ロイヤル・アスコット2008・3日目

アスコットの3日目、丁度中日ですね。パターン・レースは全部で3鞍。この日の大注目、というより今開催全体でも最も話題が多かったのがゴールド・カップですが、まずレース順に。
①ノーフォーク・ステークス(GⅡ、2歳、5ハロン)
②リブルスデール・ステークス(GⅡ、3歳牝、1マイル4ハロン)
③ゴールド・カップ(GⅠ、4歳上、2マイル4ハロン)
ノーフォーク
当初登録15頭のうち4頭が取消、11頭立て。有力視されていたのはカーライル Carlisle の新馬戦で2着に13馬身の圧勝劇を演じたサウス・セントラル South Central と、前走の内容が良かったフィンジャーンでしたが、結局フィンジャーンは取り消して、サウス・セントラルが11対4の1番人気に支持されていました。
2歳のレースには珍しく、というのもなんですが、人気に応えてサウス・セントラルが勝っています。2着は頭差でスピン・サイクル Spin Cycle 、更に1馬身差の3着にはプロリフィック Prolific が食い込みました。
2歳はまだ未知の世界ですから、これ以上のことは控えましょう。ただサウス・セントラルの父はフォレスト・キャンプ Forest Camp 。この馬はアメリカ版ノーフォークで2着した馬で、「ノーフォーク」に縁があるのでしょうか。
調教師はハワード=ジョンソン師、いわゆる「北」の調教師で、ロイヤル・アスコットでの優勝は誇りでしょうね。それは騎乗したロバート・ウインストンにも言えることで、インサイダー疑惑による1年間の騎乗停止が明けたのが今年の2月。アスコットの大舞台でそれなりの感慨があったでしょう。
http://jp.youtube.com/watch?v=jfId0ecvqRs
リブルスデール
10頭の登録がありましたが、有力馬の1頭ダーレミ Dar Re Mi の取り消しで9頭立て。1マイル半ですからオークスと同じ距離、実際に断念オークス、残念オークスの趣があるレースですね。
オークス残念組からは6着のケープ・アンバーと7着のミチータ、断念組のエース格がダーレミという構図でした。しかもミチータとダーレミは同じゴスデン厩舎の期待、主戦騎手ジミー・フォーチュンはミチータを選択。
フォーチュンの目に狂いはなかったようで、結局1番人気に支持されたミチータ Michita が2着アーサーズ・ガール Arthur’s Girl に3馬身半の差を付けて楽勝しています。新聞評では、今開催で最も楽な勝ち方だったとか。3着には更に2馬身半遅れてホビー Hobby が入っています。オークス6着のケイプ・アンバー Cape Amber は何故か9着のどん尻負け。
3着に入ったホビーは、実はオークス馬ルック・ヒア Look Here と同じレイフ・ベケット師の調教する馬。逃げ切りを図ったのですが、結局は差し切られてしまいました。今後の3歳牝馬路線の感触を得るために、同厩のホビーで力関係を確認したのかも知れませんね。
http://jp.youtube.com/watch?v=Lbms4LwOwn0
ゴールド・カップ
11頭の登録馬からバッダムが回避、10頭のメンバーで争われました。2マイル4ハロンですから、約4000メートルのマラソン。まずは映像をご覧下さい。↓
http://jp.youtube.com/watch?v=kYUVF_JQpWY
見てのとおり、イェーツ Yeats の圧勝です。1807年創設ですから200年以上の歴史を重ねてきた伝統の一戦。その長い歴史の中で3連覇を達成したのは、1975年から1977年まで勝ち続けたサガロ Sagaro に続き、イェーツが2頭目の快挙です。
去年の段階からこのハット・トリックは話題となり、最終的なオッズは11対8。2008年のロイヤル・アスコット開催は、イェーツの3連覇こそ最大の見所だったのです。
もちろんプレッシャーは大きかったでしょう。イェーツは4月に小さいレースを勝っています。オブライエン師は、この1戦だけで本番に臨む決意を固めたのですが、レースが近づくにつれ、その心はかなり揺れたようですね。もう一度トライアル・レースに使うべきではなかったか。判断が間違っていたのではないか。
しかしそれを全て杞憂に終わらせたのは、イェーツを管理するラッドたちの献身的な努力でした。彼らを信頼することこそがオブライエン師自身の心の支えになったのだ、と言えるでしょう。
レース後オブライエンが語っています。“この気持を言葉にすることは不可能だ。正にアンビリーバブル。まずはラッドたちを称えたい” と。
レースで最初に動いたのは、ライヴァルとしての存在、フランスから挑戦してきた無敗のコースタル・パス Coastal Path でした。しかし最後、イェーツと、有力視されている1頭ジョーディーランド Geordieland が素晴らしいスパートで襲い掛かります。ジョーディーランド陣営は一瞬勝ったかも知れない、と思ったそうですが、イェーツの脚と心臓は並みの馬のものではありませんでしたね。
結局イェーツは2着ジョーディーランドに5馬身、更に4馬身半でコースタル・パス、という決定的な差を付けて歴史に名を残したのです。
早くも2009年の4連覇が話題に上り、気の早いブックメーカーは“4連覇に3対1!!”なんていうオッズをつけています。
現時点では、来年のことは判りません。現在まで5レース行われてきた今年のロイヤル・アスコットのGⅠ戦。このうち4レースを制したオブライエン厩舎の沸き様が想像される、というものではありませんか。

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