グラゴル・ミサのオリジナル版
24日のプロムスは、3日目にもワールド・ピース管を振ったゲルギエフの再登場。今回は首席のロンドン響との共演です。
7月24日 ≪Prom 9≫
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番
~休憩~
ヤナーチェク/グラゴル・ミサ曲(オリジナル版)
ロンドン交響楽団
指揮/ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev
ピアノ/バリー・ダグラス Barry Douglas
ソプラノ/ムラダ・クドゥレー Mlada Khudoley
メゾ・ソプラノ/ユリア・マトチュキナ Yulia Matochkina
テノール/ミハイル・ヴェクア Mikhail Vekua
バス/ユーリ・ヴォロビエフ Yuri Vorobiev
オルガン/トーマス・トロッター Thoams Trotter
合唱/ロンドン・シンフォニー・コーラス
この夜は、先日事故で死去した同響のトランペット奏者の追悼も兼ねたコンサートでした。プログラムは比較的オーソドックスなもの。
前半のブラームスは、かなり遅いテンポで演奏されました。ダグラスはこの協奏曲をスクロヴァチェフスキの棒で録音していましたが、それもロンドン交響楽団との共演でした。
聴いているうちに、第2ヴァイオリンが右から聴こえて来たので対抗配置であることに気が付きます。
後半はヤナーチェクの異色作であるグラゴル・ミサ。ソリストは全員マリインスキー劇場のメンバーです。
このミサは最初「決定稿」なるものがユニヴァーサル社から出版され、私もそれで長い間楽しんできました。しかしそれに異を唱えた最初の人がチャールズ・マッケラスだったと思います。手元にあるスプラフォン盤は、マッケラスが自分で探しだした新資料を演奏に反映したものです。
その後ユニヴァーサルは第一稿、即ちオリジナル版なるものを出版しましたが、その時私は横目で見ていただけでした。その後はN響に客演したデュトワもオリジナル版を取り上げましたし、徐々に新版が浸透してきたように思います。
今回のプロムス・ホームページではポール・ウィングフィールドによる再構成とありましたが、これがマッケラスの校訂とどういう関係にあるのかは判りません。ユニヴァーサルのオリジナル版を是非見てみたいもの。
オリジナル版で顕著にわかる違いは、冒頭に最終楽章として演奏される「イントラーダ」が置かれていること。つまりイントラーダで始まり、イントラーダで終わる。シンフォニエッタと同じ構造になっているのですね。
その他ゲルギーのライヴを聴いたあと、ナクソスNMLにあるマズア指揮の決定稿を聴き比べましたが、決定稿はドイツ語的な語法に翻訳されていることが判ります。特にオリジナルでは第3曲に当たる「あわれみの讃歌 Gospodi pomiluj」が極端で、単なる言語の問題以上にリズムや音符自体が別の作品だと痛感しました。
いずれユニヴァーサル社の「オリジナル版」もゲットして比較しなければ、と感じた次第。
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