初夢

大晦日の夜、というか新年の明け方、嫌な夢を見て目が覚めた。何の夢かは忘れたけれど、後味が悪い。

嫌な初夢が気になったので、広辞苑を引いてみた。それで初めて知ったのだけれど、「初夢」というのは元旦の夜に見る夢、また、正月二日の夜に見る夢なのだそうだ。てっきり元旦の朝の夢だと思っていた。

ところが広辞苑によれば、古くは節分の夜から立春の明け方に見る夢のことだったらしい。これが本当だろうと思う。

更に千蔵八郎さんの「クラシック音楽歳時記」によると、昔の年寄りの話では二日の夜に見る夢が初夢とある。
だから私が見た嫌な夢は初夢ではなく、今日これから見るのが正真正銘の初夢。

見るからには良い夢を見たい。一富士二鷹三茄でなくとも、気分が悪くなるようなのは御免だ。
昔の人は「宝船」の絵を枕の下に敷いて眠った。その絵は手に入らないようだから、何か代わりになるものはないかな。

要するに験を担ぐわけだが、それは洋の東西を問わないらしい。
これも千蔵氏の受け売りだが、ホロヴィッツが若い頃にワーグナーの音楽をものにしようと、「神々の黄昏」のスコアを枕の下に入れて寝たのだという。
アメリカのピアニストでバッハの権威であり、グレン・グールドに大きな影響を与えたロザリン・テューレックも、バッハの「ゴールドベルク変奏曲」の楽譜を枕の下に敷いていた。

明日はいよいよ今年のコンサート初めである。広上淳一と新日本フィルのニューイヤー・コンサート。今年の音楽ライフが実り多いことを祈って、今夜は何か枕の下に入れて寝ようか。

このコンサート、今年のテーマは「金」だそうだ。「カネ」じゃなくて「キン」。だから締めはワーグナーの「ラインの黄金」から神々のヴァルハラ城への入場。

やっぱり「ラインの黄金」のスコアにしょう。夢の方で読み違えても、マネーが貯まるかもしれない。さて、初夢や如何に・・・。

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