フェスタサマーミューザ2021・読売日本交響楽団

私が選んだ今年のサマーミューザ、第2弾は7月27日に開催されたこのコンサートです。

ボロディン/交響曲第2番
     ~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第2番
 読売日本交響楽団
 指揮/鈴木雅明
 コンサートマスター/林悠介

フェスタのチケットには様々な種類があって、昨日会場でお会いした旧知の仲間たちとの情報交換でも、オーケストラセット券を購入した方、土日祝セット券の人、平日昼セットにしたというファン、いやいやボクはバラバラに買いましたよ、という具合で、夫々の都合に合わせて割安に聴けるところがまた良いですよね。
さて27日の読響は、午後19時開演。ということは平日夜セット券の対象公演でもありました。この対象となるのは、今年の場合は3公演しかありません。この日の読響、8月4日の京響、8月6日の東フィルです。ということはこのセットを基本にして、あとはいくつか好きな日を選ぶという手もあったのか、と思いましたが、まぁ~良いでしょう。聴きたいものを聴いていきましょう。

チケットをゲットした時点で、この演奏会は読響の首席客演指揮者を務める山田和樹が振る予定でした。チラシのキャッチフレーズも「サマーミューザに、待望のヤマカズ旋風いよいよ」というもの。
この文言に惹かれて選んだ側面もありましたが、へぇ~、山田和樹って意外にもこれまでサマーミューザで指揮したこと無いんだ、というのが正直な感想でしたね。

ところが暫くして主催者側から、山田和樹は海外渡航規制のため来日出来ず、鈴木雅明が代演しますという発表が。これに伴い、プログラムもチャイコフスキーの交響曲第2番からボロディンに変更となりました、と。
エッ、鈴木雅明がボロディンとラフマニノフの第2を振るの、バッハじゃないの、という方に寧ろ驚かされました。ヤマカズが聴けないのは残念でしたが、逆に鈴木雅明のロマン派ってどうなるのか、という楽しみの方が大きかったかもしれません。

読響はフェスト開幕前夜に飯守泰次郎指揮でモーツァルトとブルックナーを聴いたばかり。かつての首席指揮者の46年振りの再会が新鮮に感じられたものでしたが、鈴木雅明と読響という組み合わせも珍しいんじゃ、と普通は思うでしょ。ところが然に非ず、私はこの組み合わせに何度か接してきました。
3年前の秋、定期に登場して珍しいメンデルスゾーンの合唱作品を紹介してくれましたし、ずっと以前にマタイ受難曲をメンデルスゾーン版で指揮するという稀有な機会にも遭遇しました。その間にモーツァルトのハ短調ミサを同じく読響と演奏したコンサートもあったと記憶します。

しかし今回はボロディンとラフマニノフ、こてこてのロシア・ロマン派の交響曲を取り上げるというのですから、これは寧ろラッキーだったかもしれません。その辺りは当のご本人であるマエストロが百も承知。開演前に行われた自身によるプレトークでも開口一番「今日はバッハの話はしません」。そりゃそうですよね、ところがこのプレトークが抜群に面白かった。
自分にとってのとロマン派音楽とのルーツから始まり、先生だった矢代秋雄氏との思い出、そして核心となるボロディンとラフマニノフの解説と作品分析。これを20分で纏めたのですから凄い。一言一句をテープ起こしして記録したいと思ったほどでした。ま、アーカイブ配信を丹念に見返せば可能でしょうが。

ということでトークに導かれての交響曲2曲。どちらも素晴らしい体験でした。読響はいつもサントリーホールで聴いていますが、ミューザ川崎シンフォニーホールではまた格別な響きが楽しめます。
いつものパワフルな音響に加え、細部の微妙なニュアンスもよりクッキリと浮かび上がって聴こえたと思います。当然ながらラフマニノフはノーカット。そればかりか第1楽章提示を繰り返し、言わば完全版での演奏。それでも第1楽章最後にティンパニを追加するなど、ロマン派音楽の巨匠としても存在感を誇示してくれた鈴木雅明でありました。

大曲2曲でさぞ長時間だったのでは、と思いましたが、終演は予定通り21時。もちろんアンコールはありませんでしたが、最後のソロ・カーテンコールはありましたよ。それを入れても2時間でした。

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