愛ダービーとサン=クルー大賞典

昨日の日曜日、アイルランドのカラー競馬場と、パリ郊外のサン=クルーで重要なGⅠ戦が行われました。そのレポートです。
まずカラー。もちろんアイルランド・ダービー(GⅠ、3歳、1マイル4ハロン、当初12頭登録から1頭取消、11頭立て)が行われたのですが、エプサム・ダービー出走馬が数多く出走してきましたので、ダービー再戦の期待がかかっていました。特に1着から3着のニュー・アプローチ、タータン・ベアラー、カジュアル・コンケストの動向に注目が集まっていたわけです。
ところが前々日の金曜日になって、ボルガー師からニュー・アプローチは100%の状態に無く、馬券を買う人は注意して欲しい旨のアナウンスがありました。最終的には11時間前の段階で出走を取り消し、やや拍子抜けの感は否めません。
その結果、押し出されるようにイーヴンの1番人気に支持されたのがタータン・ベアラーでした。
先に結果を書くと、勝ったのはエプサムでは11着に終わり、16対1という中穴フローズン・ファイア Frozen Fire でした。エイダン・オブライエン軍団の1頭、厩舎の期待は2番目の馬です。
オブライエン厩舎は、今年のアイルランド・ダービーには5頭を出走させ、主戦ムルタはアレッサンドロ・ヴォルタ Alessandro Volta を選択。フローズン・ファイアには2番手のへファーナン騎手が騎乗していました。
レースでは内につけたアレッサンドロ・ヴォルタが大きく外に斜行し、弾かれるように本命タータン・ベアラーとカーテン・コールの進路を塞いでしまったようです。
このアクシデントをうまく避けたフローズン・ファイアが、2着のカジュアル・コンケストに2馬身差を付けて優勝。3着にはアレッサンドロ・ヴォルタが入線したのですが、4着入線のタータン・ベアラーの進路妨害と判定され、4着降着。繰り上がってタータン・ベアラーが3着。5着カーテン・コールということで確定しています。
どうやらアレッサンドロ・ヴォルタはコース内側に陣取っていた大観衆に驚き、動転してしまった由。
ニュー・アプローチの直前取消、アレッサンドロ・ヴォルタの降着と、やや後味の悪い結果でしたが、結果は結果です。
これでエイダン・オブライエン師は3年連続でアイルランド・ダービーを制したことになり、ハット・トリック達成ですね。(ディラン・トーマスとソルジャー・オブ・フォーチュンに続いて)
通算でも愛ダービー6勝目となるそうで、これはドクター・ヴィンセント・オブライエン師の偉大な記録と並んだことになります。

http://jp.youtube.com/watch?v=gIMM5f8_g8Y

一方、フランスのGⅠ戦・サン=クルー大賞典 Gran Prix de Saint-Cloud (GⅠ、4歳上、2400メートル)は9頭が出走、オブライエン師はここにも2頭を送り込み、10対11の圧倒的1番人気を集めたのが、去年のアイルランド・ダービーの覇者ソルジャー・オブ・フォーチュン Soldier of Fortune でした。今年初戦のコロネーション・カップも快勝し、ここでの支持も当然です。
主戦のムルタ以下オブライエン・チームはほぼ全員がカラーのダービーに結集していましたから、ソルジャーに騎乗したのは地元フランスのクリストフ・スミオン。
対するフランス勢では何と言ってもファーブル厩舎のゲタウェイ Getaway 、去年のパリ大賞典に勝ったザンベジ・サン Zambezi Sun にも復調の兆しが表れ、役者が揃った感じです。
レースはソンマーターグとソング・オブ・ハイアワサが強いペースで先行し、緩みの無い競馬になったようです。両馬が直線でも粘りましたが、これを捉えたのがソルジャー・オブ・フォーチュンと、イギリスから遠征したユームザイン Youmzain でした。最後の競り合いはユームザインに軍配が上がり、1馬身差での優勝。3着にはドクター・ディノ Doctor Dino が入り、ザンベジ・サンが4着、ゲタウェイは5着惨敗です。
ユームザインと言えば、GⅠでは2着惜敗続き。去年のキング・ジョージと凱旋門は共にディラン・トーマスの後塵を拝し、今年のコロネーションでも宿敵ソルジャー・オブ・フォーチュンを捉え切れませんでした。
しかしこれで漸くGⅠのタイトルを獲得、GⅠ勝利は2年前のドイツでの優勝以来となります。これで今年のキング・ジョージと凱旋門にも弾みがつくでしょう。
ミック・シャノン師、騎乗したリチャード・ヒューズくんも胸を撫で下ろした気持。
http://jp.youtube.com/watch?v=8feCATCox94

 

この他、土曜日のカラー競馬場ではプリティー・ポリー・ステークス(GⅠ、3歳上牝、1マイル2ハロン)が行われ、スタウト厩舎のプロマイジング・リード Promising Lead が1番人気に応えています。歴戦のボルガー厩舎の期待、フィンシール・べオは9頭立てのシンガリ負け。帰厩後の馬の状態も良くないようで、チョッと心配です。ボルガー師にとっては惨々な週末でした。
もう一つ、日曜日にはレイルウェイ・ステークス(GⅡ、2歳、6ハロン)が行われ、またもやオブライエン厩舎のマスタークラフツマン Mastercraftsman が、短頭差ながらアルハバン Alhaban を抑えて勝っています。
この2歳馬による重要なレース、ほぼオブライエン厩舎の独占状態で、これでこのレースは10勝という記録になったようです。
デーンヒル・ダンサーの産駒で1番人気に支持されたマスタークラフツマン、ロック・オブ・ジブラルタルやジョージ・ワシントンに続くことが出来るか、現段階ではまだ未知数でしょう。

 

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