フリュートは伸び脚なく6着最下位に敗退です。シーズンを通して使い込んできたパール・フリュート、これが7戦目という疲れが出たのかも知れません。

ロッホ・ガーマンはアイルランドのジム・ボルジャー厩舎が送り込んだ馬。8日前にナヴァンの新馬戦に勝ったばかりの新星で、これで2戦無敗のままGⅠホースとなりました。ボルジャー師が手掛けたテオフィロ Teofilo の2年目の産駒、ダービー向きの1頭でしょう。
現時点で来年の英ダービー・オッズは、先日レーシング・ポスト・トロフィーを同じく2戦目で制したオブライエン厩舎のキングズバーンズ Kingsbarns が1番人気、やはり無敗(6戦)のドーン・アプローチ Dawn Approach が2番人気で続いていますが、ロッホ・カーマンはボルジャー師にとってはドーン・アプローチに次ぐ2頭目のダービー候補。昨日の勝利でダービーに20対1のオッズが出されました。

もう一鞍はパース賞 Prix Perth (GⅢ、3歳上、1600メートル)。3歳牝馬から7歳牡馬まで、様々なタイプ11頭が出走してきました。1番人気(14対5)は、唯一の5着を挟んで5勝(ハンデ戦からリステッド戦まで)の3歳牝馬ポリアンナ Pollyana 、こちらも未知の馬への期待です。

スタートからほとんどの馬がスタンドから遠いラチ沿いを進む中、3番人気(7対2)のエヴァポレーション Evaporation と、ブービー人気(26対1)のドン・ボスコ Don Bosco の2頭だけがスタンド側を通る展開。(御存知のようにサン=クルー競馬場は東京競馬場と同じ左回り)
結局はスタンド側の2頭の1・2着、ドン・ボスコがエヴァポレーションに2馬身差を付ける逃げ切り勝ちでした。遠い集団グループで最先着したサルキーラ Sarkiyra が1馬身4分の3差で3着。人気のポリアンナは4着に終わっています。英国から挑戦したハギー・モリソン厩舎のチル・ザ・カイト Chil the Kite 8着。

デヴィッド・スマガ厩舎のドン・ボスコは、8月11日ドーヴィルのゴントー=ビロン賞(GⅢ)に続くG戦2勝目。その時の日記(8月12日)で紹介したように、オーナーは名優オマール・シェリフ氏であることが話題ですね。
また今回騎乗したフラヴィアン・プラット騎手は、ウェルザイマー兄弟の第2騎手として契約したばかり。ウェルザイマー兄弟と言えば先日の凱旋門賞(ソレミア Solemia)制覇で頂点に立ちましたが、主戦(第1騎手)はオリヴィエ・ペリエ。皮肉なことにパース賞2着のエヴァポレーションこそウェルザイマー家/ペリエ騎乗の馬で、プラット騎手は先輩の泡を吹かせた形になりました。
ところでソレミアは今シーズン限りで繁殖に上がることが決まっていますが、引退レースとしてジャパン・カップを選んだようです。順当ならペリエが騎乗するはずですが、プラット騎手の日本初見山の芽も無くはないでしょう。日本の軽い馬場ならオルフェーブル有利は動かないところでしょうが、騎手の動静にも注目したいところ。

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