日本フィル・第240回横浜定期演奏会

昨日の夕刻、めっきり秋色を増した横浜へ。日本フィルの横浜定期。
ベートーヴェン/「エグモント」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第5番
 指揮/小林研一郎
 ピアノ/小川典子
 コンサートマスター/江口有香
最近の横浜定期は人気が高く、ともすれば東京定期を上回るほどに客席が埋まります。一回券で入場する我々がゲットできた席も1階15列の右端。以前は早めに申し込めば1階の中央でも楽々取れたシリーズですが、このところのチケット争奪戦も熾烈を極めてきました。
ま、このプロで小川典子の皇帝となれば多くが聴きたいと思うのは自然のこと。私もその一人ですから・・・。いずれにしても、横浜クラシックが一つのライフスタイルとして定着してきたこと、慶賀に堪えません。
期待の小川典子。この日も素晴らしいピアニズムを発揮、ベートーヴェンの超有名コンチェルトを堂々と弾き切りました。
彼女の皇帝を聴くのは久し振りでしたが、冒頭のカデンツァから速めのイン・テンポを守り、第2楽章も第3楽章も些かの緩みを感じさせず、一気に聴かせたのはさすがです。あれ、こんなに短い曲だっけ?
これには小林研一郎と日本フィルのバックも大いに貢献していたと思います。演奏のコンセプトが指揮者主導だったのかソリストのペースだったのかは知る由もありませんが、結果として出来上がった演奏は統一の極めて良く取れた、古典的に端正で、いかにもベートーヴェンに相応しいもの。
特に第2楽章の「祈り」は素晴らく、オケのヴィオラに与えられた深い表情付けが心を動かします。某ロシア系ピアニストのぶっきらぼうとは別次元。
それは冒頭の序曲とメインの交響曲についても当てはまること。
正直なところ、私は小林の指揮にもっと演歌調、のた打ち回るベートーヴェンを予測していたのですが、それは見事に裏切られました。
第5交響曲。この夏に某オーストリア出身の若手指揮者で聴きましたが、私にはこの日の小林の第5の方が、はるかに共感できるベートーヴェンとして響くのです。
若い聞き手からは馬鹿にされるかも知れませんが、私の世代はいわゆる巨匠風ベートーヴェンを聴いて育ってきています。ベートーヴェンはこうでなくちゃ。軽いベートーヴェンは要りません。
今の日本で、私の世代が最も共感できるベートーヴェンを振れる人、それは恐らく小林研一郎と飯守泰次郎ではないか。そう感じたほど、今回のコバケン/ベートーヴェンは推進力もあったし、重さも感動にも事欠きませんでした。
このスタイルがあって、小川典子との協奏曲も真に充実したベートーヴェンに昇華したのでしょう。
第5の演奏前にコバケン解説の聴きどころが10分ほど。
アンコールとして、何とブラームスのハンガリー舞曲第1番が飛び出しました。
“えっ、トライアングルどうすんのよぉ~”と思いましたが、ティンパニの三橋敦がティンパニ横にトライアングルを吊るし、中間部の2発だけチンと叩くという珍演。こんなハンガリー舞曲初めて経験しましたワ。
これがコバケンのコバケンたるところ。他にアンコールのレパートリー無いんでしょうかねぇ。顔には出さねど三橋氏、心の内を察してあげましょう。

 

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