ウィーン国立歌劇場公演「ジークフリート」

閉鎖期間中に無料配信されているニーベルングの指環シリーズ、第2夜の「ジークフリート」が始まりました。当面4月2日までの閉鎖と発表されていましたが、ヨーロッパの情勢は更に悪化し、ウィーンでは13日まで外出制限が決まりました。当然ながらウィーン国立歌劇場も閉館が延長され、本来ならライブストリーミングされる予定だった「サムソンとデリラ」と「パルシファル」も中止になっています。現時点でこの間の処置についての発表はありません。

今回配信されている「ジークフリート」は、2019年1月16日に行われた公演の録画で、ここまで放送されてきた「ラインの黄金」と「ワルキューレ」より3年ほど新しくなっています。それだけのことはあって、画質は明らかにこれまでのものより一段と鮮明になっているのが判るはず。音質の良さも相変わらずで、目下世界中でストリーミング配信が行われていますが、私が見た限りではメトロポリタン歌劇場、ベルリン国立歌劇場(画質は素晴らしい)のそれを凌ぐのではないかと思いますがどうでしょうか。

ジークフリート/ステファン・グールド Stephen Gould
ブリュンヒルデ/イレーネ・セオリン Irene Theorin
さすらい人(ヴォータン)/トマーシュ・コニェチュニー Tomasz Konieczny
アルベリヒ/ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー Jochen Schmeckenbecher
エルダ/モニカ・ボヒネク Monika Bohinec
ミーメ/ヘルヴィッヒ・ペコラーロ Herwig Pecoraro
ファフナー/ソリン・コリバン Sorin Coliban
鳥の声/マリア・ナザロヴァ Maria Nazarova
指揮/アクセル・コーバー Axel Kober
演出/スヴェン=エリック・べヒトルフ Sven-Eric Bechtolf
舞台/ロルフ・グリッテンベルク Rolf Glittenberg
衣装/マリアンヌ・グリッテンベルク Marianne Glittenberg
ビデオ/フェットフィルム fettFilm

指揮するアクセル・コーバーは、私は初めて聞く名前ですが、確かバイロイト音楽祭でも「タンホイザー」を振っているドイツの中堅。ライン・ドイツ・オペラの音楽監督で、ワーグナーでは定評があるようですね。
実際ウィーンでも拍手喝采で迎えられており、ワルキューレのサイモン・ラトルよりは信頼が厚いと実感しました。我々の感覚では知名度からしてラトルやゲルギエフの方が有名ですが、実力的にはコーバーの方が上なのでしょう。人気と実力は反比例するという実証の一つかも知れません。

キャストは、ヴォータン、ミーメ、アルベリヒ、ファフナーと2016年の「ラインの黄金」と共通する役が多く、何の違和感もなく溶け込めます。
最初はやや奇異にも感じられたべヒトルフ演出ですが、「ジークフリート」になると親しみも沸き、むしろ指環を代表する名演出ではないかと思うようになってきました。抽象的で簡素な舞台ですが、例えばジークフリートがノートゥングを鍛造する過程や、葦笛を吹いて小鳥と会話する第2幕など妙にリアリスティック。一見不自然に感じられた舞台装置なども説得力さえ覚えてくるのは不思議というものか。

最終回となる「神々の黄昏」も同じ2019年1月のツィクルスですから、完結編が大いに楽しみになってきました。
なお、この日は終演後にマイヤー総裁以下が並び、ヴォータン役のトマーシュ・コニェチュニーに対して宮廷歌手の称号を授与するセレモニーが行われました。そのコニェチュニー、今回のチクルスでは最後かと思いましたが、何と「神々の黄昏」ではグンター役としても登場するのだとか。こちらも楽しみですね。

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