ロイヤル・アスコット2008・最終日
今年のロイヤル・アスコットも無事に終了しました。最終日の土曜日はパターン・レースは二つ。そもそもアスコットのロイヤル開催はついこの間まで4日間ミーティングでしたから、1日増やすことによって中味は多少薄まった感がしますね。
①ハードウィック・ステークス(GⅡ、4歳上、1マイル4ハロン)
②ゴールデン・ジュビリー・ステークス(GⅠ、3歳上、6ハロン)
ハードウィック
11頭の登録がありましたが、2頭が取り消して9頭立て。古馬による1マイル半、去年はマラーヘル Maraahel が勝っています。今年もそのマラーヘルが出走してきましたが、結果は3着でした。
勝ったのは1番人気に推されたマッカーサー Macarthur 。今年のロイヤル・アスコットの話題を総舐めした感のあるオブライエン/ムルタのコンビです。これでチーム・オブライエンは5勝目。数こそ少ない(オブライエンとしては)ものの、話題の大きさではピカ一だったでしょう。
レースでは25対1の伏兵、セシル調教師のマルチディメンジョナル Multidimensional が先頭で流れ込む展開になったところに、マッカーサーが追い込んだようですね。両馬の着差は首。2着と3着は更に5馬身開いていました。
このレースのヴィデオもアップされていますが、映像だけが40秒辺りで止まってしまうトラブルがあります。ユーチューブの世界はよく判りませんが、少し時間を置いて修正された状態でURLを貼り付けましょう。
ゴールデン・ジュビリー
当初20頭の登録から3頭取り消し、17頭立て。このレースは以前はコーク・アンド・オルリー・ステークス Cork And Orrery Stakes と呼ばれていて、グレードもⅢでした。いつからGⅠとして改名されたのか直ぐには調べられませんが、いずれにしても開催最後を飾るスプリントのチャンピオンシップです。
凡そ現時点で期待できるスプリンターが勢揃いしてきました。サクヒーズ・シークレット、テイクオーヴァー・ターゲット、マルシャン・ドール、ユーエス・レンジャー、ウォー・アーティスト等々。1番人気は火曜日のキングス・スタンド2着のテークオーヴァー・ターゲット Takeover Target でしたが、4着に惜敗。勝ったのは何と33対1の大穴、キングスゲイト・ネイティヴ Kingsgate Native でした。
2着は1馬身4分の1でウォー・アーティスト War Artist 、3着には更に4分の3馬身でサー・ジェリー Sir Gerry が入っています。
キングスゲイト・ネイティヴは、私の日記を見ていただければ確認できますが、去年のナンソープ・ステークスに2歳馬として優勝する、という偉業を達成した馬です。その後ロンシャンのアベイ・ド・ロンシャン賞でも2着、ナンソープは決してフロックではなかったことを証明していました。
何故この馬が33対1という人気薄だったかは謎でしょう。調教師ベストさんも“クレイジーなオッズ” と慨嘆していました。この馬を信じて一票を投じた方、大きなギャンブルに勝ったことになりますな。
キングスゲイト・ネイティヴ、実は火曜日(4日前!)のキングズ・スタンドにも出走していて、その時は後から4つ目(13頭立て10着)で入線していました。これが今シーズンの初戦。この敗戦が人気を落としていた原因かも知れませんね。
主戦騎手はジミー・クイン J.Quinn なのですが、生産者であるチーヴリー・パーク・スタッドの意向で、ゴールデン・ジュビリーではセブ・サンダースに乗り替わっていました。これはクインの技術云々ではなく、ムードを変えたかった、という理由のようです。
キングスゲイト・ネイティヴの今後、ニューマーケットのジュライ・カップから去年勝ったナンソープへ、最後にロンシャンでアベイ・ド・ロンシャンの雪辱、という路線が描かれているようです。正にスプリンターの王道と言えるでしょう。
最後に面白いエピソードを紹介しましょう。
キングスゲイト・ネイティヴのデビュー戦は、実は去年のロイヤル・アスコットだったのです。火曜日のリステッド、ウィンザー・キャッスル・ステークスに出走して2着に入線、これがこの馬のスタートだったのですね。
ところがキングスゲイト・ネイティヴが予定していたのは、その前のヨーク競馬場でした。この開催が大雨によるコース冠水のため中止、アスコットに変更されたのです。
更に笑ってしまうのは、5月のグッドウッドであわや出走、という事件があったこと。実はベスト厩舎には同じ馬主で同じ時期に購入したキングズゲイト・キャッスルという馬がおりまして、グッドウッドに出走する予定だったのはキャッスルの方でした。
レース直前、競馬場の獣医から、“この馬、名前と実物が違いますな。パスポートが間違っています” との指摘。厩舎では長い間ネイティヴとキャッスルを取り違えていたことが判明したわけ。当然ながらベスト師、多額の罰金を科せられたのでした。
ことの序。
キングスゲイト・キャッスルのデビュー戦となったのはウィンザー・キャッスル・ステークス(またしてもキャッスル!!)と紹介しましたが、今年のロイヤル・アスコットの初日に行われた同レースは、フラッシュマンズ・ペイパーズ Flashmans Papers という馬が勝っています。100対1というとんでもない大穴でした。この穴馬の調教師こそ、ベスト師その人だったんですねぇ。まことに人騒がせな方じゃありませんか。
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以上でロイヤル・アスコット2008の報告を締めることに致します。5日間ご苦労様、ワタシも草臥れましたワ。
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