ロイヤル・アスコット2008・4日目

4日目のパターン・レースは4鞍。目玉は何といってもコロネーション・ステークスですが、今日もレース順に紹介しましょう。
①アルバニー・ステークス(GⅢ、2歳牝、6ハロン)
②キング・エドワード7世・ステークス(GⅡ、3歳、1マイル4ハロン)
③コロネーション・ステークス(GⅠ、3歳牝、1マイル)
④クィーンズ・ヴェイス(GⅢ、3歳、2マイル)
アルバニー
17頭の登録から2頭が取り消し、15頭立て。これは1番人気に推されたキュイ・ゲール Cuis Ghaire がスンナリと勝ちました。2着ペニーズ・ギフト Penny’s Gift には1馬身4分の3、3着は頭差でダニド・デュバイ Danidh Dubai が入っています。
勝ち方はスンナリと言うわけには行かなかったようで、抜け出したペニーズ・ギフトとアレス・ショワ Ares Choix (6着)を捉えるのに少しモタモタしたそうです。
調教師は今年のダービー・トレイナー、ジム・ボルガー師。オーナーはボルガー夫人です。騎手ケヴィン・マニングはボルガー師の娘婿ですから、まぁ、ファミリー・ヴィクトリーと言えるでしょう。
ボルガー/マニング・コンビにとって、これが今ロイヤル・アスコットの初勝利になりました。
実は Cuis Ghaire 、何と読むのか判りません。一応キュイ・ゲールとしておきました。実況ヴィデオは音声が割れてしまい、アナウンサーの声がほとんど聞き取れませんね。次の機会にでも確認できるでしょう。
ボルガー夫人の持ち馬にはマイナーな言語から取った命名が多いですから、キュイ・ゲールも何か「意味」があるものと想像されます。
http://jp.youtube.com/watch?v=BR_8ROL_6Ak
ボルガー師によると、キュイ・ゲールはガリレオ産駒ですから、もっと長い距離が適しているはず。ところがガリレオの仔は6ハロンでは勝てないという噂を聞いて、アルバニー(6ハロン)にチャレンジしたのだとか。
今後はより長い距離を経験し、来年の1000ギニーに向かうでしょう。これで3戦無敗、1000ギニーには5対1のオッズが付けられました。
キング・エドワード7世
9頭立て。リブルスデールが断念オークス(残念オークス)だったのと同様、これは断念ダービー、残念ダービーの性格があります。つまり、3歳だけの1マイル半戦。
1番人気に支持されたコンデュイ Conduit はダービーこそ出なかったものの、ダービー開催のエプサムで勝った馬。スタウト/ムーア・コンビの期待を担っていました。
しかし勝ったのは9対1の伏兵、カンパノロジスト Campanologist 。デットーリが騎乗するゴドルフィン軍団の1頭です。
意外やデットーリ騎手にとっても、ゴドルフィンにとっても、これが今年のロイヤル・アスコット初勝利。この勝利は、デットーリ騎手にとってロイヤル・アスコット40勝目の節目でもあります。
2着は4分の3馬身で本命コンデュイ、3着には1馬身遅れ40対1の最低人気馬トップ・ロック Top Lock が食い込みました。
カンパノロジスト陣営では、アイルランド・ダービーは間隔が詰まりすぎているので次走はヴォルティジュール・ステークスの予定とか。セントレジャーはスタミナに不安があるので疑問の由。
一方、コンデュイはセントレジャーを目標にする、というコメントが出ました。
http://jp.youtube.com/watch?v=KMML4M7D5Jk
コロネーション
アスコット4日目のメイン。11頭立て。1000ギニーの再戦とあって、毎年ハイレヴェルのレースが展開されます。残念ながら今年は英仏愛3国の1000ギニー馬が全て欠場。特にナタゴラ対ザルカヴァの大勝負が回避されてしまったことは真に残念でした。
それでも素晴らしいメンバーが揃いましたね。ニューマーケットの1000ギニーで夫々2・4着に健闘したスペイシャス Spacious とインフォーリブル Infalible 。フランス1000ギニーからは4着のモダーン・ルック Modern Look 、アイルランド1000ギニー組では2着入線4着降着のタスカン・イヴニング Tuscan Evening と繰り上がり3着のカリビアン・サンセット Carribean Sunset 。
それだけじゃありません。ギニーこそ6着ながらミュジドラを制し、本命で臨んだオークスでは5着と伸び切れなかったラッシュ・ラッシズ Lush Lashes 、1000ギニー惨敗も人気になったムサバラ Muthabara 、ナフード Nahoodh 等々。
この混戦を制したのは、2番人気に支持されたラッシュ・ラッシズでした。2着は3番人気のインフォーリブルが3馬身4分の1、3着は更に4分の3馬身でカリビアン・サンセット。1番人気のスペイシャスは4着というレヴェルの高い結果となっています。
調教師・馬主・騎手は全てこの日の最初のレース、アルバニーを制したコンビ。ボルガー夫妻とマニング騎手のボルガー・ファミリーです。つまり4日目のダブル達成。
ボルガーさんにとってコロネーション・ステークスは2度目。1983年にフレーム・オブ・タラ Flame Of Tara で制して以来の勝利です。
ラッシュ・ラッシズはマイラーというよりは2400の馬。オークスでの敗因はスタミナ不足ではなく、エプサム独特のコースを巧く回れなかったことにあるのは血統から見ても明らかでしょう。
その馬を何故リブルスデールでなくコロネーションに走らせたのか。ボルガーさんは、“コロネーションはGⅠだからさ。それだけ。賞金が違うからネ” と至極尤もな回答。この後はアイルランド・オークスに出るッ、のだとか。チョッと使いすぎじゃない、と個人的には思うけれど、そこはボルガーさんの得意とするところ。愛オークスも期待しましょう。今日現在、6対4だそうです。
これで今開催のGⅠ戦、アイルランド5勝、スペイン1勝でまだ地元イギリス勢に勝鞍がありません。今日のゴールデン・ジュビリーで名誉挽回なるか!!
http://jp.youtube.com/watch?v=F12upM_WNPI
クィーンズ・ヴェイス
当初の登録13頭から1頭取り消し、12頭立て。最後はこの3歳馬のマラソン・レースです。
1番人気に支持されたパトカイ Patkai が2着アメリゴ Amerigo に7馬身差をつけて圧勝しました。3着は短頭差でグラヴィエーション Graviation 。2着は14対1、3着は33対1という人気薄です。
勝ったパトカイはマイケル・スタウト師の調教、騎手はマイケル・ムーアです。キング・エドワードでのコンデュイ敗戦の雪辱ですね。
パトカイは特にステイヤーというわけではなく、コンデュイをエドワードに出走させた関係からこちらに出した、という単純な理屈のようです。
パトカイは父インディアン・リッジ Indian Ridge ですからもっと短い距離に適している血統でしょう。
母系も同じです。母はオリンピエンヌ Olympienne といい、同馬の父はサドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells 、母ヘレニック Hellenic 。と言えば、名馬イスリントン Islington の全姉妹に当たります。
イスリントンは2003年のスターで、エクリプス・ステークスやヨークシャー・オークス(2度)に勝った女傑でした。
この血統の良さに加えてスタウト師。如何にも古馬になってからも活躍が期待できそう。パトカイの名前をシッカリ記憶しておきましょう。
http://jp.youtube.com/watch?v=HOp1nOokY9U

 

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