プロムスのサンクト・ペテルブルグ響(2)

前日に続いてサンクト・ペテルブルグ響の演奏会を聴きます。

9月8日 ≪Prom 71≫
リムスキー=コルサコフ/見えざる町キテージの物語
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
エルガー/エニグマ変奏曲
 サンクト・ペテルブルグ交響楽団
 指揮/ユーリ・テミルカーノフ
 ヴァイオリン/ユリア・フィッシャー Julia Fischer

初日に続いて二日目もロシア音楽で始まりますが、最初の作品はリムスキー=コルサコフの歌劇からマキシミリアン・スタインバーグが組曲として編んだもの。このオペラはロシアのパルジファルと評価されているそうです。
本来の組曲は4曲から成りますが、今回テミルカーノフが演奏したのは3曲で、しかも第2・3・1曲の順に演奏しました。つまり第4曲はカット。第2曲と第3曲はアタッカでそのまま流れ込みますから、何気なく聴いていると2楽章の様に聴こえるかもしれません。

続いてはヴァイオリン協奏曲の大傑作チャイコフスキー。初演はハンスリックが「臭い」と評して散々な評価でしたが、その後はヴァイオリン奏者のレヴェルが急速に上がり、コンサートでは欠かせない名曲になりました。
少し前までは冗長と判断された箇所にカットを施す習慣がありましたが、今回のユリア・フィッシャーも一切カットせず、全曲を完璧に完全演奏して喝采を浴びます。
フィッシャーのアンコールは、パガニーニのカプリスから17番の変ホ長調。但し、これはプロムスのホームページからの検索では聴けず、BBC3のホームページから当日のプログラムを呼び出し、サウンド・クリップを選択して聴くしかないようです。

後半はロシアのオーケストラとしては珍しいエルガー。英国でも不思議に思ったか楽員にインタヴューしていましたが、マエストロが好きな作品だから、ということでした。テミルカーノフは以前に読響でも指揮していましたから、単にプロムス向けのサーヴィスでは無いことは明らか。
アンコールにも、先ずエルガーの愛の挨拶を持ってきました。かつて読響のコンサートマスターを務めた英国出身のデヴィッド・ノーランが退任する記念コンサートで、その時の指揮者だったテミルカーノフが特別にこれをアンコールしてノーランに捧げていたことを思い出します。

アンコールは更にもう1曲。ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」からユーモラスなヴィヴォで、わざとたどたどしい演奏で客席を喜ばせたのは、前日に続くテミルカーノフ一流の大見得でしょう。
ということでロシアからの賓客、次回までダスヴィダーニャ До свидания!

 

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