プロムスのサンクト・ペテルブルグ響(1)

プロムスも第4コーナーを回ると、海外のトップ・クラス・オケの来演が続きます。今年はほぼ10年振りにサンクト・ペテルブルグ交響楽団が登場しました。もちろん首席指揮者ユーリ・テミルカーノフの指揮で、2晩続けてのコンサート。その初日は、

9月7日 ≪Prom 70≫
チャイコフスキー/フランチェスカ・ダ・リミニ
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番
     ~休憩~
リムスキー=コルサコフ/シェエラザード
 サンクト・ペテルブルグ交響楽団
 指揮/ユーリ・テミルカーノフ Yuri Temirkanov
 ピアノ/ニコライ・ルガンスキー Nikolai Lugansky

テミルカーノフはもちろん日本でもお馴染みで、今春も読響に登場したばかり。今回の来日ではシェエラザードも取り上げていたはずです。初日はオール・ロシア音楽で客席を大いに沸かせました。
冒頭のチャイコフスキー、その前半、詳しく言えば第153小節から第246小節までをバッサリとカットしていました。そう言えばテミルカーノフ、前回読響で取り上げたショスタコーヴィチの第7シンフォニーでも第3楽章の一部に大胆な鋏を入れていましたから、スコアに忠実という頑固なタイプの指揮者じゃないんでしょう。
フランチェスカ・ダ・リミニのカットは、以前に何処かの演奏会か誰かの録音で遭遇した覚えがありますから、慣習的なカットなのかもしれません。“この方がスッキリするし、皆さんも退屈しないでしょ。”とマエストロが言っているよう。

続くラフマニノフの名曲は、今年のプロムスの柱だったピアノ協奏曲名曲撰の最後に登場するもの。この秋には日本公演も控えている名手ルガンスキーのソロで。
喝采に応えてのアンコールは、同じラフマニノフの絵画的練習曲集作品33から第7曲。協奏曲と同じハ短調でメインの雰囲気を継承します。

シェエラザードはコンサートマスター、イアン・クリチュコフのソロ。残念ながら私は聴けませんでしたが、読響との演奏を聴かれた方はさぞ仰天したでしょうね。
全曲のクライマックス、難破の場面でティンパニが3連音符を思い切りギアダウンして叩きつける。歌舞伎の大見得を切るシーンを連想させます。この大芝居、テミルカーノフだから決まるので、他の指揮者がやったら単なる真似事になってしまうでしょう。

もちろんオーケストラにもアンコールがあります。チャイコフスキーのくるみ割り人形から、第2幕のパ・ドゥ・ドゥー。例の「ドシラソファミレド」という音階を下がるだけのチャイコフスキー節。これをテミルカーノフの大見得を切るスタイルで演奏するのですから客席は堪りません。
ほとんど絶叫状態の観客に、もう1曲サーヴィス。アルベニスのピアノ曲「スペイン」作品165から第2曲の「タンゴ」。ユーモラスなシチェドリンの管弦楽アレンジで、客席も大満足の様子でした。

 

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