変わるフランスの2歳路線

前日のオマール賞に続き、昨日はロンシャン競馬場でシェーヌ賞 Prix des Chenes (GⅢ、2歳牡せん、1600メートル)が行われました。去年は9月20日に施行されましたが、今年は10日ほど前倒ししての開催となります。この件に関するニュース記事は未だ目にしていませんが、恐らく今年からジャン=リュック・ラガルデール賞(GⅠ、旧グラン・クリテリウム)の距離が1600メートルと200メートル延長されることと関係があるだろうと思慮しています。
2歳牡馬の頂点レースであるグラン・クリテリウムは、長年に亘って1600メートルで行われてきました。しかし2001年からフランス競馬のオーソリティーであるフランス・ギャロがシステム全体を見直し、その距離が1400メートルに短縮されます。長年2400メートルだった仏ダービーが2100メートルに短縮されたのも、この改革の一環でした。アメリカを主流とするスピード競馬への対応、馬券的にも興行的にも面白くない長距離戦を忌避する意向もあったと思われます。これには反対も多かったと聞きますが(現在でも反対する関係者は多い)、その結果、フランス競馬のレヴェルは確実に低下しているのが現実。頑固だったフランス・ギャロも考えを改め始めたのではないでしょうか。
恐らくグラン・クリテリウムの距離を元に戻すことに伴い、伝統的に1600メートルだったシェーヌ賞そのトライアルとして位置付ける意味合いがあるのでしょう。これはあくまでも私の想像で、フランス・ギャロの見解ではありませんので、念のため。

ということで今年のシェーヌ賞、good の馬場に僅か4頭立て。近年のフランス競馬の頭数の少なさが目立ちますが、これもフランス競馬の苦境を示しているように思えてなりません。尤も生産頭数の推移などを見ていませんので、断定的なことは言えませんが・・・。
4頭のうちの1頭は英国からマーク・ジョンストン師が送り込んだゴドルフィンのシックスス・センス Sixth Sense で、既に8戦も経験している馬。同じゴドルフィンの所有馬で、フランスでアンドレ・ファーブル師が管理するクロース・オブ・スターズ Cloth of Stars も参戦しており、同じゴドルフィンでも勝負服は全く異なります。しかしイーヴンの1番人気に支持されたのは、前走ドーヴィルでデビュー勝ちしたアガ・カーンのヴェデヴァニ Vedevani でした。

レースは4番人気(49対10)のシックスス・センスが先手を取って逃げましたが、2番手に付けていた2番人気(9対5)のクロース・オブ・スターズが残り1ハロンで抜け出し、3番手から負うヴェデヴァニを1馬身4分の3差抑えて優勝。更に1馬身4分の3差でシックスス・センスが3着に粘り、3番人気(23対5)のマラスキン Marasquin は後方のまま5馬身遅れて最下位。
上記の様にファーブル厩舎、ミケール・バルザロナが騎乗したクロース・オブ・スターズは、本命馬と同じようにドーヴィルで新馬勝ちしたばかりで、これで2戦2勝。3週間後のジャン=リュック・ラガルデール賞ではフランスを代表する1頭になるのでしょう。無敗のまま2歳チャンピオンに付けるかが注目です。

 

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