ジンマンのラスト・コンサート

21日のプロムスは、世界のオーケストラ・シリーズの一つであり、リヒャルト・シュトラウス生誕150年記念も兼ねるプログラムです。

7月21日 ≪Prom 5≫
R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
ドヴォルザーク/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第6番
 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
 指揮/デヴィッド・ジンマン David Zinman
 ヴァイオリン/ユリア・フィッシャー Julia Fischer

指揮者ジンマンは19年間の首席指揮者に終止符を打ち、このプロムスが首席指揮者としては最後の演奏会になります。旧アルテ・ノヴァに録音したベートーヴェン交響曲全集は世界に衝撃を与えましたね。
冒頭は、前日のゲルギエフに続いてシュトラウスを祝う名曲。意外に普通の演奏でした。

続くドヴォルザークの協奏曲は、このコンビでの録音もあります。ドイツのヴァイオリニスト、フィッシャーのソロは真に見事。オーケストラのソノリティーも流石で、ほぼ完璧なドヴォルザークだったと思います。
フィッシャーのアンコールは、ヒンデミットのGマイナー・無伴奏ソナタから第3楽章。これは協奏曲を上回る出来栄えで、正に圧巻の一言。

問題はやはりメインのベートーヴェンでしょう。録音で聴いたのとほぼ同じで、対抗配置かつ古楽器系の演奏スタイル。第2楽章ではトリルのかけ方に特徴があり、最後のフルートの鳥(ナイチンゲール)では二度目に装飾を入れるのが漫画的です。
もちろんジンマンは根拠があってこういうやり方を取るのですが、第3楽章のコミカルな表現など、私には違和感があります。スイスの楽員たちは最後をどのように感じたのでしょうか、いずれにしてもご苦労様でした。

当然ながらアンコールもあり、どうやらスイスの民族舞踊を特別にアレンジしたもののよう。カウベルも登場し、打楽器のメンバーはスイスの服装で演奏したそうな。このアンコールは理屈抜きに楽しいもので、是非聴いて貰いたいと思います。

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