レパーズタウンの2歳戦

昨日、というか昨夜、アイルランドのレパーズタウン競馬場で2鞍の2歳G戦が行われました。ヨーロッパでも北に位置するこの地方は、この時期は白夜でもありますから、仕事を終えてから競馬観戦と言う楽しみもあるのです。
昨日の2戦は確かこれまでは別の日に施行されていたもの、一日に纏めた方が興行的にも良い選択だと思われます。馬場も good to firm と如何にも夏らしい固目のコース。

最初はシルヴァー・フラッシュ・ステークス Silver Flash S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。今年はトルコ競馬会がスポンサーになっていました。8頭立て、11対4の1番人気に支持されたウェルド厩舎のマーサリ Marsali はフェアリーハウスの新馬戦に勝ったばかりですが、内容の良さが評価されての本命。
レースは2番人気(3対1)でアガ・カーンのレイダーラ Raydara が逃げましたが、2ハロン地点で5番人気(8対1)のクオリファイ Qualify が替って先頭。残り2ハロンで5番手を進んだ6番人気(14対1)のジャック・ネイラー Jack Naylor が伸びると、同じく7番手から追い込んだ4番人気(11対2)のアグネス・スチュアート Agnes Stewart に1馬身半差を付ける番狂わせでした。頭差で逃げたクオリファイが3着に粘り、本命のマーサリは7着敗退。先手を取ったレイダーラは4着、3番人気(4対1)でチーム・オブライエンのコクーン Cocoon も大差のシンガリ負け。

ジェシカ・ハリントン夫人が調教、フラン・ベリー騎乗のジャック・ネイラーは、これが4戦目。徐々に着順を上げながら成長し、前走ロスコモン競馬場で未勝利を脱していました。ハリントン女史によると、1マイルの方が更に適しているし、血統から見ても来年は1マイル半で本領を発揮できるタイプだとのこと。次走はデビュタント・ステークスの予定ですが、今回の勝利でペナルティーが課せられます。追加登録料を支払ってGⅠのモイグレア・スタッドに参戦すれば、同斤量での戦いに持ち込めましょう。

もう一鞍がタイロス・ステークス Tyros S (GⅢ、2歳、7ハロン)。こちらはJRA(日本中央競馬会)がスポンサーになっており、日本から誰か表彰式に出掛けたのでしょうか? 何と最終登録で残ったのはたった3頭。3頭立てのG戦というのは中々見られない光景でしょう。
その3頭は、4対7の1番人気がオブライエン厩舎のグレンイーグルス Gleneagles 、7対4の2番人気にウェルド厩舎でジャドモントの1戦1勝馬トムレーン Tombelaine 、10対1がライオンス厩舎のコンヴァージェンス Convergence で、前走では既にグレンイーグルスを破っている馬です。

先手はコンヴァージェンス、これをトムレーンが追走し、グレンイーグルスは後方。最後は順位がそっくり逆転する結果となり、グレンイーグルスがトムレーンに4分の3馬身差で優勝し、頭差でコンヴァージェンスの順。ペースはスローでしたが、オッズ通りの結果で収まりました。
ジョセフ・オブライエンが騎乗した(2歳戦でも各馬の負担重量は9ストーン3ポンドですから体重のあるジョセフでも騎乗できます)グレンイーグルスは、レパーズタウンのデビュー戦がコンヴァージェンスの4着。一叩きされた2走目の前走、カラー競馬場で初勝利を挙げ、これで3戦2勝となりました。使われたのは全て7ハロン。初戦だけはオダナヒューが跨りましたが、2連勝は何れもジョセフの騎乗です。とにかく馬をリラックスさせること、未だ子供なのでレースを学ばせることに眼目を置いての騎乗だったとのこと。更なる成長が必要ですし、出来る器と見ました。
血統的にも今年愛1000ギニーを制したマーヴェラス Marverous の全弟。このあとはフューチュリティーからナショナル・ステークスという王道になる見込みです。2000ギニーのオッズは25対1で、レース前と変更はありません。

オブライエン師は、このレース7年間で4勝目。リップ・ヴァン・ウィンクル Rip van Winkle 、ケープ・ブランコ Cape Blanco 、ゾッファニー Zoffany に続きました。タイロスは他にもテオフィロ Teofilo やニュー・アプローチ New Approach も勝った出世レースで、グレンイーグルスもクラシック馬に列することが出来るでしょうか。

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